チーム天狼院

人の魅力を引き出す香水


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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 記事:北村祥子(チーム天狼院)
 
「わたしの前髪っていつまであるのかなって心配になっちゃうんだよね」
 
会話の中でぽろっと口から出た言葉だ。同じように前髪を作っている友達はものすごい勢いで頷いてくれた。わたしはあと数か月で20歳になる。でも、どうも見た目が幼いのである。童顔だとは思っていなかったけれど、人からそう言われる機会が多い。
大学生になる時、大人デビューの一環として、前髪をかきあげようかと意気込んだ。が、母に即却下された。顔に似合わないのである。悲しい。
 
 
最近、プロの診断でそれぞれ個人に似合うファッションテイストが分類される、パーソナルデザインというものが流行っている。プロに見てもらった訳ではないので、確かなことは言えないが、おそらくわたしの見た目はキュートガーリッシュだと予想される。全然似てはないけど、雰囲気としては小林麻耶とか宮崎あおいみたいな感じ。
 
 
けど、中身が全然そんなじゃない。
 
男の子にも女の子にも男前だねって言われたことがある。好き嫌いがはっきりしていて、白黒ハッキリつけたい性格なのだ。そして、自分が思っている以上にしゃべり方がハキハキしているらしい。
 
つまり、中身と見た目のギャップに悩んでいるのだ。全ての顔のパーツが小ぶりで薄いから、話さないと大人しそう思われていることも多い。実際、声は大きくて通るし、オープンマインドな方だと思う。
 
自分の魅力を演出したい! と思った時にどちらに寄せたらいいのかわからなかった。まず他人は人を見た目で判断する。だから顔に合ったファッションをするべきか? それとも人の魅力の本質は内面にあって、いずれ内面だって外見に表れてくる。それなら内面に寄せてかっこいい系で攻めるべきか? 迷う。
 
 
そんな時に、自分に似合う香水をアドバイスしてくれるお店に出会った。カウンセリングをして、本人にぴったりのものを出してくれるという。そのお店で引き出された自分の方向性で演出してみようと決めた。すごく楽しみにして行った。
 
お店の方はすぐにわたしの性格を見抜いた。全く気付かなかった自分の性質を暴かれ、占いの一種みたいで本当に面白かった。
外見と内面の齟齬の話もした上で、色々なタイプの香りを出してくれた。
「これは色気のある人だといい匂いに感じるんだよ」とか「これはキュート系だね」とか言いながら。
最終的に自分が選んだ香りについて、「どういう雰囲気を持つようになる香りなんですか?」と尋ねた。すると返事は、「それは特にないんだよね。これを選ぶ人は直感で選んでいく人が多い。フローラルの香りだけど」と。
 
いやいやいや。ちょっと、待って。
結局自分の選んだ香水は答えをくれなかった。
 
本来30分くらいのカウンセリングのところ、1時間以上も話した末に答えにたどり着けなかったってどういうこと? 今回の目的は果たせなかったの??
 
 
方向性をひとつに定めたい! と思っていたが、帰り道にその店員さんと話していたことを振り返っていたらどうでもよく思えてきた。実際今までだってどっちの自分がいいかな~と悩んでいながら、ぱっと見て好きな服を選んでいた。人から見られるのがファッションであって、自分がどう思うかは二の次、という人もいる中で、わたしはなんとなく自分の心ときめく服を優先してきた。甘すぎず、きちんとした雰囲気を持っていて、大人っぽい服。見た目とも中身とも合っていない。これが自分のスタイルである、というように何かに寄せ切っていなくてもいいのだ。自分が曲げないと決めているところさえ譲らなければ。
 
じゃあ、なりたい自分ってなんだったんだっけ?
 
何かに縛られず、自由な人。
 
 
見た目と中身のギャップについてのあれこれ悩みを捨てた時、本当になりたい自分が見えた。自分の見た目や中身にとらわれるのはやめよう。何かに寄せて、真似て、演じて。そういう風に頑張る必要はない。のびのび生きていこうと決めた。その時いい! って思ったものを直感で選び続ければいい。その瞬間こそ自分の魅力が表れるはずだ。どんな自分でも、自分であることに価値がある。色んな自分がいていい。自分は可愛げのない性格だと思ってきたけれど、そういえば、「めちゃくちゃ女の子! 少女! っていう性格だよね」と言われたこともあった。し、よく鏡を見てみれば、つり目なのでそんなに幼く見えると思っていない人もいるかもしれない。全ては自分の強い思い込みだ。そんな思い込みは捨てていきたい。
 
自分で選んだ香水を付けて、今日も出かけていく。
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