ゆるりと人生を変える
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:本郷あすか(ライティング・ゼミ 平日コース)
「ごめん! ちょっと厳しい。先に行って!」
そもそも私にはフルマラソンを完走することなんて無理なのかもしれない。そんなことを考えながら、大会当日一緒に走ってくれていた友人に伝えた。
フルマラソンを完走する! そう決めて人生初めてのフルマラソンの大会にエントリーしたのは募集終了間際のことだった。それまでは気が向いた時に走る程度で、大きな目的もなく、なんとなくのダイエット、ビールをおいしく飲むための手段として、ゆるりと趣味の一つとして続けていた。誰かと比べられることは大嫌いだったし、競争することも大嫌いだった。学生時代には持久走大会も嫌すぎて休むための理由を毎晩考えたほどである。これまで人生一度も、マラソン大会に自ら出場しようなんてことは考えたことがなかった。
そんな私がなぜマラソン大会に出場することになったか?
2年前の10月「あすかも定期的に走っているんでしょ? そろそろ大会とか走ってみない? すごく楽しいよ! 1月に指宿で大会があるから、あすかも一緒に大会出ようよ! 日本のホノルルマラソンみたいなものだから大丈夫! 制限時間も緩いし初マラソンにはうってつけだよ! ね! 一緒に出よう!」
親友とビールを飲んでいるときにそう誘われ、テンションが上がっていた私は勢いあまって「楽しいなら出てみたい!」と答えてしまったのだ。
数日後、親友が前日のホテルの手配など私の分もすべて済ませて、エントリーが済んだかの確認の連絡があった時にその時のことを思い出し、キャンセルしたい気持ちでいっぱいだったが、親友に迷惑もかけられないと、後には引けなくなった私は出場することを決意した。
酔った勢いでエントリーを決めてしまったから、本格的な練習を始めるまではなんとなく逃げたい気持ちでいた。
その頃、職場の人間関係や仕事内容にも悩んでいた私は、ただ職場に行き「こなすだけ」の仕事をしてしまっていたし、プライベートでも片思いだった人に振られたり、全てがうまく行っていない状態だった。
「フルマラソン完走できたら人生とか価値観とか変わるかな」
それまで学生時代も、試験勉強を途中であきらめてしまったために留年したり、何かと逃げ癖がついていた私は、今度こそは自分で自分を変えたいと決意を新たに練習を開始した。
走ると決めてからは、親友のアドバイスの元、少しずつ距離を伸ばしていき大会までには、何とか20キロ~30キロのロング走ができるようになっていた。
ウエアもかわいいものに新調し、「よし! 大丈夫! ちゃんと練習したもん! 走れる!」
そう自分に言い聞かせ、当日スタート地点に並んだ。
しかし、本番当日自分でも予想外のことが起こっていた。
ふらふらする。ぐらぐら目が回って頭もいたい。緊張のためか? いや、違う。完全に二日酔いだ。
さすがに前日はお酒の量をセーブすればいいものを、指宿の美味しいお料理と、緊張とでペースが乱れてしまい飲みすぎてしまった。詰めが甘い。
しかし、スタートでリタイアするわけにはいかない。やれるだけやってみよう。とにかく脱水にはならないようにだけ注意しながら初マラソンをスタートさせた。途中までは友人について行ったが、何度でもフルマラソンを完走している人について行くことは無理だった。親友に先に行ってもらい、一人で走ることを決意した。
一人になってからは、「やっぱり私には無理かも」と不安に飲まれ、途中でリタイアしようとも考えた。だけど、はじめての大会なものだから、リタイアの仕方もわからないのだ。「次のエイドまで頑張ろう!」そうやって少しずつでも確実に前に進み、次のエイドにつくと、大会スタッフや地元の方の応援で「もうちょっと走ってみよう!」という気持ちになり、またスタートすることが出来ていた。そのちょっとずつの繰り返しと沢山の方の応援のおかげでなんとか私も初マラソンを完走することが出来た。ゴールした頃にはすっかりアルコールも抜け爽快な気持だった。あきらめなくてよかった。心底そう思えた。
フルマラソンで人生が変わったか? 正直、二日酔いで走ったから苦しい思い出の方が多いが、それまでのあきらめ癖は減ったように思う。良い記録を狙って走れるほどの走力はないが、「あきらめないでよかった」と思える経験ができたことは私にとって大きな財産となった。
その大会以来、今でも定期的に走ることは続けている。自然の中を走ることは風になったようで気持ちがいいし、走っている間は何も考えず頭がすっきりしてストレス発散にもなる。汗をかくことのデトックス効果でお肌の調子も上向きだし、ビールを飲みすぎても太りにくい。そして走るという単調なリズム的な運動はセロトニンという幸せホルモンを分泌するらしく、何か起こっても穏やかにいられるようになった。
新しく何か趣味を始めようと思っている人には、迷わずマラソンをおすすめしたい。
きっとゆるりと人生変わります。
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