メディアグランプリ

凸凹のまま、生きていく


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ごんま(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「あなたはやっぱり変わってる。普通でいいのに」
「その程度の仕事で弱音を吐くなんて、おまえは本当に覇気がないな」
 
まただ。両親の言葉が突き刺さる。
 
私は、「内向型」という特性を持っている。外部からの刺激に弱く、エネルギー回復のためにひとりの時間が必要だ。じっくり考え、自分で納得してからでないと、思いが言葉にならず、行動もできない。
 
両親は、そんな私を幼いころから見ていた。自己主張が下手で、周りの子からいつも一歩遅れている娘。
「このままでは将来苦労するぞ……」
ひとり娘だからなおさら、心配だったのだろう。
社会に出て、人間関係が広がると、精神的な消耗がさらに激しくなった。その様子を見て、両親の言葉はだんだんエスカレートしていった。
 
「なぜ社会人になってまで、親に人格を否定されなければならないのか」
こんな性格に生んだのは、あなたたちでしょう。
怒りの後には、何とも言えない悲しみがやってきた。
「自分には、何かが足りないんだ」
気づけば、自己否定の感覚が潜在意識に刷り込まれていた。
 
私は 物事を「こなす」ことが好きだった。
たとえば学校の勉強。たんたんと知識を覚えて、1つ1つテストでアウトプットすれば、それなりの点数が取れて、評価してもらえる。周囲にとけこむのが苦手だった私は、「真面目にこなす」ことが唯一の長所だと考えるようになった。
 
大人になってからも、目の前のことに真面目に取り組む日々。仕事も恋愛も、100点満点を目指して頑張った。
「マルチタスクや交渉事は苦手だけど、社会人ならこのくらいできて当然」
「自分より相手のことを大切に思う、理想の恋人になろう」
頑張れば、それなりの結果が出る。これでいいのかな、と思っていた。
だけど、なぜか心が晴れない。精神的な疲労と虚無感が残る。こんなに真面目にやってるのに、どうして??
 
今なら理由がわかる。
「真面目にこなす」動機の根底に、自己否定の気持ちがあるからだ。真面目は、「何かが足りない自分」を隠すための鎧だった。
 
私は、自分と向き合うのが怖かった。
「消耗しやすく、人並みに発言・行動できない」内向型の自分の弱さを認めるのが怖かった。
 
どうすれば、ありのままの自分で世界に向き合えるのか。
精神的な消耗を最小限に抑えて、自分の魅力を活かしていけるのか。
頭を使って考えるべきはそこだったのに、弱い自分を認めたくない! 弱い自分が愛されるわけがない! 恐れが邪魔をした。
両親の言葉を自己否定に留まる言い訳にして、自分を見つめることから逃げた。何も考えず、目の前のものを真面目にこなすほうが楽だったのだ。
でも、真面目の鎧は、自分の本当の感情もブロックしていた。
 
「そんなの、つらくて当然だよ」
 
最近ずっとモヤモヤしてるんだよね、と何気なく友人に話したとき、帰ってきた言葉だ。
つらい……?
もしかしたら自分、今までつらかったのかも……?
目から鱗が落ちた。
 
それから、紙にありのままの感情を書き出してみた。
「会議で突然発言を求められて、しどろもどろになったのが恥ずかしかった」
「会う約束をドタキャンされたのに、悲しい気持ちをうまく伝えられず悔しかった」
「発言を聞き取ってもらえず、自分を否定されたように感じた」
「両親に自分の性格を認めてもらえず悲しかった」
押し殺していた気持ちが次々にあふれ出て、戸惑った。
 
「何もかも真面目に」をモットーにしていたとき、「できない」ことは、自分の能力不足が原因だと考えていた。能力不足は努力不足。自分の感情に蓋をして、克服を目指していた。
でも、つらいって認めていいんだ! と気づいたとき、肩の力が抜けた。
ちょうどこのころ、書籍で「内向型」という言葉を知った。内向型は脳の構造によるもので、直すことはできないという。
内向型には、苦手なことも多い。エネルギーも少ない。でも、分析力があり、物事を深く考えられるのは、何よりの強みでもある。だったら、できないことにフォーカスするよりも、得意なことを伸ばすべきではないか。
 
人はみんな、凸凹である。私は、自分のへこんでいる部分が嫌で、真面目の鎧で隠し続けてきた。もちろん、真面目は大切だ。でも、与えられたものを完璧にこなすだけでは、思考が停止する。
怖かったけど、私は自分のへこみを認めた。へこんでいる部分もあるけど、飛び出ている部分もある。すべて含めて自分だと気づいたからだ。「凹」がある自分にとって、幸せって何? 私の「凸」を、もっと活かすにはどうすればいいの?
自分の頭で考えるようになって、一筋の光が差し込んできた。
 
気づけば真面目の鎧はなくなり、凸凹の自分を受け入れられるようになった。私の凹にフィットする、凸を持つ人たちが集まってくる。私の凸は、誰かの凹を補う。
少しずつだけど、自分にとっての幸せを選べるようになってきた。
 
両親へ。
今まで心配かけてごめんなさい。でも、この凸凹が私なんです。
じっくりと考えるのが得意な、内向型に生んでもらえてよかった。
私が私のままで輝ける道を、自分の頭で考えて、行動し、見つけていきます。
 
 
 
 
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2019-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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