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メディアグランプリ

誕生日記念に寄付を集めてみた


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記事:シエナ(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
「寄付集めなんて胡散臭いな」
これが大半の印象だろう。私は今年からNPO法人で、一般市民に警戒されそうなこの仕事に全力投球している。
 
 

私はファンドレイザーだ。このネーミングはまだ社会に浸透していると言えないが、そのまま「ファンド(資金)」を「レイズ(集める)」する役割の人だ。財布の紐がゆるまない時代に寄付を集める難しさを考えると、やりたい人は少数だろうし、いくらいても足りない。そんなマイノリティな仕事に率先して手を挙げてしまう私は、おそらく人生を通して挑戦が必要なババを喜んで引き続けている。そんな新米ファンドレイザーの手始めが、自分の誕生日に寄付を募ることだった。
 
 
誕生日に寄付を募るのは、海外では親しみのある手法である。「バースデードネーション」といわれ、誕生日プレゼントの代わりに、自分が応援したい団体に寄付してもらうのだ。寄付文化が根付いている国では、子供でもフツーのおばさんでも、何十万円単位という多額の寄付を集める。「モノ」より「コト」に、より価値を感じる世代が社会を支える時代、日本へもバースデードネーションがやってきたのは自然なことだ。
 
 
まず手始めに、いくら寄付してもらいたいのかを目標設定した。まあ、誰と誰にアレをもらうと仮定したら3万円くらいが相場かなと、予想はざっくりだ。寄付はあればあるほど有意義な使い道があったのだが、自分の想像を超える勇気のない、結局はビビリの目標である。
 
 
次に立ちはだかったのは心の壁。誰の誕生日も覚えていない私は、いつもFacebookの誕生日お知らせ機能に頼り尽くし、お知らせがくるとオメデトウを書き込みにいく生活をしていた。失礼な言い方かもしれないが、きっと同じように当てはまる人が多いだろうと思い、惰性のオメデトウをやめるべく、いつの日か自分の誕生日に鍵を掛けていた。案の定、本当に濃い付き合いの人からしかオメデトウが来ない。そして私もオメデトウを言わない。そんなコミュ障な私が公共のインフラを使って「自分の誕生日を祝え!」と宣伝するのだ。吐き気がするほどの大大大冒険。
 
 
山のような不安でスタートした寄付のお願い。インターネット上でつながる友人は、私の投稿を見つけるとすぐに寄付をしてくれた。個別でお願いすると寄付率は格段にアップするのだが、直接話をすると思いがけなく大きな寄付をしてくれた友人もいた。
「もちろんお祝いさせてもらうよ!」
ありがたいことに、周囲には頼まれると断れない心優しい人たちばかり。そんな友人たちを身勝手な寄付活動に巻き込んでしまってよいのだろうかと自問自答しつつ、彼らのためにもどうか寄付金が有意義に使われますようにと、一生懸命に心で念じていた。どんな団体なのかろくに調べもせずに、私の言葉だけを信じて寄付をしてくれる。それがバースデードネーションの長所であり、短所にもなる。
 
 
しかし、この時点で私はファンドレイザー失格である。ファンドレイザーである以上、善のお金で社会が良くなるのを一途に信じて、迷いなく寄付を集めなくてはいけないからだ。通常の寄付集めでは竹を割ったように潔くお願いができるが、バースデードネーションには日常の人間関係やしがらみがあって、なんとも心の柔らかい部分をチクチクつつかれる感覚がある。
 
 
結果がどうだったかというと、目標金額の2倍を上回る、6万円の寄付を募ることができた。寄付をしていただいたら7回はお礼をするというセオリーがあるが、しばらく全ての誕生日を放棄していた私を友人が見捨てていなかった感激と、あふれ出る素直な感謝で、いくらでもアリガトウを言うことができた。ちなみに今まで、6万円を超える誕生日プレゼントなどもらったことがない。そんな尊いプレゼントは、より良い社会にするために使われていく。
 
 
そして友人の言葉で、心のもやもやが救われた一面があった。
「元気そうでよかったよ。新しい挑戦、頑張ってね」
積極的に露出したことによって、ご無沙汰な友人が私の近況を知ったのだ。寄付が目標金額に達したのも嬉しいけれど、思いがけず、モノトーンになりかけたつながりに色が戻ってきた。お金では買えない、かけがえのないプレゼントだ。
 
 
いわば私にとってバースデードネーションは、一年に一回、お互いの消息を確かめ合う年賀状のような役割なのかもしれない。おそらく来年も再来年も、バースデードネーションをするのだろう。そのたびに、「またやってるな」と覗きに来て、お茶を一杯おごるつもりで投げ銭をしていく。そして新米ファンドレイザーは、少しずつ学びを得て成長していくのだろう。
 
 
もし友人でバースデードネーションをする人がいたら、いつでも「喜んでお祝いするよ!」と言いたい。そして優しいお金が世の中に循環していくのだ。

 
 
 
 
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2019-12-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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