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やりたいことはありますか?~散歩とマラソンで考える「キャリア」~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:中川翔太(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「やりたいことはありますか?」
 
ありふれた質問だがよく聞かれる質問ではないだろうか。きっとあなたもどこかで一度、いや何度も聞かれたことがあるのではないだろうか。
さて、あなたはこの問いに対して明確に答えることができるだろうか。
私にはこの問いに対する明確な答えがある。
「ない」そう。ないのだ。
以前の私はここまで明確に「ない」と答えることに、違和感やちょっとした恐怖すら感じていた。
だが今の私には断言できる。やりたいことは、ない。
 
私は今社会人5年めの27歳で、人生の大先輩方からするとまだまだおたまじゃくしもいいところで若い部類に入るのだろうが、そんな短い人生の中でも気付くとこの問いに向き合わされてきた。
小学生の卒業式で発表した「やりたいこと」は、宇宙に行くこと。
宇宙飛行士ではない。「宇宙に行くこと」だ。小6時点で宇宙飛行士は無理だけど、宇宙に行くならまだ可能性があるのでは、と考えていた。我ながら夢のない小学生である。
中3になりとうとう義務教育の背中が見えた途端、将来について考えさせられるようになった。
「将来はどんな仕事がしたい?」「そのためになんの勉強をする?」「どの高校を目指すの?」
私の答えは「将来なんて今考えてもわからないじゃん」だった。
そんな私に母は「将来やりたいことが見つかったときに、チャレンジができるような選択肢を選びなさい」と言った。
そうして私はやりたいことが見つかったときにチャレンジができそうな大学に入り、やりたいことが見つかったときにチャレンジができそうな会社に入った。
そして社会人5年めがもう半年で終わる。やりたいことは、まだない。
 
やりたいことがないことがずっとコンプレックスだった。
やりたいことは私にとってブランド品と一緒で、やりたいことを持っている人はキラキラ輝いているように見え、やりたいことがない自分はとても恥ずかしかった。
そうして私は「やりたいことは今探している最中である」という免罪符を振りかざすことでその恥ずかしさを抑え込むようになった。
 
そんな私がやりたいことがないと明確に答えられるようになったのは、今の仕事のおかげだ。
私は今転職エージェントで働いている。企業の採用支援と転職希望者の転職支援をしている。企業と転職者の結婚相談所のような仕事だ。
日々転職を検討している方と話をする中で、私にとって驚愕の事実が発覚した。やりたいことがある人はめったにいないということだ。そしてそれを皆が堂々と言う。衝撃だった。
私にとっては恥ずかしく隠していたものが、周りにとっては大したことではなかったようだ。誰にも見られまいと縮こまっている私を横目に皆がみんな全裸で通り過ぎているような感覚だった。
 
曲がりなりにも転職をサポートする身なので、その方のキャリアをより良いものにするべく、多くの方をサポートしていく中でもう一つ気づいたことがある。
「やりたいこと」はないが、みんな「ありたい姿」は持っているということだ。
 
キャリアの語源は車輪の通った跡つまり、轍である。キャリアパスなんて言葉もあるように「道」として捉えられることが多い。この言葉自体が「やりたいこと」問題に私を転がり落とした落とし穴だったのだ。
「道」というからにはどうしても目的地に注目してしまう。道であるからには、マラソンにゴールがあるように、キャリアにも目的地・ゴールはあるべきものと思い込んでいた。
でも人生は違う。ゴールしたってゴールしなくたって人生は終わる。だからこそ、やりたいことはない人であっても、どうありたいかに関しては誰もが持っているのではないのだろうか。
 
「やりたいこと」をベースに考えるキャリアがマラソンだとすると、「ありたい姿」をベースに考えるキャリアは散歩である。
明確にゴールがあり、最短距離でゴールを目指すマラソンとは違い、散歩にはゴールがない。ただただ歩く。でもそれでいい。それが気持ちよければ、目的地がなくたって、どんな道だって、いいのである。「心地よい」というありたい姿だけそこにあれば、なんだっていい。
キャリアも同じだ。「貧しい子どもたちを助けたい!」「日本をもう一度盛り上げたい!」そういった志がある方は大いに結構である。ただ、そんな志がないからと言って落ち込む必要もない。「毎日楽しく過ごしたい」「優しい人でありたい」「家族と一緒に過ごしたい」それだけでも十分。目的地から逆算した最短ルートを考えなくていい。散歩のようにただなんとなく、ちょっと気になったから、そんな気分だからでキャリアを考えたっていいのではないだろうか。
 
「やりたいことはありますか?」
今同じ質問をされたとしてもやはり答えは一緒である。「ない」
でも今の私には「ありたい姿」がある。やりたいことがなくたって、成し遂げたい夢がなくたってそれでいい。目的地がなくたって、散歩のようになすがまま心地よい人生を送りたいと思う。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
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2020-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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