ノートに自分の気持ちを書くということ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:ハルキハルヒラ(ライティング・ゼミ超通信コース)
フェイスブックでつながっている彼女は20年前に2、3回だけ会ったことのある人だ。
私が20歳の時に付き合っていた彼氏の男友達の、そのまた彼女だった。
なんかのきっかけでご一緒したことがあって、その時に一緒に撮った写真が残っている。
人懐っこい彼女はユミと言った。
6年前にユミが私をFacebookで見つけてくれて、メッセージをくれ、以来Facebookでのみ、つながっていた。
そんなユミがFacebookに載せていた投稿が気になった。
『あなたは
どんな変化を起こしたいですか?
好きなように
変化を起こせるとしたら
どんなふうに変わりたいですか?』
目が釘付けになった。
変化を起こすことができたら
どうなりたいんだろう?
私は。
ふと、2年前に書き始めた最初の日記を引っ張り出して、開いてみた。
その日記も、ここ半年くらいは書くのをやめてしまっていた。
『2019年8月
1年後、仕事がどんなに忙しくても、17時には仕事を終わらせて、19時には家族揃ってごはんが食べられるようになりたい。仕事ができるようにもっと勉強する』
そう書いてあった。
あれから2年も経ってしまっていた。
今はどうだ?
仕事はある程度軌道にのって仕事の量も増えたが、17時になんて終わっていない。
18時過ぎてしまうこともあり、夕食は家族揃って食べられているけれど、疲れて作る元気のないときは、お惣菜やレトルトに頼っている。
仕事のための勉強はやらなきゃと思いつつ、2年前から全く進んでない。
なにより仕事が前よりも嫌いになった。
他に通信での習い事をはじめ、そっちのほうがなんだか楽しくなってきてしまって、仕事をやめたいとすら思ってしまっている。
「ごめんね。私、約束全然守れてないね。」
2年前のワタシに申し訳なくなった。
2年間何やってたんだろう。
変わりたいと思っていたはずなのに、少しずつ変わったつもりでいたのに、あらためて振り返ってみたら、2年前のワタシは一人ぼっちで放って置かれていたようだ。
変わらなきゃ
何か行動を起こさないといけない気がして、
20年前に数回会っただけのユミに思い切ってメールする。
突然のメールにも関わらず、彼女からすぐにお返事がきた。
ユミはノートに自分の気持ちを綴る「ノート術」の講師として個人で起業していた。
ZOOMでお客さんにコンサルトをして、ノート術を教えて広めることをお仕事にしているのだ。
個人で起業、なんて私の周りで実際にやっている人がいなかったので、やりたいことを叶えた人なんだなあ、と憧れの気持ちだった。
そんな彼女が夢を叶えたのきっかけが、「ノート術」なのだそうだ。
ただその日に起きたことを書くだけの日記とは少し違う。
ノートに今の自分のモヤモヤとした気持ちを書くことで、自分が本当に望んでいることがわかり、現実を変えることができるのだと。
私も2年前から書き始めた日記には、その日にあったいい事や、こうなったらいいな、ということを書くようにしてきた。書き方を変えると何が変わるのだろうか。
とても興味があった。
ユミの「ノート術」を受けてみることにした。
早速ZOOMでテレビ電話をする日を決める。
子供達が起きてくる前の、休日の朝8時半にしてもらった。
私の自由時間は子供達が寝ている時くらいしかないのだ。
20年振りに画面越し会ったユミに、こんなに時間を経て、もう一度人生が交わるなんて、本当に不思議だねと、話した。お互いその時に付き合っていた彼氏とは別れ、別の人と結婚していた。あの時の彼氏達が、元カノ同士がまた連絡取り合っているなんて知ったら、面白く思うだろうか。挨拶をそこそこに、「ノート術」について教えてもらうことになった。
ユミはまず、モヤモヤしていることをノートに書いてみるように言った。
10分ほど、取り敢えず頭に浮かんできたことを書き続ける。
明日から仕事かあ、嫌だなあ。コロナ心配だなあ。最近ヨガできてないなあ。そういえば肩こりもあるようだし、どこか痛いところを感じたらヨガやるようにしたらいいのかなあ。今日は子供の夏休みの宿題終わらせよう。
なんていうことをずーっと書いた。
それをユミに見せると、緑とピンクの蛍光ペンでラインを引いて見せてくれた。
緑のラインが私の感情、ピンクのラインが行動について書いたところだ。
緑のラインとピンクのラインが随所に引かれている。
「最近ヨガできてないなあ(緑)そういえば肩こりもあるようだし、どこか痛いところを感じたらヨガやるようにしたらいいのかなあ(ピンク)」といった感じだ。
まるで、緑とピンクの2人の人で会話しているみたいだ。
人は1日に5万回も頭の中でしゃべっているそうだが、私の頭のなかには緑とピンクの人がこうやって話していたんだ。
不安を感じてる私に、こうすれば大丈夫じゃない?とアドバイスするもうひとりの私がいるかのようだ。
これが私の頭の中なのか。
頭の中のモヤモヤを書くことができたら、緑ラインでひいた感情に注目して、どうしてそう思ったのか、もう一回自分に聞いてみるのだそうだ。
どうして嫌な気持ちになったの?
どうして悲しかったの?
なぜ?どうして?
それを繰り返して、すべて書き出せたと思ったら、もとはどういう事実に対してそう思ったのか、振り返ってみる。
事実というのは誰から見ても変わらない事実だ。
起こった事柄のことだ。
ノートの中ではこの事実とそれに関する感情は分けて考える。
事実に対する感情はすべて「妄想」と定義する。
頭の中で話していると、この妄想がどんどん進んでいって、問題を大きくしていってしまうことがあるのだ。
だから、書いて、これは事実ではなく、妄想だ、と確認することが大切だ。
妄想だとわかると楽な気持ちになる。
すべては起こった事実に対して、どう解釈するかで変わる、という話は聞いたことがあったので、理解できた気がした。
「雨が降った」
この事実に対して「雨は嫌だ」と思う人と「雨で嬉しい!」と思う人もいる。事実は一つだが、考え方で良くも悪くもなるのだ。
私は「仕事が嫌だ」という気持ちに注目してみた。
今までは「仕事が嫌だ」というところまでしか日記に書かなかった。
漠然とただ嫌だ、と思っていただけで、何が嫌なのか、ちゃんと考えたことがなかったのに気がついた。
「仕事が嫌だ」という気持ちになぜ?を問いかけていたら、一緒に働く職員のことが嫌だ、という気持ちがでてきた。これには自分でも驚いた。クレームを言ってくるお客さんが嫌だ、とか、自分が仕事ができないから嫌なのだろうと思っていたが、それだけではなかったのだ。「だって○○さんはこういう人だから。この人のせいで新しい職員さんが入ってきてくれなくて、仕事に支障がでているんだ」そんなことを書いているうちに、ますます気分が悪くなってきた。〇〇さんがすべての元凶のような気持ちになってきた。
ユミはこのノートを見て、「これが妄想なんだよ」と言った。
〇〇さんはこういう人だっていうのは事実ではないんだよ。
〇〇さんは家族の前や、仲のいい友達にはそんな風に思われてないはずだよ。
〇〇さんがこういう人、というのは事実ではなく、思い込みであって、妄想なんだよ、と。
そう実際に自分が感じているからそれを事実のように思っていたが、そうか、これが思い込みであり、妄想なのか。
理解できていたつもりが、指摘されるまで気が付かなかった。
本当だ。
私は妄想しているうちに妄想が妄想を呼んで自分で勝手に気分を悪くしているだけだったのか。
ユミの言っていたことが少しわかってきた。
ユミは他の例え話もしてくれた。
「Instagramで見かけた万年筆がかわいくて、欲しい!って思ったの。でもそれ、調べたら3万円もしたの。3万円もするの!? 高い!! なんなん!? って。」
「Instagramでみかけた万年筆が3万円だった」この事実に対して感じた感情について、もっと深く掘り下げてみる。
どうして「なんなん!?」って思ったの?
だって万年筆に3万円もかけるのって無駄じゃない?
じゃあ、どうして無駄って思うの?
だって書ければよくない?そんなのにお金かけるのもこわいし。
どうしてこわいの?
そんなお金の余裕ないもん。お金かけるならもっと実用的なもの車とかにお金かけた方がいいよ。
つまり、私は『ただのときめきにお金をかけるのは無駄で、私にお金の余裕はありません』って思っていたんだと気がつく。
これが自分で知らずに決めていた、自分への決まりごと。
そんな自分でいいの?
絶対イヤだ!
そう思ったら、『私は値段に関わらず、自分の心が動いたものにお金や、時間や、体力を注げるような人になる!』
そう自分の決まりを変えてしまえばいいのだと。
なるほど。
確かに自分の中で勝手に決めている決まりごとがありそうだ。
そして、他人の決まりごとは変えることができない。
ひとりひとりに決まりごとはあるけれど、それを私が変えることはできない。
他人をどうにかしようと思わないこと。
ノート術で見るのは自分の気持ちだけ。
嫌だと思っているのは、あくまで自分の気持ちであって、それを他人のせいにして逃げても、そこで止まってしまう。
私の気持ちは私で決める。
① 妄想で話をすすめない
② 自分の中の、好きではない決まりごとがあるのに気がついたら、それは自分の好きな決まりに変える
この2つのこと気をつけてノート術を続けてみることにする。
まだ始めたばかりで変化はわからないけれど、焦ってやるべきことのTo Doリストの方ばっかりに気を取られて、自分の気持ちにはきちんと向き合えていなかったと実感した。
まずはどう感じているのか書き綴ること。
どうしてそう感じたのか、その気持ちを1段、2段と掘り下げてみること。
今どんな気持ち?
それはどうして?
ノートを書き始めて、自分が今なにを感じているのかな、とふと立ち止まることが増えた。
今の気持ちを見つめること。
瞑想にも近いのかもしれない。
焦らない。
頭だけで考えない。
気持ちを感じる。
そしたら見えてくるものがきっとある。
***
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