メディアグランプリ

もともと○○だった私が推しへの愛を一層深めた 11月11日の夜の話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:濱本 祐子(9月ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
その日は22時までにすべてを終わらせた。風呂も皿洗いも新聞読むのも。
布団を敷き、枕元にスマホを用意し、開始を待った。
11月11日、木曜日。
 
スマホの中で何が始まるかというと、その名も「チンアナゴとねむリウム」。
 
東京のすみだ水族館で開催されるオンラインイベントで、私はこれが有ることを今月9日にネットで知った。夜の10時から2時間、チンアナゴ水槽からライブ中継があり、それを愛でながら寝落ちするイベントらしい。
  
私はエキゾチックアニマルが好きだ。
エキゾチックアニマルとはいわゆる小動物である。小鳥、うさぎ、ハムスター、モルモット、金魚、メダカ、熱帯魚など。蛇やトカゲも含むようだ。私自身、文鳥やセキセイインコ、ハムスター、メダカ、デグーを飼っていたし、今も14歳になるゼニガメの女の子がうちには居る。
 
そして実は魚にも推しがいる。
チンアナゴとミドリフグ。どちらも何時間でも見ていられるくらい好き。
魚ではないがクラゲも水族館で見るやつは好きだ(海にいるのは怖い)。
 
チンアナゴは白い体に黒い模様がついているうなぎのような細長い魚である。英語名は「spotted garden eel」。日本犬のチンに似ているからこの名前になったそうだ。普段は体の上部分だけを砂の上に出し、ゆらゆらと揺れている。同じところに群れで住んでいるらしい。餌はその状態で待っていて、流れてきたプランクトンを食べる。
 
そして11月11日は、数字の1が4つ並んで、まるで並んだチンアナゴみたい! ということでチンアナゴの日なのだそうだ。ポッキーの日として有名になってきたようだけど、チンアナゴの認知度も上がるといいなあ。
 
主催者によると、このイベントの目的は「チンアナゴを見ながら寝落ちすること」なのだが、その日の私は忙しく疲れ気味で、布団に入って見ていたらあっという間に目的を達成しそうな気がした。それに反するとうすうす感づいていたが、絶対にすぐには寝ないぞと決めて、とりあえず布団の上に座って待った。
 
だって、チンアナゴが家で(それも布団の中で)見られるなんてそうそう無い。
水族館で見るとしても一人で行かない限りありえないだろう。
実際、水族館に行くのは家族と一緒だったりで、私だけが2時間もチンアナゴの水槽前に居座るなんて出来ない。「母さん、次に行くよ!」と言われて家族に置いていかれそう。それに体力がもたない可能性もあるし、人目もある。「あの人、一体どんだけチンアナゴ見てんのかしら」
 
22時、ライブ中継が始まった。
大きな水槽に、たくさんのチンアナゴとニシキアナゴ、そしてホワイトスポッテッドガーデンイール(日本名が無いらしい。形は似ているが種類が違う)。白い砂に半分体を埋め込んで、ゆらゆらと、のんびり(に見える)と揺れている。砂の上にはマガキガイ(巻き貝の仲間)もいて、時々ちょこちょこと動く。あっちへニョロニョロ、こっちへフラフラ。何を考えているんだろう。意外と目が大きい。顔はちょっとうちのカメに似ている気もする。
 
飼育員さんのゆるーいトークも始まる。
あまりにもゆったりと静かにボソボソとお話しするので大丈夫かなあと思ったが、「寝落ち目的」のトークがにぎやかだったら絶対寝られないからこのトーンか、とすぐに気づく。ありがたい。飼育員さんは女性の方も含めて三人くらい居るようだ。
 
Twitterとも連携していて、ハッシュタグを付けて質問等をつぶやくと、飼育員さんが答えてくれるようになっていた。その中でチンアナゴとニシキアナゴの違いを知る。模様も違うが(ニシキアナゴのほうが華やかではある)、鼻周りもちょっと違うそう。またチンアナゴでも雄雌で顔がちょっと違うらしい。女の子の周りには男子が寄ってきて、争いもあるとのこと。あんなに呑気そうなのに喧嘩するんだ! と驚いていたら、本当に喧嘩しているところを映してくれた。喧嘩中のチンアナゴは顔が怒っているようで、相手を口を開けて威嚇し、にょろにょろと戦っていた。そして負けた方は別のところへ泳いで行ってしまった(この時全身が見られた。かなり長い。1メートルくらいありそうだった)。
 
「はああああ、可愛いいいいい、癒やされるうう」
スマホの画面を見ながら何度も嘆息した。
 
自分にとっては本当に最大級の癒やしだった。
今週はあまり嬉しくないニュースが続いたけど、あと少し、頑張れそう。
 
そうこうしているうちに眠くなってきたので布団に入る。
でも値落ちしないぞ! できるだけ最後まで見るんだ!
 
この時23時過ぎ。
「11月11日、今日最後の11時11分をまもなく迎えます。チンアナゴが1111と並ぶ画像を贈れる(「おくれる」には複数の漢字があてられるが、飼育員さん的にはおそらくこの字が最適)といいのですが」と飼育員さんが言う。その時刻が来る。「1111、なんとか並びました!」と嬉しそうな声がする。私も構えてスクショに撮った(少し別のも映り込んだが)。
 
その後は何度かウトウトし、はっ、と気づくのを数回繰り返した。
意地でも寝落ちはしないぞ、最後まで見るぞ!
(明らかに主催者の意図に反しているが)
 
しかし次に気がついた時、スマホの画面は真っ暗になっていた。
24時を過ぎていた。
どうやってこのイベントが終わったのか、分からなかった。
 
そして、ここで気がついてしまったことにより、目が少し冴えてしまった。
 
眠れない……。
 
チンアナゴたち、可愛かったなあ……。
思い出しているうちに、いつの間にか眠りに落ちてしまったようだ。
 
次の日の朝、ちょっと寝不足だなあと思いながら起きた。
それでも前の晩の余韻もあり、怒ることも少なく、穏やかに一日を過ごせた。
 
そして思った。
来年また同じライブがあったら、絶対参加しよう。
忘れないよう、手帳の11月11日のページにとりあえず鉛筆で書き込んでおこう。
すみだ水族館さん、お願いします。来年もやってください。
 
もう一つ思った。
今度はホンモノを見に行こう。
一人で行って最低でも30分居座ってガン見しよう。
 
これを読んで、チンアナゴを見てみたいと思ったそこのあなたへ。
もし近くにチンアナゴがいる水族館が無くても、ライブなら家で視聴できる。癒やされたいと思うのであれば強くお勧めしたい。
 
最後に、今回初めて知ったこと。
チンアナゴ推しのことを業界では「砂」と呼ぶのだそうだ。
 
私は砂になりたい(いや、すでになっている)。
 
 
 
 
***
 
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2021-11-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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