今日の8265歩が私に教えてくれたこと
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:杉山佳那恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
「8265歩!今日も目標達成!」
私が毎日欠かさず、続けていること。
それは、一日8000歩以上歩くこと。
なるべく速く、歩幅はできるだけ大きく。
散歩を始めてから2年ほどが経過した。
晴れの日も雨の日も、そして雪の日も。
大雪の中、躊躇いもせずいつも通り出かけたら、頑丈なはずだった傘は壊れ、全身雪まみれで家に帰ったこともある。
これほどにも、私が1日8000歩以上歩くことにこだわり、続けられるようになったきっかけ。
それは、ある人の「習慣」を知ったこと。
その人は、本の中で「『ちょっと良いかも』を日々続けていくことが、やがて習慣となり自分を強く、しなやかにしてくれた」と語っていた。
またその人は、走ることを続けるため、「30分は外に出る」という達成しやすいルールを決めることから始めていたそうだ。
「私も走ってみたい!」
単純な私は、すぐにそう思った。
しかし、実際のところは「走ること」も何かを続けることも苦手だった。
目標を立てては、すぐに挫折。
3日坊主にすらなれないことは目に見えていた。
私にできそうな『ちょっと良いかも』を考えた末、苦手な走ることではなく、自分のやりやすい「歩くこと」から始めることにした。
「ただ時間を決めて歩くのはつまらないな」
「達成感があったらもっと楽しめるのではないか?」
そう考えた私は、1日1万歩を歩くことを目標に掲げた。
どこかで聞いたことのある「1日1万歩は体に良い」とされるその根拠に興味はなかったし、なんとも切りのいい数字で目標にしやすかった。
平日、職場までいくのにおよそ往復で4000歩、だから帰宅後は6000歩で目標が達成できる数字。
初めのころは、ただひたすら、歩数計を気にしながら闇雲に歩いていた。
それは数か月間なんとか続いていたものの、いつものように散歩にでたある時、ふとひとつの疑問が浮かんだ。
「本当に一万歩を歩く意味はあるのだろうか?」
疑問に思った私は、鞄からスマートフォンを取り出した。
「一日一万歩 歩きすぎ」検索(カチッ)。
そして目に飛び込んできたのは、「運動するほど老化が進む!? 『1日1万歩』ウォーキングはキケン」という文字。
すぐさま、その言葉をタップした。
私の目からは鱗が落ちた。
実は、1日8000歩を歩けばそれで十分だというのだ。
むしろ1日8000歩が健康効果の最大値であり、それ以上歩いても効果は変わらないということ。
私は、すぐさま歩数目標を8000歩に変更し、今に至っている。
10000歩を8000歩へ。
2000歩の差は私にとっては大きなものだった。
歩くことは好きだし楽しいと思っていたはずなのに、実は、いつの間にか「やらなきゃ」という義務感を感じていたことに気づいた。
歩数の桁を1つ減らしたことによって、うすうす感じていたプレッシャーから解放されたような感覚だった。
もしあの時、疑問を持たずにそのまま続けようとしていたら、いつかは挫折し、今日の8265歩を達成することもなかったと思う。
「ちょっといいかも」=無理しないほうを再び選び直せたことが今に繋がっている。
また、一日一万歩をしていた頃は、常にスマートフォンの画面に表示される歩数とにらめっこしていた。
「まだ3000歩だ、もうちょっと先に行かないと!」と。
しかし今では、自分の住んでいるところを起点にして、目標の歩数を確実に達成できるコースを編み出し、その時の気分によって歩くルートを変えている。
買い物に行きたいとき用のルート、まっすぐな道をひたすら進みたいとき用のルート、休みだから普段よりもうちょっと歩きたいときに使えるルート、というように。
歩数を気にしながら歩かなくていいことに加え、音楽やラジオを聴き、その世界に浸りながらただ前に進めばいいので、ストレスもなくただ楽しく歩ける。
三日坊主あるいは一日、二日坊主の連続だった私を救ってくれた、歩くことに関する研究は今もなお進んでいる。
最近では、「それほどたくさん歩かなくても健康効果がある」「4400歩で効果的」と提言する論文が発表された。
これは、およそ1万8000人の女性の被験者に歩数計を着用してもらい、7日間の歩数を集計した後、最長で4年間の追跡調査を行った研究だった。
その結果、1日あたり平均2700歩以下のグループはもっとも死亡率が高くなった。
その一方で、1日あたりの平均歩数が4400歩まで増えると、死亡率は41%下がり、そこから平均歩数が増えるにつれて平均寿命も比例するように伸びるというもの。
「4400歩」は今私が歩いている歩数のおよそ半分。
この先、「今日は8000歩無理!」とぼやく自分が出てきたら、「4400歩だけでも歩いてみようよ」と声をかけてあげようと思う。
8000歩の目標を決めてそれができたとき、達成感で心が満たされる。
しかし、それを深く掘り下げて考えてみると、実際は歩くことでもなんでも、それを「続けられていること」自体にも喜びを見出していることに気づいた。
気が進まないときは、「4400歩だけ歩けばいいから、2200歩行ったら引き返す」と思って歩きだせばいい。
2200歩行き、2200歩を歩いて帰ってくる、それで4400歩達成として散歩を終えてもいいし、まだまだ余裕と思えたならもう半分歩いてもいい。
目標は小さくしてもいいから、「歩くこと」だけは無理のない程度にできる限り、やめない。
もしもせっかくやりたいと思えることに出会えたのに、その途中で躓いてしまったら。
視点を変えられそうな情報はないかと調べてみたり、楽しめるように工夫してみたりすればいい。
今日の8265歩は、そんなことを私に教えてくれたのだった。
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