メディアグランプリ

どんな曲でも最初に歌詞を見ながら聴いたときウルッとくる現象


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村人F(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
自分でも不思議だなと思う。
どんな曲でも、最初に歌詞を見ながら聴いたときにウルッとするのだ。
この前はアニメ『パリピ孔明』のオープニング『チキチキバンバン』でうっかり泣きそうになってしまった。
あんなチキチキやらバンバンやら盛り上がっているゴキゲンな曲なのに。
100人中100人が泣かないと自信を持って言える状況だ。
しかしこんな曲でもつい涙が出そうになってしまう。
これはカラオケでも同じだから、初めて歌う場合は堪えるのに結構苦労する。
 
この怪現象はなぜ起こるのだろう。
毎回不思議に思っていた。
しかし、これは文章の力を過小評価しすぎていたのかもしれない。
普段の状況を考えてみると、歌詞を見ながら聴く機会はほぼ絶滅している。
ダウンロードして購入する場合は歌詞カードもついてこないし、通勤途中で聴くような場合には見ている余裕もない。
だから大抵は耳だけで曲を楽しむことになる。
 
しかし歌詞を見ながらの場合は、そこに目が加わる。
すると当然、それだけ多くの情報量を受け取ることになる。
おそらく私が涙を流しそうになるのは、この感動が想像以上に大きいことに起因しているのだろう。
なぜなら歌詞を見ながら聴くとき、曲以外の思考は極力まで削ぎ落とされるからだ。
目で見る行為には、それくらい没頭させる力がある。
その上で作詞家たちが全力を込めて書いた文章が飛び込んでくる。
改行の仕方やスペースの入れ方など力を入れた表現が込められた詩だ。
そこに素晴らしい歌声と曲が合わさる。
泣くなという方が無理である。
それくらい、音楽が持つ力はすごいのだ。
 
だが、この経験をするたびに私は思ってしまう。
普段どれだけ曲のことを無視していたのだろうと。
 
私は通勤時間にしか聴いていないが、それだと電車に揺られスマホを見ながらになる。
どちらかというと曲に集中するというより、気を紛らわすために流している側面が強い。
 
そして、そんな状況で曲から受け取れる情報はどの程度なのだろう。
ひょっとしたら、10秒後には記憶が消えてしまうレベルに落ちているかもしれない。
実際次の曲に切り替わったとき、直前に聴いた曲が思い出せなくなっていることがとても多い。
つまり、その程度の意識しかないのだ。
 
しかし、これらの曲には多くのプロの全力が込められている。
歌手はもちろん主役として声を磨いている。
演奏陣も各々の仕事で長年培ったテクニックを惜しみなく発揮している。
そして、それらを録音しミックスする編集のメンバーもいる。
1つの作品に込められた熱量は、これほどまでに大きいのである。
 
だが、それを受け取る私は全力を出していない。
周りの雑音をかき消せればそれでいい程度で聴いている。
そして金を払うことすらサボろうとしている。
YouTube公式で無料音源を聴き、サブスクを使うなどして、極限まで削減しようとしている。
 
そんな状態で曲に対してどれだけリスペクトを込めることができるのだろう。
おそらく、ほんの微量でしかないはずだ。
私はいつの間にか、その程度でしか聴けなくなっていた。
 
だからこそ、歌詞を見ながら聴き涙を流す。
この行為が非常に重要になってくる。
 
歌詞を見るとき、脳のリソースの半分以上は文字に費やされる。
そしてそこに音楽が加わることで、ほぼ全てが1曲のために使われるのだ。
つまり全力で対峙する状況が生まれる。
すると、これまで雑に聴いていたせいで逃していた要素が流れ込んでくるのである。
 
韻の旨さ、表現の美しさ。
ベースの響きに歌声に込められた多くのテクニック。
この1曲に、ここまで多くのプロの技が込められていたのか。
それらが私の心を揺さぶってくる。
そこには「この作品に対し、なんて雑な扱いをしていたのか」という反省も含まれる。
しかし、それ以上に音楽が持つ素晴らしさが流れ込んでくるのだ。
それを体感したとき、涙を流してしまうのも当然のことだろう。
 
皆様は最近、歌詞を見ながら曲を聴く機会はあるだろうか。
もしかしたら、数年単位でやったことがない人も多いかもしれない。
その場合はぜひ一度、やってみていただきたい。
通勤途中になんとなく聴いていた曲と、自宅で正座し歌詞を見ながらじっくり対峙する。
きっと今まで見落としていた素晴らしさが心を揺さぶってくれるだろう。
そこで流す涙は、あなたの心を最大限に癒やしてくれるはずである。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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