『ラクに勝ち続ける働き方』小室淑恵著《READING LIFE》
「ワーク・ライフバランス」
正直言ってしまうと、僕はこの言葉があまり好きではなく、ピンと来ない。
結構、年配の経営者の方も、これを提唱するんだけれども、結局は30代40代の働き盛りには、まさに寝食を忘れて仕事に打ち込んだと言っている。この時期があったからこそ、豊かな引退後の生活があり、これを提唱できるのではないかと、勘ぐってしまう。
どちらかと言えば、僕は田島弓子さんの提唱する『ワークライフ・アンバランス』(ディスカヴァー21)の方が好きだし、性に合っている。
「仕事=人生」だっていいじゃないか!
そのとおりだと思って、実際に休みなく働いてきた。
ところが、この動画を観て、考え方が一変した。衝撃的なほどに素晴らしいプレゼンである。とにかく、これを観てほしい。
このプレゼンを観ると、確かに「長時間労働をやめる」ということは、ある種の「発明」なのではないかと思えてくる。
「30%の残業が減っても売上が上がる企業もあるんですよ」
「13時間以上働いたときの集中力は、酔っぱらい運転と一緒なんです」
「一人あたりが生み出している付加価値はなんと先進国で最下位」
「私の会社のスタッフでトップの成績を出しているのは、短時間労働の女性なんです。時間と成果は関係ないんです」
「男女や年代という多様な社員が集まった会社からは多様なアイデアが生まれる」
なるほど、と唸りながら観た。
たしかにそうである。
そして、このプレゼンのエッセンスおよびその詳細がコンパクトにまとまった一冊がすでに出版されている。
『ラクに勝ち続ける働き方』小室淑恵著(幻冬舎)
小室さんはこの本で、こう定義づけている。
時間や気力、体力を効果的に使い、結果を出し続け、自分の夢や目標を本気で追求していく働き方。それを私は「ラクに勝ち続ける働き方」と呼んでいます。
さらに、こう述べる。
人生を充実したものにするには、ワーク(仕事)にしっかりと向き合い、取り組めなくてはいけない。そのワーク(仕事)がうまく回るには、ライフ(プライベート)の支えが欠かせない。こうした相乗効果こそが、ワーク・ライフシナジーなのです。
なるほど、「ワーク・ライフシナジー」。これは素晴らしい考えだと思う。
そして、僕は危機感を覚える。僕はこれをまるでできていない。
ちょっと、働き方を本気で考え直さないといけない。
女性だけでなく、ぜひ、男性も読んでほしい。一度、自分の働き方が危ういのではないかと考えてもらいたい。
それはきっと、自分の幸せのかたちを改めて考えることにつながるだろうからだ。
そういった意味でも、この本を買わない理由が見当たらないのである。
*ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。