一日ヒールを履いた足はコチコチの冷凍食品
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：菊池 守（ライティング・ゼミ日曜コース）
「イタタ、先生痛いわよ！」私が手を添えて足の指の付け根を曲げようとするとAさんが叫びました。「あー、だいぶ硬くなっていますね。ヒールの履き過ぎで中で足の指が変形してしまっていますよ……」
Aさんは会社員です。ヒールを履かなければいけない職場で長年お勤めでしたが、最近ヒールを履いているとお昼には痛くなってしまって、いくら探しても自分に合うヒールがないと言って来院されました。
まずは足を診せていただきました。
靴を脱いでいただいたのに、足の指はヒールを履いたままのように固まってしまっています。
足の裏や指の関節にはタコができ、指を伸ばそうとしても曲げようとしても痛くて伸びません。
外反母趾の部分が靴で擦れて痛みが出ています。
どうしてこんなことになってしまったのでしょうか？
ヒールを履いていると窮屈なところに足が押し込められるため1日経つと足はコチコチ。足の指は閉じたままで開かず、曲げ伸ばしようとしても硬くて動かなくなってしまいます。
足と手は本来ほぼ同じ構造の器官です。手がパーになるように、足の指も開くことができますし、手でグー、つまり握りこぶしが作れるように、足の指もしっかり曲げればポッコリと関節が見える立派なこぶしが作れます。でも日ごろから指を動かさず硬くなってしまった足は、広げようとしても指の間が広がらず、曲げようとしても付け根の関節は曲がりません。
特に多いのはグーが出来ない方で、グーの形にしようとしても付け根の関節が曲がらないのでまるで熊手みたいな形になってしまうのです。そのまま放っておくと、Aさんのようにその先の関節も曲がったままで固まってしまい、伸びなくなってしまうのです。
女性の足を美しく見せるヒールの靴ですが、その中で足は悲鳴を上げています。
足をいたわる意味でも、一日の終わりにお風呂でよく温め、ストレッチで柔らかくしてあげましょう。やった後には足があたたかくなり、足の指が息を吹き返すのがわかります。
今回は一日歩き回って疲れたあなたの足に元気を取り戻す、お風呂上りにぴったりのストレッチをお教えしましょう。
ヒールを履いて硬くなってしまった足はお風呂で溶かしてゆっくりストレッチ
・まずはパー。
足の指をしっかり開きましょう。硬くなってしまった足は自分の足の力だけでは広げることができません。手を添えて手伝ってしっかり広げてあげましょう。足と手で10秒間握手をしてあげるのもいいでしょう。最初は痛くて開かない足の指も、毎日やっていると徐々に開いてきます。握手しても痛くないぐらい広がるようになったら、今度は足の指の力だけでパーの形にしてみましょう。手を開いた時のように足の指が扇のようにしっかり広がったら出来上がりです。
・続いてグー。
片足を抱えて反対側の膝に乗せ、手の親指で足の親指の付け根の関節を裏側から押すようにしながら足の指を一本一本ゆっくり曲げてあげてください。今動く範囲の1.5倍まで曲がるように、手を添えてしっかり曲げてあげましょう。1本あたり10秒ずつ、10本やってもほんの2分弱です。
お腹が邪魔したり身体が硬くってどうしても足の指に手が届かない方は、片膝を軽く曲げて足先を地面につけ、ゆっくりと押し付けて関節を曲げるようにしてみましょう。「ちょっと痛いかな」というぐらいがちょうどいいです。こちらは両足30秒ずつで結構ですが、全部の指を柔らかくするのは難しいかもしれません。
最初は少し痛いかもしれませんが、毎日続けると徐々にほぐれてきます。
グーにしたときにしっかり足にもこぶしのように骨の出っ張りが見えるようになったら出来上がりです。
「先生、見て見て。上手になったでしょ？」
3か月後、まじめにストレッチに取り組んでくれたAさんは、扇のように広がった美しいパーとポッコリとこぶしのでっぱりがみえるきれいなグーを披露してくれました。足の冷えやむくみも改善し、指先や関節のタコも出来にくくなったとのこと。外反母趾がよくなった、とまでは言えませんが、足の悩みはかなり減ったといえるでしょう。足先のしびれにお悩みの方も、関節が柔らかくなるとしびれが改善してくることが多いのでおススメです。
一日狭いヒールの中に押し込められていた足は、冷凍食品みたいにコチコチにこわばってしまっています。夜にはしっかりストレッチして解凍してあげましょう。お風呂でよく温め、手を添えて手伝ってあげるところから始めて、徐々に柔らかくしてあげるのです。
毎日の解凍を習慣にしておかないと、足は柔らかくなる機会を失って、忙しい日々の中で徐々に強張っていってしまいます。そして一度硬くなってしまうと、もう一度柔らかくするのはとても難しいのです。
ただし、関節を伸ばしたりひねったりして痛い方や関節を押さえて痛みがある方は、ケガや他の病気の可能性もありますのでご注意を。無理をせずに足の外科の先生にご相談ください。
ヒールは確かに足に負担がかかる面もありますが、女性の足を美しくみせてくれる魔法の靴でもあります。
痛くても、つらくても、やっぱり履きたいヒール。
お風呂上がりのルーティーンで、いつまでも楽しく履き続けましょう！
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