チーム天狼院

売上数0だった僕が、バイトでトップにまでなったたった3つの戦略《スタッフ石坂の経験》


天狼院書店の石坂でございます。

 

天狼院書店で働く前、僕はドラッグストアで働いておりました。

主な業務は、品出し・レジ・掃除・接客・販売。

 

そのドラッグストアでは、「販売」という業務が大変重要でした。

というのも、そのドラッグストアでは全店舗で高級シャンプーの販売促進をしており、各店舗に、売り場面積に応じた販売ノルマがありました。ですから社員の人たちはかなり力を入れて販売をしておりましたが、なんせ高級。お値段も高級なのです。やはり思うようには売れず、ノルマを達成できるかどうか、毎月ギリギリでした。

 

一方、アルバイトの僕たちには販売ノルマはありません。店舗のノルマは基本的に社員の人が気にすることで、僕たちにとってノルマが達成されようとされまいと、関係ないのです。売れても売れなくても時給は変わりません。

僕たちアルバイトがすべきことは、社員の人の仕事をすこしでも減らして、販売に集中してもらうこと。レジ・品出し・掃除は僕たちでもできますから、主にアルバイトはこれらの仕事をしておりました。

 

しかし、これでは時給マインドに陥ってしまいそうです。

 

 

まずは「時給マインド」についてすこしお話ししましょう。

 

天狼院でもお世話になっている太田彩子さんの著書『これからも働き続けるあなたへ』(大和書房)にこの言葉があります。

 

「お給料は、時給で決まるんだから、売れても売れなくても関係ない。どうせなら、よりラクをして同じお給料をもらったほうがいい」

 

これが時給マインドに陥るということ。この時給マインドから抜け出すことができれば、人は大きく成長できると言います。

例えば、スーパーでアルバイトをしているとします。時給900円として、17時から21時まで働いたとしても3600円にしかなりません。たった3600円しか貰えないのなら、時給以上のことをするのは消耗以外の何物でもない、と考えてしまうかもしれません。

 

しかし、目の前にはお客様がいる。

つまり、スーパーでのアルバイトは消費の最前線にいる、ということです。どんな陳列をすればお客様が買ってくれるのか。これらは社会に出た時に役立ちます。または、どんな接客をすればお客様に喜んでもらえるのか。どんな笑顔でお客様をお迎えすればいいのか。ホスピタリティを学ぶことも出来るんですね。また、どうやって後輩を指導すればいいのか。人の上に立つ、ということも経験できます。

 

このアルバイトの時間を「学びの時間」とすることができれば、タダで、いや違いましたね。お金をもらいながら色々なことを学べるのです。こんなに有意義な時間はありません。

 

 

話を戻しましょう。

 

ドラッグストアで高級シャンプーを売ること。それは社員さんにとっては重要な事でしたが、僕達アルバイトにとってはさほど重要ではありませんでした。売上数で時給は変わりませんからね。

 

ただ、ここで僕は思いました。

「どうせなら本気で売ってみようかな。」と。つまり時給マインドに陥らずに済んだのです。

 

とは言っても、最初の数ヶ月は全く売れませんでした。毎日毎日お客様に声をかけ、「このシャンプーいかがですか?」と勧めました。ですが全く売れません。ゼロです。

ですが数カ月後に1つ売れてからは、コンスタントに売れていくようになりました。

その後はどんどん売れるようになって売上数も増え、いつしかその店舗では「エース」とまで呼ばれていました。

なにが売上数を増やしたのでしょうか。どうして売上数が上がったのでしょうか。

僕が気をつけたことはほんの少しだけだったのです。

 

①    「むやみに売りつけようとしない店員を演出する」

それまで僕は、お客様にいわば「売りつけよう」としていました。シャンプー売場にいる人には全員に。

ですがシャンプーコーナーにいるみなさんはシャンプーをお求めでも、それぞれが求めるものは違います。そもそも最初から値段の安いものを求めているお客様に、どんなに声をかけても売れないでしょう。だからといって、そういった方を放っておくわけではありません。安い商品もたくさんあります。お客様のお悩みを聞いて、それにあった安い商品を紹介してあげます。

こういうお客様に心がけたことは、「むやみに売りつけようとしない店員さん」という印象を与えることでした。その会話の中で、すこしだけ高級シャンプーを紹介しますが、あくまでも頭の片隅に引っかかる程度。次回来店されたときに、「そういえば、この前の店員さんが高級なシャンプーをオススメしてたわね。ちょっと見てみようかしら。」と思い出してくれれば、その時の接客は成功だと思います。その時に売れなくても、次回に売れればそれでいいのです。

 

②    「知識を売るのではなく体験を売る。」

そもそも売っている商品がどんなものなのか、自分自身が分からなければ絶対に売れません。それは単に販売マニュアルを覚えるだけではないのです。

僕の場合はまず、なぜ髪の毛のトラブルが起きてしまうのかを勉強しました。髪の毛が薄くなるのはなぜか。髪の毛が根本からふんわりせず元気がないのはなぜか。パサつきの原因は?

そしてそれぞれのトラブルに対する有効な対処法を学びます。どんな成分が有効なのか。そうすれば、その成分が含まれているこのシャンプーがいかに有効かを知ることが出来ます。

 

ですがこれらは知識。知識を持ち合わせているのは当然のこと。

重要なのは「知識+体験」です。

 

「体験を売る」

つまり実際に使ってみてどうだったか。実際に僕が使った体験をお客様に伝えられれば、僕の謳い文句もより信頼できるものになるはずです。また僕は男性ですが、女性の意見も取り入れるため、この商品を実際に使っている女性スタッフに話を聞き、どんな効果が現れたかを聞きます。

本当のことを言うと、どんな効果が現れるのかはある程度予想できます。なぜならその商品に対する知識は既に持っているから。モニターの言葉が記載されていますしね。

しかし、マニュアルに記載されているモニターの言葉には魂がありません。魂の抜けた言葉ほど無意味なものはないでしょう。お客様には絶対に伝わりません。

実際に使ったスタッフの言葉には、やはり魂がこもっています。

黒く真っ直な長い髪が魅力的だったスタッフは、毛先のパサつきに悩んでいたそう。ところがその商品を使うと、

「パサつきが無くなったんだよね。」と嬉しそうに、また自慢げに言います。

これは、文字にしてしまえばモニターの言葉と同じ。ですがこれを実際の体験談としてをお客様にお話しできるので、やっぱり説得力は増しますよね。

 

③    「自分のターゲット層を決める」

これまで僕は、片っ端からお客様にお声かけしていました。それこそ老若男女問わず。ですが、ここで僕は少し考えてみました。「40・50代の男性が、僕のような20そこそこの男にシャンプーを勧められたところで、はたして買うだろうか。」と。髪の毛が薄くなり始めたころに、若々しいふさふさの髪の毛の20代の男性が「このシャンプーでお悩みが解消されますよ」と言えば、それはむしろ嫌味に聞こえそうです。

「ここじゃない。」そう思いました。男性にはおそらく売れないだろう。だったらターゲット層を決め、その人たちに集中する。その人達だけを狙おう。その層とは?

 

正直に言うと、僕はある層にかなりモテます。

 

それは僕の母親世代。つまり、40・50代の女性です。

僕はそれこそ中学生くらいのころからずっと、友達のお母さんにはかわいがってもらっていました。あ、変な意味ではないですよ。まるで息子のようにかわいがってくれる、という意味です。

「そうだ、ここだ。この層なら売れそうだ。」と思いました。それ以来、男性客には目もくれず、ひたすらお母さん世代の女性に販売しようと心がけました。

また接客中、お客様はなにを求めているのかを常に考えていました。それは商品を、ということもそうですが、僕にどうして欲しいか、ということも含まれます。

僕にどうして欲しいか。つまりどのように接して欲しいのか。僕なりに考えた結果、それは「息子のように振る舞う」ということでした。

といってもくだけた言葉使いという意味ではありません。「店員とお客様という関係性の心の距離」を少しだけ縮めるということです。すこしだけ心のパーソナルスペースにおじゃまするような感覚ですね。これはうまく言葉にできないのですが。

 

とにかく僕は、40・50代の女性層を中心に販売をしました。

 

 

これら3つのことを実践すると、劇的に売上数が増えました!なんせ最初はゼロだったんですから、かなり嬉しかったですね。

ただ、売上数が伸びた理由は上記の他にもあります。僕だけの力ではありません。それは商品の力。やはり高級なシャンプーだけあって、効果も現れやすく、髪トラブルが改善されるのが、手に取るように分かるのです。ですからリピート率がものすごく高い。

つまり、一度新規のお客様がそのシャンプーを使えば、あとは何もしなくても、もう一度購入してくれるのです。

ですから僕がしようとしたことは、新規のお客様をどう捕まえるか、ということでした。そのために上記のことを心がけたのです。

 

 

この高級シャンプーを販売した経験は今でも役立っていると実感しております。

消費の最前線で、自分なりに考えたことを実践して、実際にお客様が購入してくれる。初めて売れたときは、それはもうかなり嬉しかったです。その時の事は今でも思い出せますし、買ってくれたお客様のお顔も覚えているくらいです。

 

そしてそのドラッグストアを卒業するとき、社員さんが「これで売上が落ちちゃうな~。やめないでよ~。」って冗談っぽく言ってくれたとき、ちょっと泣きそうになったのはここだけの話です。


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2014-06-27 | Posted in チーム天狼院, 記事

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