育毛こそ、ソリューション
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:Takayuki Kubo(ライティング・ゼミ平日コース)
「あれ、髪切りました?」
2018年8月、彼は誰にもぶつけられない怒りを、静かに自分の中で飲み込んだ。
バツの悪そうな顔をして、彼は言った。
「いえ、切ってないですよ」
そう、彼は髪なんて切っていない。
むしろ2か月くらい切っていないので、そろそろ切らないと、と思っていたところだ。
ではなぜ、「髪を切ったか?」と聞かれたのか。
彼の髪は薄くなっていた。
しかし、他人から見て判るほどではない。
髪が柔らかくなったこと、細くなったことを彼は感じていた。
つまり、髪の量が全体的に少なくなったことによって、他人から見れば髪を切ったように見えてしまったということだ。
断じて髪をすいた訳ではなかった。
彼の髪の薄さなど、他人にとってはどうでもいいことかもしれないが、彼にとっては触れてはいけない、とてもナイーブなことだった。
だからこそ、彼が心底悩んでいることに、他人が安易に触れることに対して、彼はとても憤ってしまったのだ。
普段ならそのまま忘れ去るであろう一言。
しかし、その日の彼は違っていた。
傷ついた彼はある一つの決心をする。
必ず髪のボリュームを増やすことを。
二度と、髪を切っていないのに、切ったかと言われないために。
安易な育毛であったり、発毛方法ではない。
確実に髪のボリュームを増やすために何が必要かを徹底的に彼は調べた。
徹底的に調べた結果、日本皮膚科学会が2010年4月、男性型脱毛症に関する治療法や育毛成分などを科学的根拠に基づいて「男性型脱毛症診療ガイドライン」を発表しており、その中で効くものは「ミノキシジル外用」と「フィナステリド内服」のみ、ということがわかった。
更に付け加えるなら、規則正しい生活と、バランスの良い食事も育毛には必須だった。
彼は愚直に、毎日これらを実行し続けた。
はじめは髪のボリュームのために始めたことだったが、生活習慣を改めることによって毎日が活力に満ちた日となった。
それから4ヶ月後、彼の頭皮に変化が見られた。
決意してから125日間、自分の頭頂部をスマホで撮り続けた。
それはまるで、荒れた荒野に少しずつ緑が芽吹き始めていくかのようだった。
明らかに、目で見てわかるほどに髪が増えていた。
今までは、しっかりと地肌が見えていた頭頂部。
今では、その地肌もかすかに見える程度。
「ここまで変わるものなのか」
彼はやり遂げた。
自分の頭皮を信じられなくなりそうになったときもあったが、彼は信じ切った。頭皮を。
そして、頭皮はそんな彼に応えてくれた。
「ありがとう」
思わず、彼は感謝を述べた。
自分の意志ではどうにも止めることができずにいた、抜けていく髪。
自分のものとは思えないその頭皮が、ようやく結果を出してくれた。
彼には自分自身の頭皮にもかかわらず、そこには感謝しかなかった。
黒々とした頭を手に入れた、それからの彼の世界は一変した。
まず彼の何が変わったか。
当然、見た目である。
湿気がちな日になると、頭皮に張り付いていた髪が、今では天気に関係なく自立している。
もともと柔らかい髪質ではあったが、一つの毛穴から何本も生えることと、一本一本の髪にコシが生まれることによって、お互いを支えることができている。ここ十数年と忘れていた感触だった。
そして、髪のためにと規則正しい生活とバランスのとれた食事のおかげで、肌ツヤも良くなり、血色も良くなった。
以前が不摂生というわけではなかったが、育毛のためにしたことが、彼の体調も良い方向に変えてくれた。
次に、彼は自信に満ちていた。
今までは、お辞儀や、電車の席に座ること、座って作業中に背後に立たれることなど、頭皮が誰かに見られる状況をできるだけ避けるようにしていた。
必ずしも薄毛に対してネガティブなことを考える人ばかりではないとは思っているが、彼は、あらわになった頭皮を見られることが嫌だった。
特に髪に対して意識がない人であれば何も感じないことだが、彼は日々の生活で常にストレスを感じていた。
毎日をストレスに囲まれながら生活していた彼は、薄毛を克服することによって、ストレスを感じる必要がなくなった。
以前は挙動不審だったかもしれない彼が、今では見違えるように堂々とできるようになった。
決して、薄毛を卑下しているのではない。
ただ、薄毛を克服した彼にとっては、薄毛を見られることが悪以外のなにものでもなかっただけだ。
今の彼があるのは、同僚の何気ない一言だった。
多くの人にとっては取るに足らない、些細な日常の一コマが彼の人生を変えた。
何がスイッチとなるかは誰にも分からない。
彼自身もここまで上手くいくとは思ってもいなかった。
育毛によって人生を変えた彼は今、育毛を啓蒙している。
少しでも薄毛で悩んでいる人のために、日々自分の体験や方法を共有している。
そして、育毛によってどのように人生が好転したのかを伝えている。
彼と同じように、薄毛というだけでストレスを感じてしまう毎日を過ごしている人を一人でも減らすために。
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