公園で一休み
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事:高泉佳代子(ライティング·ゼミ日曜コース)
最近、好きになった場所がある。
会社の近くにある公園だ。
昼休みに食事を済ませた後、公園で過ごしている。
きっかけは、職場で「寂しい気持ち」になってしまうことがあった。
今、思い返すと些細なことだったが、その時は一人になりたかった。
寂しい気持ちを慰めたかった。気分を変えたかった。
天気がよかったので、会社を出て、近くの公園に行ってみることにした。
遊具はあるけど、噴水や花壇もなく、草は生えっぱなし、そろそろ手入れが必要などこにでもある古い公園だ。
広さだけはあり、離れた場所にベンチがいくつかあった。
公園には、ベンチに座っておにぎりを食べている人、レジャーシートを広げて、ごろりと横になっている人、鬼ごっこをしたり、遊具を使っている子供やベビーカーを押して散歩に来ている人もいた。
みんな、思い思いに過ごしていた。
私もベンチに座った。その日は風が少しあった。
風に吹かれているうちに、風が気持ちよく感じられるようになった。
時間にして10分程度だったが、気分転換ができたようだった。
午後からの仕事がはかどった。
このとき以来、昼休みを公園で過ごすようになった。
読みかけの本の続きを読んだり、ゲームのタスクを進めたり、なにも考えず、雲や空を眺めて過ごすだけの時もある。
何をしてもいいし、何もしなくてもいい。
仕事の合間に、自分の時間を作ることが、私に変化をもたらした。
公園で過ごすことが私の「リセットボタン」を押しているのかもしれない。
気持ちに余裕と落ち着きをもてるようになった。
この事が仕事にも良い影響を与えている。
些細なミスが減り、視野が明るくなった。
集中力があがり、ひとつ、ひとつの仕事にフラットな気持ちで取り組めるようになった。
仕事に落ち着いて取り組むことができるから、仕事が早く終わる。
仕事が終わるから、家に帰ることができる。
今までよりも早い時間に帰ることができれば、早く寝ることができる。
家に帰ってからの時間を自分の好きなことに充てることもできる。
好きなことをして過ごせば、楽しくなる。
そして、時間の使い方を自分でコントロールできることは、時間を自分の思い通りにつかえるということに気づいた。
短い時間でも自分の思い通りにできるものがあるということが私に自信を持たせた。
ささやかではあるが。
好きなことをして、ささやかな自信がついた。
今、私は毎日が楽しい。
公園に行く話が、毎日が楽しいと言う話に広がったが、私に起こった変化だ。
まるで、「風が吹けば、桶屋が儲かる」だ。
些細なきっかけが、思いもよらない物事に影響が及んでいる。
今回の記事のタイトルは「寂しくなって公園に行ったら人生が楽しくなった」
の方がよかったか。変えないけど。
ところで、公園に行くきっかけになった「寂しい気持ち」とは、あるがままの私を受け入れてほしい。なんてずいぶん甘えた気持ちだったと思う。
職場には、甘えた気持ちの私の居場所はないが、
公園はそこにあるだけで、誰にでも居場所を与えてくれる。
誰もが思い思いに過ごすことができる。
これからも、私は昼休みに公園へ行く。
仕事の合間「リセット」をするために。
ひと月もしないうちに、梅雨の季節がやってくる。
雨が降れば、今のように何も持たず、ベンチに座って、ぼんやりすることが出来なくなるかもしれない。
遊ぶ子供やおにぎりを食べるひとがいなくなるかもしれない。
それでも、雨が降ったら傘をさして行ってみようと思う。
今はまだ、蕾の紫陽花が咲いたり、雨で草木の匂いが強く感じられるかもしれない。
誰もいない公園を独り占め出来るかもしれない。
雨の公園は違う景色が見られるのではないかと楽しみにしている。
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