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怒りのスイッチで思うこと

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中山るみ(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「あなた、日本語の使い方が間違っていますよ。本当に最近の人は困ったものだわ」ご年配のお客様は棘のある声で私にそう言った。
そのご婦人は確実に怒っている。怒らせてしまった。
私が何を言ったのか思い出してみる。
初めてお会いするお客様であるこのご婦人に私は
「司会を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします」
と言っただけなのだが……
とにかく私は「勉強不足で申し訳ございません」と謝罪しその場を離れた。
これは、仕事で司会を担当したあるイベントでの出来事だった。
 
怒りのスイッチは目に見えない。だがうっかり押してしまうと大変な事態に
なることがある。国や文化の違いなど学ぶことによって避けられるスイッチもあるが、個人の価値観や性格、育った環境といったその人の背景を知らなければ避けることが出来ないスイッチは扱いが困難だ。
 
後から知ったが、先ほどのお客様は元国語の教師で言葉づかいには敏感な方だった。私が言った『させていただく』これがご婦人のスイッチを押してしまったようだ。今日は言葉づかいや敬語の話ではないので『させていただく』についての解説は省かせていただこう。
 
ただ、この言葉づかいのように理由付けされるものならば納得し理解できるからいいかもしれない。個人の中で作られたその人独自の理由やルールで出来上がったスイッチを押してしまうと超ド級の災害に襲われる場合がある。
 
先日、同僚がかなり怒っていた。長い付き合いの友達と縁を切るというのだ。その理由を聞いてみると友人から何かのお返しと靴下を贈られたという。彼女曰く、靴下は人を見下しているという意味になるらしい。そういえば私も以前雑誌かなにかで靴下は目上の人には贈らない方がいいと読んだことがあるが。靴下を贈ってきたのは長い付き合いの友達なのだから、相手が彼女を見下して靴下を贈ったというのではない気もするが。彼女に、その靴下どうするのかと尋ねると可愛いので履くと言う。私には彼女の怒りスイッチもだが彼女自身が謎だ。
 
人にはそれぞれ怒りのスイッチがある。怒りは人間にある感情の一つで別に
悪者ではない。ただ、この怒りによって周りに悪影響を及ぼしたり自分自身のストレスを増幅させてしまったりすることがあれば問題だ。そうならないための対処方法や怒りの取り扱い方についてのスキルがアンガーマネジメント。昨今このアンガーマネジメントは耳にする機会が増えた。怒りが原因で社会を騒がせるような問題が起きているからだろう。アンガーマネジメントで学ぶスキルの中に
 
・怒りを感じたら6秒待て。
6秒間はアドレナリンが噴出していてここで行動を起こすと自分でも驚く程ひどいことをしてしまったり言ってしまったりする。6秒待てば怒りが治まる訳ではないが、怒りがもたらす失敗を避けることができる。
 
・怒りは二次感情である。
不安、ストレス、悲しみ、妬み、痛みや苦しみ等の怒りを発生させた一次感情を理解することで自分の価値観を知り相手を思いやる気持がわきあがる。
 
といったことがある。私はアンガーマネジメントファシリテータの資格を取得し企業研修で登壇するがスキル以上に皆がもう少し穏やかな気持ちで人と付き合うことが大事だと思っている。以前、そんな話を友人にしたところ
「穏やかな気持ちでいる秘訣はあるの」と質問があった。
実は私は、いつも心に留めていることがある。それは
『人にはそれぞれ事情がある』ということである。その事情が何かを慮ることで相手への怒りはかなりの確率で生まれない。
 
以前、ブライダルの司会を担当したお客様で打ち合わせの段階からものすごく不機嫌で怒っているような男性がいた。プランナーからも男性が常に機嫌が悪く怒っていると聞いていた。プランナーはこれから結婚する幸せいっぱいのはずなのにどうしてあんなに不機嫌なのか分からないと嘆いていた。打ち合わせが始まると、女性はニコニコしているが男性は常に無表情で言葉も少ない。その時私は、男性に対して嫌な感情ではなく、どんな事情があるのだろうと思った。そこで男性に「結婚式を挙げようと思ったきっかけは何ですか?」と聞いてみた。「彼女が挙げたいっていうから」と男性はぶっきらぼうに答えた。私はゆっくりとした口調で「彼女を大切に思っていらっしゃるのですね」と返した。少しの間の後、男性はぽつぽつと話し始めた。
それは、男性の生れ育った家庭の話だった。私には想像もつかないほど過酷な子供時代をおくっていた。結婚式が嫌ではなく、両親が来ない結婚式がどうなるのか不安だったのだ。ただ機嫌が悪い男性と思っていたらこの話は聞けなかったかもしれない。
 
なんだかカッコいいことを書いてしまったが
私にも怒りのスイッチはある。なんだろうかと考える。
 
そうだ、1歳でも年上に言われるは嫌だな。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2020-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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