嘘にある大事なことを教えてくれるマンガ
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記事：村人F（リーディング倶楽部）
嘘はいけない。
わかります。僕も子どもの頃から耳にタコができるほど聞いています。
確かに相手に嫌な思いをさせてしまうのがオチですから、つかないほうがいいに決まっています。
しかしですよ、世の中には仕方のない嘘もあると思うんです。
こりゃ、つくしかないよなあと泣きたくなる場面もいっぱい出てくるわけです。
マンガ「ライアー×ライアー」の主人公、湊(みなと)がついたのもそんな嘘でした。
彼女はバイトでJKギャルのコスプレをしておりました。
そこで渋谷のスクランブル交差点をキャッキャ歩いていたわけです。
普段が超地味系な女子大生だったから、ちょっとテンション上がっていたんでしょう。
そんなときに弟と出くわしたんですから。
「何してんの？」と声をかけられてしまったんですから。
そりゃ「え？ 何いってんの？？ 初対面なんですけど？？？」
こう他人のフリをするのも仕方のないことでしょう。
しかし、このマンガはラブコメです。
その嘘の代償は当然のようにすぐ降りかかってしまいました。
弟が嘘をすんなり受け入れ、「そうなんだ、じゃあケータイ交換しない？」とナンパしてきやがったのです。
そして湊も断りゃいいのに、ここは素直に「はい」と言ってしまいます。
そんな彼女に降りかかる運命はどうなるか。
それがこのマンガのストーリーになるわけです。
こんな展開から始まるマンガですから、全編を通して嘘がキーになります。
しかし、本作を全巻読んで、実写映画版まで見ましたけど、どれも気持ちのいい嘘ばっかりだったのです。
人を不快にさせる、ついてはいけないと言われまくっているのにです。
この嘘で紡がれた物語がとても爽やかで美しい。
その要因がどこにあるのでしょうか。
考えてみましたが、理由は嘘をつく側にありました。
本作に出てくるすべての嘘には、相手への想いがこもっていたのです。
なんでこんな嘘をついてしまったんだろうという後悔。
どうして素直な気持ちを正直に言えないんだろう。
彼女が前に進むためにはつくしかなかった。
そういった相手への強い思いやりが嘘の裏にあったのです。
そして、それゆえの後悔が鮮明に描かれていたのです。
だから本作の嘘は笑えて、泣けて、共感できる。
読み終えたあと、とても気持ちがいいのは、こういう背景があるんだと思いました。
こうなると、道徳の授業で「嘘をついてはいけません」と、この方向のみで語るのは実践的ではないという考えも生まれてきます。
正直に言うべきでない場面もいっぱいあるのですから。
不治の病にかかっている人にそれを告げるより、治る可能性がまだあると言ったほうが希望を持てる場面もあるでしょう。
考えてみれば世の中にはそういう状況に満ち溢れています。
だから本当に大事なのは、「嘘をついてはいけません」ではなく、嘘をついた後の場面を考えなさい。こういうことだと思うのです。
嘘など相手へ発する言葉には、すべて相手のリアクションがセットについてきます。
それを考えることが本当に大事なことなのです。
「相手を想って行動しよう」という定番フレーズがここでも出てきます。
この考えがあれば、嘘をつくべきかどうかなどの判断が成功する可能性も上がるでしょう。
それが順調なコミュニケーションに繋がると思うのです。
そして、嘘をついたことで受けるダメージも少なくなるでしょう。
救われない嘘を考えてみると、自分のことだけを考えていることがほとんどです。
周りがどうなろうが知ったこっちゃない。
そういう嘘をつく人が特に痛い目にあっているように思います。
しかし、想いがあると風向きが変わってきます。
相手がそれを感じるからです。
そうすれば、嘘を怒るときの感情も変わることでしょう。
「ライアー×ライアー」に出てくる嘘は、本当に気持ちのいいものでした。
最初はどうしようもない場面で、ついやってしまったことだったでしょう。
しかし、嘘をつく側に相手への想いが常にありました。
そして、それゆえに嘘をつくことに対して強く傷ついていました。
だからこそ美しい。
だからこそ応援できる。
そんな素敵な作品になったのだと思います。
私も本作から学んだ、嘘をつくときの想いの大切さを心に刻みます。
基本は嘘をつかないようにしますが、本当のほうが辛い場面もあると考え、お互いが幸せになる選択をしていきたいです。
そして、嘘に疲れた皆さんに是非、本作を読んでいただきたいです。
嘘の裏にある相手への本気の想いは、あなたを癒やしてくれることでしょう。
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