チーム天狼院

【世にも恐ろしい女子ヒエラルキー②キャリア編】「ステータス」派か「収入」派か「福利厚生」派か?《川代ノート》


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「あたしたちこんなに頑張って勉強もして辛い就活も乗り越えたのにさ、いざ結婚となると、男は短大のバカな女を選ぶじゃん! これって不公平じゃない?」
こんな会話をキャンパス内ではよく聞いた。
うん、わかる、たしかにわかる。何にも努力してなさそうな、お嬢様っぽい高そうなピンクとかオフホワイトのふわふわした服着て、ヴィトンのン十万するであろうバッグひっさげて前髪カールさせてる女が男にチヤホヤされてんの見るとめちゃくちゃムカつくよね。私らは頑張って死ぬ気で受験して大学入って、精神崩壊しかけそうになりながら就活してんのにさー、あいつらは親の金でいい生活して、ついでに見た目もなぜかだいぶかわいくて、生まれた瞬間から人生イージーモードかよ、え!? と嘆きたくなる気持ちもわかる。こんだけ頑張ってても報われないことばっかなのに、男までひょいっと持ってかないでよ、っていうね。超わかるわー。
でもさ、こういうことをキャンパス内で、死ぬほどでかい声で言ってるからうちらはモテないんだってことも、いい加減、自覚しよう、ね。うん。
なんてことは本人にはもちろん言えないんだけどさ。
そんな風に心の中でつっこみを入れながら、ワセジョと一緒にいるのはやっぱり居心地がいい。落ち着くんだよねー。なぜなら、女子力が低いことに気がつかなくて済むからだ! 私たちが目の敵にしている女子大の綺麗なお嬢さんがたが、自分の見た目を一生懸命磨いたり、きちんとした教養や礼儀作法も身につけているからこそ男にモテるのだという事実から、目を背け続けられるからだ!「うちらは男に媚びたりしないし」と、モテない言い訳をし続けても、何の文句も言われないからだ! ハアハア。すいません第二章のっけから暑苦しくて。
さてワセジョは見た目に対する劣等感が強い、ということは第一章で説明したわけであるが、じゃあその劣等感をどこで消化するのか? もうおわかりですね。仕事です。
ワセジョに限らず高学歴女性というのは(早稲田って高学歴って言っていいですか? いいよね? それくらい許してもらってもいいよね?)、猛烈に溜まっているコンプレックスを仕事で燃やすことが多いと思うけれど、一方で頑張れば頑張るほどモテから遠ざかるという不遇に置かれている。ひどいよねえ。愛されたいから仕事がんばってんのにさ、真面目にやればやるほど愛されなくなるなんてさ!
この世が頑張ったやつに頑張った分だけ対価が支払われるというシステムならどんなにいいかと、何度思ったことだろう。しかし残念ながらまだそういうシステムは採用されていないようである。ちょっとお、どうなってんの神様たち! なんでこんだけ真面目に一生懸命やってる私が損してばっかで、あんなにわがままに振舞ってるあの女ばっかりモテるし、上司から評価もしてもらえるし、友達も多いわけ!? 納得いかない! と、天国に猛抗議しに行きたいくらいであるが、私はまだ、死ぬ以外に天国に行く方法を知らない。まー私は煩悩が多すぎて死んだとしても天国(っていうか極楽?)に行けるかどうかもわかりませんが。地獄からも受け入れ拒否されたらどうしよう。
この社会には理不尽なことがたくさんあるとは頭ではわかっているんだけれども、高学歴女子というのは、「頑張れば頑張った分だけ報われる」という希望をなかなか捨てられない。だいたいは自分のコンプレックスを努力で払拭してきたような真面目な子ばかりなので、現実を受け入れられないのだろう。私もそうだ。見た目というヒエラルキーでは勝てないからせめて、キャリアでは一流になりたい! という思考回路になってしまうのだ。
でもキャリアでマウンティングするのは、見た目みたいに簡単にはいかない。いろんな仕事があるから、自分が正しいのか間違っているのかわからない。どっちの方が価値のある仕事かわからない。だから余計に焦って勝ちたくなってしまう。
しかも恐ろしいことに、はじめは、寿退社目指してまーす(ハート)みたいな、見た目ヒエラルキーの勝ち組ガールズたちにメラメラ闘志燃やしてただけだったのに、就活を終えて働くことがリアルになってからは次第に、仲間だったはずのコンプレックス組のなかでも張り合うようになってきてしまうのだ。
女子の憧れの職業といえば、数年前までは華やかさもステータスもモテも手に入るキャビンアテンダントが定番だったけれど、今ではCAになったからといって得意げになる人はあまりいないように思う。CAの多くは契約社員であり、肉体労働であると世間的に認知されるようになってきたからかな? わかんないけど、かなりのホスピタリティを要するハードな仕事だとみんな知っている。華やかであることの代償が大きすぎる。私たちゆとり世代は結構シビアなのだ。
その女の憧れの職業として不動の一位だったCAの地位が揺らいできている今、どの職業につけば一番「すごい」と言ってもらえるか、あるいは「うらやましい」と思ってもらえるか、を決めるのはかなり難しくなってきている。とーっても難しい。だからこそ就活をして自分の進路を決めるのにひどく悩んでしまう、というのもあるのだけれど。
たとえば私の周りでは、大企業に入るのが多数派だった。ベンチャー企業で裁量の多い仕事をしたいという子ももちろんいたが、それはだいたい男子で、完全に実力がなければやっていけないところに新卒でいきなり飛び込む勇気のある女子は少なかった。
ステータスと収入と福利厚生。正直なところ、そのすべてが一度に入る仕事につけるならこんなにいいことはないが、たいていはそのうちのどれかを捨てなければならない。
たとえばステータスなら、大手商社の一般職。昔から、エリート商社マンのお嫁さん候補だから顔採用じゃないかと噂されている。実際のところがどうかは知らない。でもその実、商社の一般職に内定をもらった子はみんなかわいい。三菱商事なんかはすごい。見た目ヒエラルキーで言えば「普通」以下に属する子はまずいない。「美人風」のなかでもかなり上位の美人が集められている。きちんと爪の先から髪の毛の先まで手入れが行き届いていて、カーディガンには一つの毛玉もついていないような女の子ばかりだ。私みたいに、家を出る十分前に起きてろくに化粧もせず、髪もボサボサで服もクローゼットを開けた時に最初に目に付いた服で出社するような猛者はなかなかいない。
とにかく丸の内だの大手町だの浜松町だの虎ノ門だの、お洒落ビジネス街のオフィスレディの地位を勝ち得る子というのは並大抵じゃない女子力を持っているのだ。しかも、最近では女子力だけでなく頭もよくて仕事もできる子じゃないと合格できなくなってきているらしい。要するに、他の大手企業の総合職にでも平気で内定をもらえるような優秀な女子が、収入が多少劣ってでも手に入れたいほどの輝かしいステータスが商社OLにはあるのである。一千万プレイヤーとの出会いがうじゃうじゃしているし、女子力が高いことと頭がいいことの証明にもなるので、女としてのプライドを満たすにはかなりいい職業なのかもしれない。福利厚生もいい。給料がなかなか上がりにくいとも聞くが、キャンキャンに出てくるような「キラキラ女子」であることに魅力を感じる女子にとっては譲歩できる程度のことなのだろう。
もし安定を求めるなら医療関係の会社がいいと聞く。いわゆるホワイト企業というやつだ。福利厚生もしっかりしているから産後復帰もしやすい。しかも給料もいい。ただしよっぽどの大手メーカーじゃない限り「すごいね」と言ってもらえる可能性は低い。なんとなく医療系は地味な理系のイメージがあるからかな? 就活生の人気は案外低かったような気がする。
とにかく収入がほしい、と言うなら広告代理店とかね、すごいもらえるらしいですよねー。うふふ、ごく普通の会社員がきいたら卒倒するほどもらえるらしいですね。言わずもがなステータスもある。有名人とお近づきになれる。いわゆる「一流」と呼ばれる人から刺激を受けられる。広告代理店は就活生の人気も高く狭き門なので「優秀」とか「仕事ができる」とかいう評価が好きならもってこいだろう。ただし深夜まで残業するのが当たり前なうえに、取引き先との飲み会も明け方までやるのが普通だ。仕事ができなければクビになる可能性もある。
まあ、総合して何が言いたいかというと、ステータスと安定と収入、このすべてを手に入れられる職業というのはかなり限られているのである。というより、ほぼないに等しいんじゃなかろうか。グーグルやアップルなどの世界的にも人気の外資系は、将来性があって安定しているうえに給料もよく、かつ好きな時に働いて好きな時に休めるし、仕事中に遊んでもいいシステムを使っているとかで、よくみんなが働きたい理想の会社とか言われてるけどさー。それって結局グーグルに入社できる人がみんなウルトラスーパー死ぬほど頭いいからでしょ? 凡人がグーグルに入社したらたぶん電通よりがむしゃらに働かないとやってけないか、もしくは入社初日にクビになるレベルじゃないの?
こう言ってしまうと身も蓋もないが、結局はステータスも収入も福利厚生も手に入れられる会社に入社できるような女というのは、なんなら会社に属さなくても一人で食っていけるくらいの仕事ができる人なのだと思う。
みんなできることならそういう女になりたい。そういう大きな影響を与えられる女になりたい。でもほとんどの女はなれない。
だからこそ、女は就活で悩む。私は内定が二つしか出なかったのでほぼ悩まずに決めることができたが、なかには三社も四社も内定をもらって悩んでいる友人もいた。「ここ給料いいじゃん」「でも福利厚生いまいちってOBの人が言ってた」「じゃーこっちにすれば?」「でもここってあんまり有名じゃないし」「じゃーこっちにしなよ」「でもこれはいざ転職したくなった時に潰しきかないし……」
えーい! もう、はよ決めんかい! と何度も彼女と話したのが懐かしい。私からすればそんなに内定もらって羨ましいという感じだったけど、彼女的には「こんなことになるならあんなにエントリーするんじゃなかった」という感じらしい。まあたしかにね。のちのちあっちにしておけばよかったとか考えちゃうかもしれないしね。
結局どの職業を選んだって隣の芝生は青く見える。それが女ってもんだ。それが人間ってもんだ。
私だって今でも、卒業以来いかにもOLさんらしくなった、その彼女と久しぶりに会うと焦る。かなり焦る。私はサービス業なのでOLらしいキラキラ生活とは無縁だからだ。なのでよくOLになってたらどうだったかなと妄想をしてしまう。
「ごっめん、今日合コンなの! 引き継ぎお願いしてもいい?」
「もう、仕方ないなあ、この借りは高いわよ?」
「本当にごめん! 今度キルフェボンのマカロン(食べたことないけどOLのイメージ)買ってくるから!」
と両手を合わせてごめんのポーズをする同僚を見送り、
「さて、もう一踏ん張り、がんばるかあ」
と伸びをしたところに、田中圭似のイケメン先輩がやってきて
「川代、大丈夫か? 無理すんなよ」
とあったかいコーヒーを差し入れしてくれる……。ついでに同僚の綾野剛がどこからともなくやってきて「さっきあいつと何話してたんだよ」と嫉妬してオフィスで壁ドンしてくれたらサイコー……キュン……オフィスで壁ドンってすっごいエロいよね……。
なんてことをね、よくぼんやりと考えては三菱商事に行った友人やオリエンタルランドに行った友人や講談社に行った友人が羨ましくなったりする。ついでに留年して就活をしていた友人がいい企業に内定をもらったと聞くと、嬉しいような、悔しいような、蹴落としたいような気持ちにもなる。
だって、私は今の会社に入ったと言って「すごい!」とか「羨ましい!」とか言ってもらえたことが一度もないのだ。サービス業は就活生に羨ましがられる対象じゃない。だから、私は結局キャリアというものさしでも自分のコンプレックスを満たすことができなかった。しくしく。
でもなんというか、これでもいいな、と最近思えてきているのは、女子力がなくても、すごい会社に入ってなくても、ちゃんと自分を養えるくらいには生きていけるんだと、気がついたからかもしれない。別に大企業に入れなくたって死ぬわけじゃない。キラキラOLじゃなくても死ぬわけじゃない。だいいち、毎日ヘアアイロンで前髪を巻く気合は私にはない。もーめんどくさいんだもん。
まーね、いろいろしがらみとかあってね、大変だけど、がんばりましょーよ。
とりあえず、可愛らしい女子大のお嬢さんがたに、鬼のような嫉妬の目を向けないようにすることからはじめなければ。他の女を見下してる女の顔ほど不細工なもんはないもんね。アレ、ってことは私……。やばい、ちょっと鏡見てきます。

つづき(「デキる女」ってなんでみんな前髪立ち上げてるの?《女子とプライド①》)は、12月6日夜9時公開!

前回【女子ヒエ①見た目編】男がよく聞く「お前自分のことかわいいと思ってるだろ?」という質問に、正直に答えよう《川代ノート》

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