チーム天狼院

「面白い」とは何か研究 《川代ノート》


 

 

https://tenro-in.com/zemi/192467/

 

記事:川代紗生(天狼院スタッフ)

 

「面白い」って、何だろう。
 ここ数年、そんなことをずっと、ずっと、ずーっと、考え続けている。うう、もう疲れたよ。とはいうものの、ライティング・ゼミで読まれる文章の書き方をお話ししたり、課題のフィードバックをしたりする以上、この問いから逃げることはできない。雑誌『READING LIFE<文章特集号>』をやることもあって、ずっとぐるぐる考えている。はたして、「面白い」とは何か?
 まずは、「面白い」を、うちにあるどでかい『新明解国語辞典 第7版』(三省堂)で調べてみる。

① 何かに心が惹かれ、続けて(進んで)してみたり見たり聞いたりしたい様子だ。
② 普通とは変わったところが有り、続けて(進んで)味わったりつきあったりしてもっと内容を知りたい感じだ。
③ こっけいな事やうれしい事が有って、笑いが止まらない状態だ。


 ここでいう③というのは「お笑い」的な、いわゆる芸人さんたちのいう「おもろいなぁ」的な意味合いだろうから、いったん今回の「面白い」研究からははずしていいだろうと思う。
 さて、残った①と②をみてみると、どうか。
 共通項を洗い出してみると、ひとつのキーワードが浮かんでくる。


【続けて(進んで)してみたり見たり聞いたりしたい】
【続けて(進んで)味わったりつきあったりしてもっと内容を知りたい】


 つまり、どんどんその先を知りたくなる。もっと教えてくれ、と思う。好奇心が掻き立てられ、みずからすすんで探求したくなる、ということだよね。
 なるほどな、と思う。たしかにこれは私がいま因数分解したいと思っている「面白い」の概念にはぴったりと当てはまるかもしれない。

 ようするに、新明解国語辞典さんの言葉を参考にするならば、「面白い」ものをつくるには、読者に「続けて(進んで)してみたい/知りたい/見たい/聞きたい」と思わせなければならない、ということだ。


 ならば、どうしたらいいのか?
 私は最近よく考えるのだけど、この「続けて(進んで)してみたい」というのをもっと噛み砕いてみると、「続きを予想したくなる」というのが重要じゃないか、と思うのだ。


 私も読者として何かを読むときはそうだけれど、つねにその先を予想しながら読む。たとえば名探偵コナンなら、黒の組織の目的って何? ラストバトルどうなるんだろう。黒幕が阿笠博士だったらどうしよう。いやいや、男性と見せかけて女性という線もあるかも。そもそも黒の組織の狙いって何? 的に、いろいろなパターンの結末や種明かしを予想する。こうだったら面白いかな、このキャラがこう動いたら面白いのになあ、とか。
 きっと私たちはいつも何かを読むとき、観るとき、無意識にこうなるんじゃないか、ああなるんじゃないかとその先を想像しながら読んでいて、面白い作品であればあるほど、読者がその先を想像したくなるような「問い」や「謎」がうまいバランスで散りばめられている。エヴァンゲンリオンとかもそうだよな。「NERVの本当の狙いは何なの?」「綾波とゲンドウの関係は?」とか、ストーリーがすすむほどに魅力的な謎がどんどん出てきて、予想をせずにはいられない。


 で、アニメや漫画のように「オチ」がわからない期間が長く続く作品の場合、「謎」に焦らされ、もんもんとした気持ちをなんとか発散したいから、Twitterやらpixivやらで同じ趣味を持った仲間と集いたくなる。溜まったフラストレーションを二次創作で発散したりもする。「あれってめっちゃ続き気になるところで終わったけどどうなるのかな?」と口コミで広まったりもする。


 そうやって読者はその先を予想しながら作品を読むわけで、そのオチについて考えている時間も楽しかったりするんだけど。その「面白い」という感情がさらに強くなるのは、自分が予想・期待していたものを上回る、意外で納得感の強い「答え」が提示されたときなんだろうな、と最近思う。

 ああ、そういう「答え」があったのか! 的に、自分がうんうん頭をひねっても考え付かなかった、意外性があってかつ納得感の強い「答え」が提示されると、あー、うまいなあ、やられた! というように、感動する。「あれめちゃくちゃおもしろかったよ」と口コミがさらに広がったりする。

 だから、書き手としては「読者が続きを解き明かしたくなる謎をいかに散りばめられるか」「その謎にたいする答えは意外性と納得感を兼ね備えているか」をつねに考えなきゃいけないんだろうなあ。

 と、ちょっと考えてるときりがないけど「面白い」の因数分解って本当に楽しいなー。きっとこの感情もいま、私の「面白いとは何か」という問いにたいする「答え」を解き明かしたい、という欲求からきている「面白い」なんだろうな。

 まだすべてを解き明かせたようなスッキリ感はないから、この研究、『READING LIFE<文章特集号>』の第一特集でやろうと思っています。いろいろな人に「面白いって、何だと思いますか?」と質問しまくってみるつもりだ。

 十人十色の「面白い」の定義が集まるんだろうなあ。めちゃくちゃ楽しみ!

 

 

 

 

 

❏プロフィール
川代紗生(Kawashiro Saki)

ライター。 天狼院書店スタッフ。ライティング・ゼミ講師。東京都生まれ・早稲田大学卒。WEB記事「親にまったく反抗したことのない私が、22歳で反抗期になって学んだこと」(累計35万PV)等、2014年からWEB天狼院書店で連載中のブログ「川代ノート」が人気を得る。レシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。メニュー告知用に書いた記事がバズを起こし、2021年2月、テレビ朝日『激レアさんを連れてきた。』に取り上げられた。天狼院書店で働く傍ら、ライターとしても活動中。

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