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夜暴走する人へのお勧めアイテム


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岡田ゆり子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
私には寝る時に欠かせないものがある。
 
かれこれもう十数年近くその習慣を続けている。
 
初めてそれを装着したときは痛かった。数日間、違和感や痛みに悩まされたが、慣れというのは不思議なもので、今では夜それをつけていないと安心して寝ることができなくなってしまった。
 
十数年の間に2回ほど無意識のうちに壊してしまったので、その度に作り直した。今使用しているのは3代目だ。とてもつけ心地が良く、私の体にシンデレラフィットしている。
 
もちろん旅先にもそれを持っていく。海外旅行の際には紛失すると困るため、スーツケースに入れず、貴重品として手荷物に入れて持ち歩く。
 
それを装着するタイミングはベッドに入る寝る前だ。シャワーを浴びた後、髪の毛を乾かしたり、歯磨きをする流れで、私の夜寝る前の一連のルーティーンの最後に、それを装着してからベッドに入る。
 
もし、体調が悪かったり、旅先に持っていくのを忘れて、それなしでベッドに入ることになった場合、私にとってパンツを履かずにベッドに入ってしまったのと同じくらい、心許なく、落ち着かない夜になるだろう。
 
私がそれを使い出したのは、13年前に長男を出産した後だった。
 
高齢出産だったことも関係していたのか、私は産後によくあるマイナートラブルのオンパレードに毎日悩まされていた。
 
赤ちゃんを抱っこすることによって起こる腱鞘炎、乳腺炎による発熱、寝不足による疲労感等だ。
 
そんな日を送っていたある朝、右奥歯の痛みで目が覚めた。
 
妊娠初期、つわりがひどく、歯磨きが十分にできていないこともあったので、もしかすると虫歯かもしれないと思った。よく毎日こんなに不調が続くものだと、半ば諦めながら歯医者に行った。
 
レントゲンを撮ったり、診察してもらったが、異常はなく治療するほどの虫歯はないと歯科医に言われた。
 
歯科医は続けた。
 
「歯ぎしりがひどいみたいですね。犬歯がかなりすり減ってます。
おそらく痛みは歯ぎしりが原因でしょう。
歯ぎしりはストレスが原因とも言われています」
 
確かにその頃の私は、産後の慣れない育児と体調不良で、かなりストレスを抱えていた。
 
歯科衛生士から渡された鏡をみると、歯科医が言うように、本来なら先が尖っているはずの私の犬歯は両方とも平らになっていた。
 
「歯ぎしりにはマウスピースをお勧めしています。
強い力で噛み締めているので、歯が欠けたり、ひびも入ってきています。
虫歯はこういうところに起こりやすい。
 
過去の虫歯の治療の詰め物も取れやすくなります。
私もマウスピースを着けて寝ています」
 
そういって透明のプラスチックのような素材でできたサンプルを見せてくれた。
 
虫歯になったら食事を楽しめないし、歳をとって入れ歯のお世話にもなりたくない。私は早速マウスピースを作ってもらうことにした。
 
歯型を取って作ってもらったのだが、3ヶ月ほどで割れてきた。
歯科医が、私の歯ぎしりの圧に驚いていた。普通はそんなに早く破損しないそうなのだ。保証期間内だったので、もう一度作り直すことになった。
 
歯ぎしりの圧がどれくらいなのか気になったので調べてた。30キロから60キロの重みが歯にかかっているということだった。人間一人の重さだ。マウスピースをしていなければ、代わりに私の歯が欠けたりひびが入ってしまっていたかもしれないと思うと、自分の暴走する歯ぎしりが怖くなった。
 
その後私はアメリカに移住した。3個目のものはこちらの歯科で作ってもらったものだ。日本で作ったものよりはるかに高い値段だったが、その時点で、2個めのマウスピースも割れてぼろぼろになっていたし、私の安眠には不可欠な物になっていたので新しく作った。今までとは違なる強力な素材で、長い間使っているが、今も破損することなく使い続けているので満足している。
 
マウスピースのおかげで、ここ数年虫歯はないし、歯の詰め物が取れることもなくなった。
 
つい先日、私の知人が大掛かりな歯の治療をするという話をしてきた。
 
昔から歯の不調が多く、歯ぎしりもしているのでマウスピースを歯科医から勧められたが、痛くてすぐ止めたそうなのだ。
 
私は彼女に「マウスピースは歯のシートベルトなんですよ」とアドバイスした。
 
随分前、自分が子供の頃、シートベルト着用が義務付けされたとき、シートベルトを締めると窮屈で肩が凝る感じだった。だが、今では運転時に常にシートベルトを着用しているので、それに慣れてしまった。むしろ運転席と一体感があって安心する。マウスピースも同じで、最初は違和感や痛みがあるが、なれると装着したほうが安心して眠ることができるようになってくる。
 
また、交通事故にあった場合、シートベルトは私達の大事な命を守ってくれる。事故自体を防ぐことはできないが、事故による怪我を最小限に防いでくれるのだ。マウスピースも歯ぎしり自体を止めることはできないが、歯を歯ぎしりの圧から守ってくれる。
 
私は知人に、始めてマウスピースを着けたとき、最初は痛みがあるかもしれないが、そこで痛いからとマウスピースを止めてしまうと、歯ぎしりで歯をますます痛めてしまうので、少し我慢して装着を続ける事をお勧めした。
 
「ちょうど、買ったばかりの靴を履くと、靴擦れをしたり、足が痛いこともあるが、履き続けていると靴が足に馴染んでくるような感じですよ」と。
 
私もこの記事を書いていたら眠たくなってきた。
 
そろそろシャワーを浴びて、暴走する歯ぎしりから歯を守るために、今夜もシートベルトを締めてベッドに入ろうかと思う。
 
 
 
 
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2019-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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