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難しい名字の弊害


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記事:弓削 浩美(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
「あ、お疲れ様です。ぬくみずさん、いらっしゃいますか?」
「いえ、そのようなものはおりません」
「あれ、部署間違えたかな~。なんて読むんだろ、これ」
 
仕事で旧姓を使っているが、珍しい方であるらしく初対面の人に一度で正しく読まれたことがあまりない。
会社内での電話ですら、適当に呼んでくる人の多いこと。
 
電話口で、絶対自分だろうなあ、と思いながら、
半ばやけくそに「存じません」と言ってみる。
 
漢字が読めないなら電話をかける前に調べなさいな。
こちらだって心が狭い時もある。許してくれ。
 
以前、日本に登録されている名字の人数を調べられる郵便局のサイトがあった。
おそらく住所録かなにかに基づくのだろうと思う。
友人と検索をしてみたところ、私の旧姓は日本で80名程度、だった。
日本で一番多い「佐藤さん」が180万名越えだというから、珍しい方なのだろう。
 
初めての方とお会いして名刺交換をする際も、必ず、
「珍しいお名前ですね、ご出身は?」という会話が続く。
「父は宮城の方なのですが~」という話を何回したかわからないが、
特に煩わしいと思ったことはない。
 
すぐに正しく読んでもらえなくても、覚えてもらいづらくても、
自分としてはやはり愛着があり、ちょっと誇らしげに感じていたのだ。
 
とはいえ、自身が間違えられやすい、ということが関係してか、
自分が人様の名前を間違えるのを、おそらく人よりひどく気にしている。
 
ただでさえ、日本人の名字は難しくないか。
読みにくい漢字はもちろんのこと、漢字が難しい。
よく出会う名字の方でも、
「わたなべさん」の「なべ」は「渡辺」「渡部」「渡邊」「渡邉」
「さいとうさん」の「さい」は「斎藤」「齋藤」「斉藤」「齊藤」
「たかはしさん」の「たか」は普通の高でいいのか?もし「髙」だったら?
“はしごだか”の人は、そこに誇りを持っている人が多い気がするし……というのは偏見か、すみません。
 
もちろん、正しいのに越したことはないので、
名刺やメールの書面を確認し、丁寧にメールや宛名を書くのは良いことだと思っている。
 
ところが最近、思わぬところで困ったことがあった。
オンライン会議である。
 
初めてお会いする取引先の3名の方とオンライン会議を行い、
その後お礼と資料の送付を兼ねてメールを送ろうとしたときに気が付いた。
 
それまでやり取りをしていた2名の方の名前はメールの署名にある。
ただ、同席していた中で一番偉い感じの方は、CCのアドレスしか表示されていないので、名前の漢字表記がわからないのだ。
 
もちろん自己紹介はいただいたが、会議画面の表記も英字だった……。
 
この後、念のため同僚にも過去のメールをさかのぼってもらったり、その企業のHPにお名前が載っていないかな、という所まで調べたりしてもどうにもならず、
腹をくくって一番可能性の高い漢字を宛名に打つ。
そのあとに、お名前の漢字が間違っていたら大変申し訳ございません、と追記して。
 
なにもそこまでしなくても、と思われるかもしれないが、
本当に、本当に、間違えられることが多い人間は、この気持ちを他の人に味わってほしくないのだ。
怒っているわけではないし、特段失礼だとも思っていない。
ただ、ちょっと寂しい。ちょっと、「だれやねん」という気持ちになる。
 
先ほどのメールには、1時間後にきちんとしたお返事をいただいた。
その方の名字の漢字表記は正しかったようで、
「オンライン会議だと名刺交換がなく、失礼いたしました」とのことだった。
 
確かに、こんな時のために名刺交換は必要だったのだな……と思い知る。
 
そこで目に入るのが宛名の私の名前である。
 
自分の名字の一文字目の漢字に、「かねへん」がついていた。
読み方の同じ、漢字の違う名字だ。
 
こちらが奔走していたせいもあって、もはや面白くなってきた。
まあ、そんなもんだよね、と笑いながら、
反対に自分は間違ってなくてよかった、とほっとする。
 
良くあることなのだが、
私が「お世話になっております。○×株式会社の●水です」と送っているメールに対し、
相手から「△水様、お世話になっております」と返事が来る。
おそらく、そのとき必ず「水」は合っているので、「水」のつく名前を無意識に書いてしまっているのだろう。
 
誤字脱字、敬語間違い、見積の金額間違い……
色々と気に掛けることは多いけれど、人同士の関係だから、
まずは、一番に名前は大事にしたいものだなと、改めて考える。
もちろん、企業の表記も然り。
 
難しい名字あるある、「いや、だれやねん」問題。
皆様、宜しければいつもより少し、お気をつけて。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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