七夕のお願い事は他力本願ではなく、決意表明だった
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:種村聡子(ライティング・ライブ名古屋会場)
ほそく流れる白い煙が、青い空に向かって伸びていくのを、じっと見ていたことがある。天に届きますように、わたしの願い事が叶いますように、と祈るような気持ちで眺めていた。そういえば、あのとき短冊に書いた願い事は、叶ったのだろうか。
7月7日は七夕だ。むかしは、機織りが上手だったという織女星(こと座のベガ)にあやかって、針仕事などの上達を願う行事だったが、いまは、子どもたちがいろいろな願い事を、笹竹につるした短冊にたくしている。
「かけっこがはやくなりますように」、「サッカー選手になれますように」、「テストでいちばんになれますように」。色とりどりの短冊に書かれた、子どもたちの願い事は、微笑ましいものから、ちょっと切羽詰まったものまで様々で、ドキドキしながらこっそり読んでしまう。
子どもの頃、笹竹のてっぺん近くに短冊を結ぶと願い事が叶いやすい、と信じていたので、友だちと競うように笹竹の上の方へ短冊を結んだ。誰よりも早くわたしの願い事が天に届くように。そう、わたしにとって、七夕の短冊に書く願い事は、誰かが「叶えてくれる」ものだった。
おとなになって、七夕の短冊に願い事を書くことはなくなってしまったが、おとなであっても、叶えたい願い事や夢はある。最近、ノートを新調した。月の満ち欠けを利用して願い事を叶えるためのノートである。
このノートには、新月と満月の2回、すなわちひと月に2回、叶えたい願い事を綴る。ただ綴るだけではなく、新月には「すでに叶ったもの」として願い事を記し、満月では「すでに叶ったお願い事に対して感謝の言葉」を記す。いま願っていることを、叶ってもいないのに叶ったものとして記すことに、はじめのうちは戸惑いを感じていた。でも、何度か書いて慣れてくると、気づいたことがある。自分の願い、すなわち自分がいま望んでいることや考えていることを文字にすることは、頭のなかが整理されて思考がクリアになる。さらに、月に2回、定期的に自分の思いと向き合い、棚卸しして言語化すると、その思いをついうっかり忘れることが少ない、と気づいた。
こうだったらいいな、こうしたいな、そんな気持ちになって自分を鼓舞してがんばろう、と一念発起することは、誰にでも一度や二度は経験があると思う。もちろん、そのまま目標に向かってまっすぐ進むことができたら素晴らしい。でも、いろいろな理由で中断したり、あきらめたり、日々の生活に忙殺されて忘れてしまったり、ということは、やっぱりあると思う。そんなとき、定期的にノートに記したり、過去に綴った思いを見返したりすると、思い出すことができて、また、前へ進むことができる。
すると不思議だ。自分の願いや夢が、いつも頭のどこかにあると、その思いに関係することに敏感に反応するようになった。たとえば、数ヶ月前に書いたわたしの願いは「ライティングの勉強をしたい」だった。「ライティング」「文章術」のキーワードがいままで以上に気になり、目にするようになって、天狼院書店のライティング・ゼミに辿り着いた。意識していなければ通り過ぎてしまうことにも気づけるようになり、自分の願いに近づける結果となった。それは、自分自身が、願いを叶えるための行動を起こしたからに他ならない。
そう、この「願い事を叶えるためのノート」は、誰かに願いを叶えてもらうものではなくて、願いや夢を叶えるための、自分自身の決意表明だったのだ。これは、短冊に書いた願いごとも同じではないのだろうか。
かけっこが速くなりたい子は、かけっこの練習をしているのだろう。サッカー選手になりたい子は、サッカーを一生懸命練習しているのだろう。テストで一番になりたい子は、勉強をがんばっているのだろう。七夕の短冊に書いた願いごとも、自分自身の意思表示、こうなりたい、ということへの決意表明だったのだ。
願いごとは誰かに叶えてもらうものではなくて、自分で叶えるもの、と言うと、すこしがっかりする人もいるかもしれない。時には、思いがけない幸運をつかんで叶うこともあるかもしれない。でも、それであっても幸運をつかむのは自分自身の選択であり、思考であり、行動にほかならない。
わたしは、願いごとは自分で叶えるものだ、と考えついたときにうれしくなった。願いや夢へ向かう、日々の自分の思考や行動の積み重ねが、未来のわたしを変えることができるのだ。自分の願いを自分で叶えることができるのなら、とても前向きで楽しいではないか。わたしは、少しでも理想の自分へ、やりたいことへ、みんなが幸せになれるほうへ、向かっていく努力をしていきたい
そうだ、今年の七夕には短冊に願い事を書こう。いまの思いを書き記そう。そして、一歩一歩、ちいさな願い事を叶えながら、大きな目標に向かって進んでいきたい。
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