メディアグランプリ

メイド長は戦隊の「赤」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:大村侑太郎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
福岡県はコンセプトカフェの激戦地だ。特に北天神と呼ばれるエリアにはいくつもの店がひしめき合っている。
そうした店で働く女の子達は入れ替わりが激しい。主に学生の子が多いので当然ではあるが、その分本当に数えきれないくらいの子たちが今日も働いている。
 
そんな中で、個人的に突出した存在感を持つと感じている女性がいる。僕がよく行くメイドカフェでメイド長を務める女性だ。
その理由は明確だ。あらゆる点で彼女のポテンシャルが高いのだ。
店でのメイドの他にアイドル活動、SHOWROOMでの配信活動、Twitterやインスタグラム、雑誌インタビューへの登場など彼女の活動は多岐に渡っている。
 
そんな多忙な日々を送る彼女だが、店での接客では疲れた顔一つ見せずいつも笑顔だ。客と楽しく接しながらも守るべきラインをしっかり守り、その中で最大級のもてなしを常に行っている。
そして彼女は引き出しが多い。僕は読書が好きだが、彼女も本を読むのが好きだという。自分を磨くために本を読むのだと言っていた。メイドカフェというと今でもアニメ好きが行く場所というイメージを持つ人がいるかもしれないが、この店には彼女と話すために読書好きが行く価値がある。
また、イラストを描くのも得意らしく店に置かれたノートには彼女が描いた絵があった。素人目に見ても上手く、イラストが好きな人が行くのもいいと思う。
 
そして彼女は会話がとても上手い。特に切り返しの秀逸さは僕には絶対に無理だと感じるほどずば抜けている。
SHOWROOMでの配信時には観ている僕たちのコメントに彼女が反応するのだが、必ず笑いを交えた切り返しをしてくる。そこには一瞬のためらいもない。ずっと同じペースで話すのではなく、緩急を織り交ぜて軽快に話している。
観ていてそれが実に気持ちいいのだ。名家の上品なお嬢さんのような彼女が笑いを入れてくるそのギャップはたまらない。
例え店を離れた場所であっても店と同じように明るい姿を見せてくれる。僕たちもそんな姿を求めている。僕たちの求めに誠実に応える彼女の姿はプロフェッショナルそのものだ。
 
Twitterでも彼女は僕たちのメッセージに必ず返事をくれるし、誰よりもたくさん写真を載せている。疲れて更新するのが大変な時もあるだろうに、その誠実な仕事への姿勢には頭が下がる。
 
「福岡で一番のメイドは誰かの問いに、私と答えてもらえるよう頑張ろうと思っている」
彼女があるインタビューで語っていた言葉だ。その目標に彼女は精一杯向かっている。
 
だけど、そこには多くの困難がある。
 
接客業である以上、マナーを守らない客の対応をしなければならない時もある。男性客がほとんどで、店員が女性だけなら他人には言えない苦労もたくさんあるだろう。
 
そして、彼女は孤独とも戦っていると僕は考えている。店を辞めることをメイドカフェでは卒業と呼ぶが、彼女はずっと後輩の子たちが卒業する姿を見続けてきた。
一見笑い声が溢れる楽しそうな場に見えるメイドカフェも、実は多くの別れの上に成り立つ場所だ。女の子と話したり笑いあったりして楽しい時間を過ごせば過ごすだけ、別れの辛さは増す。
だけど、それは一緒に働いている彼女の方が寂しさは強いに違いない。そんな孤独とずっと戦っていると思うから、僕は彼女に敬意を感じるのだ。
 
別のメイドカフェで働いている子が忘れられないことを言った。
「あそこのメイド長さんは目標なんです」と。
 
例えば戦隊ヒーローと言えば多くの人が「赤」を思い浮かべるだろう。「赤」とは言わば戦隊のヒーローの顔であり、作品のイメージすら左右する存在だ。
 
まさにメイド長の彼女は、戦隊の「赤」のような存在だ。彼女の存在が店の雰囲気を作り出していると言っても過言でない。
店の女の子たちはみんな気さくで素敵な子ばかりなのだが、それも彼女という大きな存在が身近にいるからこそだと思える。
 
「この人のようになりたい」
 
性別を超えてそう思わせる力が彼女にはある。
トップの腐敗した組織は必ず腐敗していくと言われるが、彼女が中心となって頑張っている限りこの店は必ず大丈夫だ。
 
この一年ほどでたくさんの人に会った。どれも学ぶべきことは多くあったが、彼女との出会いも自分には大きなものだ。
彼女の姿を見ていると色々なことを考えさせられた。仕事への向き合い方、人への接し方、寂しさに立ち向かう力……
 
心に優しさと勇気を与えてくれる彼女は、まさにヒーローだと僕は思う。
 
 
 
 
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2019-10-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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