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頑張らないのに幸せなあの子

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:清水あゆみ(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
頑張っていない人ほど人生がうまく行っている。と思ったことはないですか?
いやいや、そんな理不尽な、と思いながらも多分30歳以上の方ならだれでも思いあたるのではないでしょうか。(学生時代の受験勉強などは頑張った人がうまくいくことが多い)
 
いつも頑張っているのに、なぜか友人も少なくパートナーシップもうまく行ってない。
仕事は夜遅くまでこなしているのに、自信があるというよりどこか険のある顔をしている。疲れていて稼いだお金を使う暇もない。
最悪の場合、キャリアの絶頂に病気になってしまう。
こういうひと、周囲に何人かいませんか?
私はいます。
 
一方でいつものんきそうで、特に頑張っている様子はない。気が向いたことは一生懸命やっているが、それ以外は結構テキトウである。
気を使わないのに友達には好かれている。
部屋は汚いし料理も上手でもないのに、いつもいいパートナーがいて、
お金に困っている様子もなく、実に幸せそうである。
 
そんなわけないと思って、
「そう見せても大変なんでしょ?」と聞いても
「え? チョー毎日HAPPYだよ」とか答えちゃう。
こんなひといませんか?わたしの周りには何人かいます。
 
「頑張らないほうがうまくいく」ってどこかのタイトルにありそうだけど、そんなことって本当にあるのでしょうか。
 
それって頑張っている人があまりにも気の毒じゃないですか。
しかし、わたしはこのカラクリを人生で幾度となく体験してるな、と気が付いたのです。
 
私は大学卒業後は出版社に行きたいと思っていました。父がマスコミでバリバリやっていた人なので、頼まれてもいないのに、「父の仕事を継がなければいけない」と使命感にかられていてのことでした。(ちなみに父の会社でもありませんでした)
 
とにかく「マスコミに行くこと」が目的でしたので、雑居ビルの中にある小さな会社やプロダクションもたくさん受けました。
 
当時は氷河期であると同時に、セクハラ、パワハラという言葉すらなかったので、ヒヨコのような私が面接に行くとさんざんな言われようでした。
 
「おっとりしているね。なんでマスコミなの?」わたしは「父がマスコミ勤務でして」とそこまで話すと「お父さんとおうちでお絵かきしていたほうがいいんじゃないの?」と意地悪を言われたりしました。
涙目になりながらも「いいえ。頑張ります!」と言っていました。
 
別の場所では「うちは深夜まで残業あるよ?君、大丈夫なの?」と言われたりしました。
わたしは正直体力も筋力もなく、睡眠は大学生なのに9時間は寝ていたのですが、
「はい、残業も朝帰りでもなんでもします。仕事も選ばずやります。頑張ります」と答えました。
 
トイレで吐いてしまったのに、戻ってきて「頑張るので続きの面接をお願いします」と頭を下げたりもしました。
なんという光景でしょう。それなのに悲しくもすべて落ちてしまいます。
 
結局マスコミをあきらめて、その後、福祉の仕事を目指します。
理由は「子どもが好きだから」と「よく友達から相談を持ちかけられるから」という実に気合が足りない理由です。なんか、楽しそうだからやりたかったのです。
 
気合も頑張りも何もありません。
児童関係のソーシャルワーカーは人気があり募集枠も少ない。
なのに、
受かる、受かる、受かる。
計4社から内定をいただきました。
 
面接では「頑張ります」という言葉はひとことも出ませんでした。
なぜなら「ありのまま」で頑張らずにいけそうだったからです。
 
面接ではこう言われました。
「やさしそうだね、人の話を聞くのは得意?」
マスコミでは「おっとりしてそうで使えなそう」というのがなんと長所に転じたのです。
 
「うちは税金で運営してるから残業はあまりしてほしくなくて、残業代は期待できないけど大丈夫?」と聞かれました。
 
17時に帰れたら9時間睡眠つづけられる!
 
すべての短所が長所にひるがえった瞬間でした。
 
結果、10年以上も福祉の相談員という仕事をして、体力も精神面も無理なく過ごし、やりがいも感じています。「引っ越しを考えているのだけれど、あなたの担当地区から離れたくないら担当地区を教えて」とうれしいことを言われたりします。
 
マスコミで夜中まで働くのは今考えればとても無理で、大人は見抜いていたのでしょう。無理していたら、今頃、鬱か病気になっていたでしょう。
 
余談ですがこんなことがありました。
私の親友でスチュワーデスの子がいます。
彼女と旅行した友達は言いました。
「あの子は準備に時間がかかるし、風呂は長いし、行先は自分勝手に行くからすごく大変だった。でも頑張って合せた」と。
 
そのスチュワーデスは私とは20年以上親友です。
 
旅先で夜帰ってくると、彼女はきちんとしているので丁寧にスーツケースを片付けます。
私はその間おふろに入ります。わたしはだらしないのでスーツケースは片付けずに寝ます。
 
朝は同時に起きるのですが、彼女はとてもきちんとしているので丁寧に時間をかけてお化粧をします。
私はその間、きのう散らかしたままのスーツケースを片付けます。
わたしは基本すっぴんなので「さあ、出かけようか」と同時のタイミングで言います。
 
わたしは地図が全く読めません。
グーグルマップは一緒にグルグルすることはあっても道案内をしてくれることはありません。
彼女は職業柄、旅にも地図にも強いので、その土地の名所に連れて行ってくれます。
私は感謝しかありません。
 
「今日も楽しかったね」とお互い言いあって、彼女はスーツケースを片付けます。
わたしはおふろに入ります。
 
何も頑張っていなくてもピースがカチっとはまるのです。
仕事も人間関係も恋も、もしかしたら、頑張って、頑張ってしんどいならそれはピースが合わないところにむりやりはめ込んでいるだけで、けっしてまだまだ努力をしなければならないわけではないかもしれない。
 
「楽に幸せになる」って悪いことではないのだな、と思うのです。
そのままで、いいと少し思う自分を許してあげてもよいのです、きっと
 
 
 
 
***
 
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2020-11-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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