メディアグランプリ

「あたりまえ」の反対って?


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記事:小沼展子(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
私が住んでいる、「茨城県」は魅力度調査6年連続最下位だ。生まれも育ちも茨城県人の私から見れば、「そんなに悪くないのに、いや、良いほう」と思える。気候も穏やかで、太平洋にも面しており、東京や成田も、一時間ちょっとで到着するため、日本中はもちろん、世界中に簡単に行ける。逆に考えてみると、首都圏は行きやすい場所なのだ。県南のエリアは、首都圏に通勤する人たちが多く住んでいる。
 
今日も、用事があり、朝、地元のJRの駅へ行くと、駅前のロータリーに物凄い人だかりができていた。この人たちの目的地は、「国営ひたち海浜公園」の「ネモフィラ」だ。この時事になると、連日、「ネモフィラ」の事がテレビのニュースや、旅番組で告知されている。特に海浜公園の満開の「ネモフィラ」は「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」にも選ばれるほどのものらしい。GW期にネモフィラの満開の時期が重なるのは何年ぶりだろうか? 春の花ではあるが、近年の天候不順で、満開の時期がぴったり合うことが無くなっていた。先日、市役所の観光課の方と話した際に、「今年は良かった」と言っていた。
 
この「国営ひたち海浜公園」に、私は、ほとんどいった事が無い。車で数分の場所に住んでおり、「いつでも行ける」という気持ちがある。まして、「ネモフィラ」は、一度行ったきりだ。日中は混んでいるので、夕方の閉園間際の時間に、それも、風が強く寒い日に行ったこともあり、あまり良い印象が残っていない。そこにあることは「あたりまえ」なので、「ありがたさ」な無くなってしまっていた。
 
もともとこの「国営ひたち海浜公園」は、戦前は水戸陸軍飛行学校が作られ、戦後はアメリカ軍水戸射爆撃場とされていた。近隣の学校(私が通った小学校)は音を遮るために、窓が二重式になっていた。かつては、あの「東京ディズニーランド」の建設候補地に上がったこともある。私が子どもの頃は、整備されていなかったのでその前を通ることだけ「怖い」という感じもあった。しかし、「首都圏整備計画」の一環として、整備がはじまり、素晴らしい公園ができた。大変「ありがたい」ことだ。日本中、さらには世界中の人たちが、この時期のひたちなか市に訪れてくれている。重要な観光資源にもかかわらず、そこまで重要な場所という認識が私にはない。最初は「ありがたい」と思っていたことも、その出来事を共に過ごす時間が長くなり、自分の中の日常に入り込んでしまうと、「あたりまえ」になってしまい、気にかけなくなってしまう。
 
「ありがたい」「ありがとう」これを漢字で書くと、「有難い」「有難う」。この言葉の反対語は、「あることが難しい」の反対で「あることが当然」つまり「当たり前」なのだ。以前、新聞のコラム欄で読んだ内容である。この記事を読んだ時、「なるほど!!」と思い、周囲にいた人に伝えまくったが、「そう」とあまり相手にされなく、夫も、昔なら「凄い」とか「へえ~」とか、いろいろ反応して、そこから会話はずんだりしたのに、「ハイハイ」と、その対応にがっかりしたことがある。
「ありがたい」ことが、「あたりまえ」になりやすい今日この頃、特に、夫婦間で起こりやすいと思う。結婚当初は、少しでも家事を手伝ってもらうだけで、「ありがとう」という気持ちがあった。感激し、お互いに、「ありがとう」という言葉を交わし、穏やかな気持ちになった。しかし、時がたつにつれて、やることが「あたりまえ」、「ありがたい」の気持ちが減ってゆき、やらないことに苛立ってしまい、結果、言い合いになって、喧嘩になってしまうことも多々ある。
 
「ありがたい」の感覚が減ってしまって、「あたりまえ」になり、魅力度が減ってしまってしまうのかもしれない。茨城県の魅力度6年連続最下位も、このことが起因しているのかも? と思った。最初は、住みやすい場所=「ありがたい」それが、いつの間にか「あたりまえ」になってしまった。夫婦の関係も同じなのかもしれない。夫が元気で働いている、それは大変「ありがたいこと」である。最近、それが「あたりまえ」になりすぎて、忘れてしまっていた。
日本中・世界中の人がお金と時間をかけてわざわざやってくる、私はお金も時間かけずに行くことができる、そんな「ありがたい」場所ある。そのことに感謝しながら、夫とゆっくりと、訪れてみようと思った。
 
 
 
 
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2019-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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