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コロナ禍で向き合う学生の孤独な時間

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記事:蛯原篤史(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「学校に来ない時間が長かったせいか、今、友達を作ることや、友達と話をすること、人と交流することが、すごく面倒に感じます。これってよくないことですか?」
 
えっ!? 私は、一瞬耳を疑ってしまった。
 
東京にあるとある大学の授業のゲスト講師として呼ばれたのだった。講義(20代のうちにやっておいたほうがいいこと)の中で学生時代の交友関係について触れた箇所があり、質疑応答の時間に、大学2年生の女の子に質問された。それが、先ほどの問いだった。私は、20代のうちに、いろんな人と交流し、その中で、気の合う人と出会い、友人になり、共に時間を過ごすことは、いいことだと思い込んでいた。しかし、今はそれができない。私が学生時代だった当たり前の日常が、彼らにとってはそうではないのだ。この問いかけによって、今の時代の学生たちに起きていることを知ることになり、もっと、今の学生に思いをはせる必要があると感じたのだった。
 
東京から大阪へ向かう新幹線の中で、私は、コロナ禍の学生生活に関するニュースを調べた。するとこんな興味深い記事が目に留まった。
 
「サークル文化は終わった?どうなる大学生の友人関係」 (NHK NEWS WEB 2021年9月22日掲載記事)そこにはこう書かれていた。
 
「ほぼ2年間、各大学は対面でのサークル活動やそれに付随する飲み会や合宿を禁止してきた。かりに来年戻ったとして、かつてのような活動を知っているのは唯一4年生だが、就活や卒研で新入生指導にそこまで時間をかけられない。残念だが大学のサークル文化はかつてのように戻らないと思う」
 
確かに、そうだよなと思いながら読み進めていくと、これまで気にしたこともなかった事実に気づく。今年の7月、全国大学生活協同組合連合会が、大学生に対するアンケートを実施、「学生生活は充実しているか」聞いたところ、44.7%が充実していないと回答。これは、コロナ前、2019年秋の調査のおおよそ4倍にあたる数値だそうだ。さらに驚いたのは、一番不安をかかえているのが、大学2年生なのだ。そういえば、質問してくれた女の子も大学2年生だった。
 
講義の後の食事会で彼女と話す機会があった。「2年生は、入学当初からずっとオンライン授業だったので、友達もつくる機会もありませんでした。1年生は、途中から対面の授業が始まったので、まだ、ましだと思います」続けて、隣にいた2年生の男の子は補足するように説明してくれた。「僕は、一人暮らしをしています。授業はずっとオンラインだったので、だれにも会わない日ばかりでした。授業中、誰かとペアを組むこともありますが、相手が携帯電話ばかりみているので、話しかけても、無視されたりします」
 
確かに、それはある。私も、仕事上、初対面の人とオンライン会議をすること機会がかなり多い。発言をしても、質問をしても、反応がないこともある。そうなるとその人と、次、話すのがなんとなく億劫になるのだ。
 
2年生の子たちの生の声とニュースの内容がリンクした。今、学生、とりわけ2年生は、ものすごく悩んでいるのかもしない。
 
さらに、ユニセフによると、コロナの影響で、世界の10~19歳の少年少女のうち、少なくとも13%がうつ病など何らかの「心の病」と診断されているという報告書を発表している。もしかしたら、これは、日本だけの問題ではないかもしれない。学生は、気のおける仲間とたのしい時間をすごせる貴重な時間だ。しかし、今、それができない、それを考えると急に、胸が苦しくなってきたのだった。
 
しかし、そんな私の心配もよそに、2年生の学生たちはたくましかった。もちろん、不安や悩みはあるし、それらがそう簡単に解消されることはないかもしれない。それでもみんなが「コロナ禍の孤独な時間」を利用して、活路を見出そうとして努力をしている。それぞれが、その孤独な時間を利用して、目標に向かって、勉強や趣味に励んでいるのだ。3年生になったら留学するのを目標に英語の勉強をする子もいる。英語がはなせるようになりたいと、講義の課題をしっかりこなす子もいる。大好きなディズニーのコンテンツを研究する子もいるし、大好きな野球のためのトレーニングをする子もいる。学生たちも、コロナ禍の生活に戸惑いながら、もがきながら、できることを精一杯やろうとしている。
 
食事会の会話を振り返ってみると、あの子たちは、すごいなと思った。困難を乗り越える力を感じた。もちろん、みんな精神的にダメージをうけているのには変わりない。それに、みんながみんなたくましいわけでもないので、周りの大人たちや大学側が支援をしていくことも必要だ。しかし、学生たちには生きていく力がある。
 
食事会が終わり、店の外で学生たちを見送った時、5人いた2年生たちは、仲良さそうに街へ繰り出していった。もちろん、友達と話すのが面倒といっていた女の子も一緒に。私には想像ができないくらい大変な学生生活かもしれないが、ひとりひとりが知恵をしぼって、コロナ禍をうまく乗りきってほしい、切実にそう思う1日だった。
 
 
 
 
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2021-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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