メディアグランプリ

自己肯定感が低かった私に「さよなら」を言えた日


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記事:はるな(ライティング・ゼミ日曜日コース)
 
 
「はぁ、ドキドキする……」
 
想定外にも一本早く乗ることができてしまった電車の中で何度思っただろうか。
そして当たり前だが、駅にも早く到着し、会場に向かう。
 
今日は私が高校生の頃に参加した、サマーキャンプの同窓会。
私が参加をしてすでに10年以上を経過していたものの、この経験があまりにもトラウマになっていて、ずっと足が遠のいていた。
以前に同窓会があった時は、その知らせですら目に入らず、後日いつの間にか終わっていたことを知る状態だった。
 
高校二年生の夏。
たった二週間の経験だったが、私の人生では忘れられない時間だった。
全国から集まった160人の高校生。
世界で活躍されている各界の著名人の方が講師として話をしてくださり、それに対してディスカッションをしたり、フィールドワークに出かけたりしたことで刺激的な二週間だった。
当時の私は高校でも成績は学年トップにいたこともあり、先生の勧めで推薦枠があったこのサマーキャンプに参加した。
だからといってそこに自負はなかったものの、とにかく周りのハイレベルな発言や知識量に圧倒され、みるみるうちに私の存在意義が分からなくなり、自信を失っていった。
 
「世の中には、同世代でもっと凄い人がたくさんいるんだ……」
 
16歳なりに世間を見る目が変わり、ここから自己肯定感は一気に下がっていた。
周りと比較をするようになったのもこの頃からだと思う。
 
あまり多くの人には話をしてこなかったが、正直今でもこの影響は残っており、よく自己肯定感が低いことを指摘されるがこの体験が今の私を築いているのだ。
 
夏が過ぎた頃、たまたまハガキでの知らせを受け取った母から「東京にいるんだし、せっかくなら行ってみたら?」と声をかけられた。
私自身も社会人になって、たくさんの出会いもあって少しは変わったかもしれないと思い、思い切って参加してみることにした。
 
当時一緒に過ごした仲間たちも、ほとんど連絡を取ることもなくなっており、一人での参加。
だからこそ一人で行ってもやることはないだろうと思い、「お手伝い募集」の言葉を見た瞬間、思い切ってお手伝いの参加まで名乗り出てしまった。
 
正直、10時半スタートのところ、お手伝いは9時集合と言われた際には起きることができるのか不安になり「ちょっと失敗した」と思ったものの、もう後戻りはできない。
 
そんなドキドキでいっぱいの日を迎えることになった。
 
会場に着くと、やはり知らない顔ばかり。
事務局のスタッフも、私は覚えているが、さすがに私のことは覚えてもいなかった。
「きゃー!」というような再会は一切なかった。
 
お手伝いでは、受付を担当することになった。
ここ最近はイベントで受付をすることも多かったので、手慣れたものだった。
 
たくさんの人がやってくる。
名前を聞き名簿にチェックを入れ、名刺をもらう代わりに名札と資料を渡す。
 
その時、同期がやってきた。
何となく覚えているものの、何と声をかけたらいいものかわからなく、これまでと変わらず対応をしてしまい、心の中では大反省。
「やはり変わっていない私……」と内心思ってしまったものの、それを察してくれたのかその人が受付のところに戻ってきて、話しかけてくれたのだ。
 
とても嬉しかったし、自然と会話が弾んでいった。
 
正直、当時のことを思い出そうと思っても、劣等感を抱いていた私自身しか記憶になく、たくさんのことを話すことはできない。
しかし久しぶりにあったが故、これまで何をやってきたのかを話すことで、自然といつも通りの私自身になり、変に演じたり考えたりしなくても良くなった。
 
「あれ、意外に大丈夫かも」
ふと、そう思うようになった。
 
その後も何となく記憶のある顔に「あれ、もしかして……」と名札を見て、思わず「覚えている?」と聞いてしまった私。
同期の参加者9名と久しぶりに顔を合わせることができた。
正直、当時の顔を全く思い出せない人や名前を聞いても思い出せない人もいたが、何だか懐かしいことだけは変わらない。
 
時間は本当にあっという間に過ぎていった。
 
「参加して本当に良かった」
 
正直何がきっかけで、大丈夫だと確信したのかは分からないが、朝のドキドキ感は何だったのかというくらいにこの時間を楽しんでいる私自身の姿を顧みて、これまで10年以上、自己肯定感が低かった私自身に「さよなら」を言うことができたような気がしている。
 
「分かって当たり前なはずだけど、分からないから何も言わないでみんなの意見を聞いていればいいや」
 
当時、完璧でいようとした私自身がいつの間にか設けた高いハードルだったのだのかもしれないと思うようになった。
 
「分からないなら分からないなりに、みんなにきちんと伝えれば良かったのかもね」
 
何だか高校生の頃の私に、未来に生きる私が助言をしたくなる気持ちだった。
 
たまたま今回後押しされて、後戻りできなくなって飛んでみたら意外に低かったハードル。
超えてみたらまた広がった世界がある。
 
それぞれ進んだ道で頑張る同期。
私自身も自分らしく生きたいと心に深く刻んだ。
 
「まだ私の中に置いてしまっている高いハードルは無いだろうか」
 
そう確かめたくなる一日だった。
 
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2018-11-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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