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「AIに仕事が奪われる」は本当なのか?


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記事:寺島まきこ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「10年後は仕事がなくなる」
 
それを初めて聞いたのは、数年前。テレビの声だった。
いつもはつけないテレビを、家事をしながらなんとなく聞き流していた時だった。
 
あまりの衝撃的な言葉に、家事の手を止めた。
「AIに、今ある仕事の49%が奪われていく。大変な時代が来る」と、続いた。
 
その言葉を聞いて私は未来に対する不安が、どんどん大きくなっていくのを感じた。
すっかり釘付けになって、最後まで見終わっても解決策は提示されず、未来の大変さについてデータを並べたり、権威のある出演者の話を聞くだけで終わった。
「なくなるのはわかったよ。それで、どうしたらいいの?」
と聞きたかったがテレビなので聞くこともできない。
 
テレビを消した後も10年後の未来がどんな感じなのか、想像しては心配を繰り返していた。
 
「AIに仕事が奪われていく」
その言葉を踏まえて、周りを見渡してみると、これまで何も変化していないように見えていた「世界の変化」が見えてきた。
 
言われてみると気がつくものだ。確かに社会はAI化が進んでいる!
 
当たり前すぎて気にも止めなかった駅。
駅の改札は数年前から変わっていた。
昔は、誰も乗客がいなくても、駅員さんがカチカチと切符を切る金具の音を鳴らしているのが日常の風景だった。
駅員さんによっては、カチカチを使って音楽を奏でている人もいて、その人に当たった日はなんだか楽しい気持ちになったことを覚えている。
電車に乗るときには、そのリズムの良い音を潜って、電車に乗るのが当たり前だった。
しかし、今ではあの音を聞くこともなく、自動改札機がピッとなるだけだ。
無人駅でもないのに、改札で駅員さんの顔を見ることもほとんどない。
 
あの駅員さんは今頃どうしているのだろう。他にもたくさんの仕事はあるのだろうが、駅員という職業は、もしかしたら今は狭き門になっているのだろうか。
 
他にもある。
 
今はどこのスーパーでも見かけるようになった、自動精算機。
近くのスーパーでは、自動精算機が導入される直前に1ヶ月の改装期間があった。リニューアルオープン後、明らかにレジのスタッフの数が減っている。
あの感じの良かったレジのおばさまは今、どこで仕事をしているんだろう。
この店のバックヤードにでもいるのだろうか。
それとも解雇されてしまったのだろうか。
 
当たり前の毎日にも迫ってきている日常のAI化。10年後を待たずに、もうすでに、明らかに変わっている。
 
「AIに仕事を奪われたらどうしていけばいいの? どうやって生きるの?」
と考え始めたが、答えは出ない。
 
10年後に残る仕事をGoogle検索してみた。
すると、心理カウンセラーや看護師、作業療法士など様々な職業が出てきた。
検索結果によると、AIに奪われない仕事は心を扱ったり、繊細さが必要とされることらしい。
 
「ただし、需要と供給のバランスが崩れるので飽和状態になりかねない」とも書いてあった。これから始めたところで、収入の安定性は見込めなさそうな印象だ。
 
今の延長線上で探すのは難しそうだ。
それならば、過去を振り返ってみよう!
 
過去はどんなことが仕事になっていたのだろう。過去は物がない時代だった。洗濯機、掃除機など、今はどの家庭にもあるはずのものがなかった。
その洗濯機や掃除機はどうやってできたのだろう。
 
当時は、主に女性が手で洗濯をし、ほうきと雑巾で掃除をしていた。大変な労力と、時間を費やしたのは簡単に想像できる。
 
「貴重な時間と体力を奪う、掃除や洗濯をどうにかできないだろうか」と誰かが当たり前にある現象を問題視して、解決策を考えた。だからこそ、生まれたのが洗濯機や掃除機などの家電だろう。
食洗機もそうだ。
 
つまり、問題があれば今はない、新しい仕事が生まれるのではないだろうか。
解決策が必要なのだから。
 
もし仮にそうだとしたら「AIに仕事が奪われる」のではなく、これからの時代は新しい仕事が生まれる!とも言い換えられるのではないだろうか。
 
現代の問題は山ほどある! どの分野にも。
世界の重要な問題を、親切にまとめてくれているものまである!
そう、SDGsだ。
 
「持続可能」をキーワードに、身の回りのもの、得意な分野のことを探してみたら、きっとそれは、仕事の種の宝庫になるのではないだろうか。
 
私の場合、その視点でSDGsを見てみると、大きすぎる問題ばかりなのに
「大変だ! どうしよう」
と未来に対して悲観的にならずに、現在の問題を認識することができた。
 
問題の山を、悲観的にならずに認識し、冷静に解決について考えることができる。もしかしたら、AI時代が来たときの転職先探しに繋がるかもしれない。
未来の仕事を探すつもりで、SDGsを眺めるのも面白いと思う。
 
 
 
 
***

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2021-05-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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