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可愛い我が子が水を美味しく飲む方法は一緒に探るしかない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:内藤睦(ライティング・ゼミ書塾)
 
 
ああ、男の子ってどうしてこうムダが多い生き物なんだろう。学校から帰った小2の長男を相手に何度ため息をついたことか。
学校から帰ってきてもすぐに宿題に取りかかってくれない。食事の支度や次の仕事の準備をしたいので「早く宿題して」と言っても、ランドセルから宿題を出そうとしてそばにあるおもちゃに気を取られたり、家の中で飛び跳ねたりしている。
宿題は本気でやれば20分、宿題以外の日課にしているドリルなども本気でやれば20分かからない。
それなのに、毎日ゴソゴソしたり飛び跳ねたりしている時間が長いので、1時間以上かかったり、30分と30分に分けたりしなければならない。
一気に早く終わらせてくれたら楽なのに。その後の習いごとの時間に遅れそうになるし。
私自身は、「宿題などやらねばならないことをいかに早く終わらせるか」に燃えるようなタイプだったので、息子のムダが多い行動にイラっとすることも度々ある。
 
「いや、そりゃそうだろ、自分の子どもでも自分じゃないんだからさ」と冷静になればわかるのだが、親である私が「あれもこれもやりたい」という時間にシビアな状態ではなかなか冷静になれない。
 
お奨めのことをやらせたい親とやりたくない子どもの葛藤。これは多くの家であるものだろう。
自分の経験や収集した教育関係の情報から「今の時期にやっておくと後で役立つ」との親心で、勉強や習いごとや何かの習慣づけを子どもにやらせようとする親は多い。
でも子どもは必ずしもそれに従ってくれるわけではない。
 
いわゆる「馬を水辺に連れていけても水を飲ませることはできない」という有名な格言の状態である。
マジメでやさしい子なら、「これやっておくといいよ」とお奨めされたら、素直に「はい」と言って飲んでくれるだろう。でもそういう場合ばかりではない。「イヤだ」と言ってやりたがらない子もいる。
自分がやりたいこと以外はやりたくない、という気持ちが強い場合もある。その子なりのやりたくない理由がある場合もある。でも子どもがそこまでうまく言葉で説明できるとも限らないし、大人の行動のように理由を推測しきれない部分もある。
 
ああ、どうしたら水を飲む気になってくれるのだ。どこにあるのだ、やる気スイッチ。
 
そこでイラッとして親が思わず「やりなさい!」と強制権を発動してしまったりすると、子どもの表情がさっと硬くなる。
そして取り組んではくれるのだが、シーンとした重たい空気になってしまう。なんというか、通してしまった親のわがままに子どもが自分を抑えてつき合ってくれている感じ。うーん、気まずい。
 
馬は強制されても水は飲まない。
人間は馬よりも賢いから、相手の顔色や雰囲気を伺って、水を飲んでしまう。
親としては反抗されるより楽だからそれで満足してしまうかもしれない。
でも、それは子どもが「いい子」なのではなく、「大人にとって都合が『いい子』」なのだ。
相手の都合に合わせて振る舞う時間が長くなるにつれて、子どもは自分の意思を出すことをしなくなっていく。諦めて無気力になっていくと思う。
「本当は今、水は飲みたくないのに。この水ではなくあっちの岸辺の水が飲みたいのに」といった気持ちを飲み込んで、強制に従うことが続けば、子どもは本当に自分が水を飲みたいのかどうかがわからなくなってしまうかもしれない。
それは子どものやる気どころか、子ども自身の心を奪うことになってしまっていないだろうか。
 
自分だって子どもの頃、親に「やりなさい」と言われてかえってやる気をなくしたことはあったと思う。
試験期間前になると勉強へのやる気スイッチではなく、片付けのやる気スイッチが入ってしまって勉強そっちのけで部屋の片づけをしてしまった、というありがちな経験もたくさんやらかした。自分のやる気スイッチだってどこにあるのかわからない。
仕事や家事を、休憩やご褒美を取り入れながらやっている。
ましてや、自分ではない、我が子のやる気スイッチ探しなんて難しいに決まっている。
なのに親の強権発動をすることで動かそうとしてしまう。
 
本当に豊かなのは、水をたくさん飲むことではないのではない。
自分の子が、自分の意思できちんと水をごくごく飲めるかどうか。自分に合う飲み水を探せるかどうかが大切だというのに。
それが、ただ「水を飲んで生きのびる」というだけでなく、必要な時に必要な水を飲む自主性や自己管理力を持ち、自分を知って「豊かに生きる」ということなのだろう。
 
子ども達がお世話になった保育園は、体力づくりやいろんなことに挑戦させてくれるありがたい環境なのだが、その環境を考えてくれている園長先生がある時言った言葉を時々思い出す。
「やる気を教えることはできない」と。親はついついそれを忘れてしまいそうになる。
 
長男は相変わらず、家に帰るとその日やってきたマット運動を披露してくれたり、「空気をつかまえる!」と言って帽子を振り回したりしている。
今日は聞いてみよう。「何をどうやりたい?」と。
押しつけるのではなく、好きなコップはどれか。お腹が水でガボガボになっていないか。。どんなタイミングで水を飲みたいか。
一緒に飲めば飲むのか。他にごくごく飲んでいる馬がいれば刺激を得て飲むのか。
 
親としてはそういうことに気をつけたい。
 
 
 
 
***

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2021-06-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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