アミノ酸と通知表とライティング・ゼミ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:道上 香織(ライティング・ゼミ4月コース)
「わたしは誰で、何を語る?」
2022年の4月に以前から気になっていたゼミに申し込んだ時点から4ヶ月間、念頭に取り組みました。
そのゼミは、隔週で講義を受け、毎週決められた時間までに規定の文字数の文章を書き提出するもので、文章に課題はありません。
毎回講師の方がフィードバックしてくださり、コンテンツとして成立したら、ウェブサイトに掲載してもらえるのです。
なんと、最初に提出したコラムが運良くコンテンツとして認められ、ウエブサイトに掲載してもらえました。
「わたしのような頭も思考もカチコチ筋肉な人間でもこんな評価をいただく事ができるなんて!」と天にも登る気持ちになりました。
そこから書く事が楽しくなりました。
誰かに評価してもらえる事がこんなにもモチベーションになる感覚を久しぶりに味わいました。学生時代のそれは「通知表」、会社員時代のそれは「査定」として自分の立ち位置を確認していたあの感覚です。
おひとりさま仕事を始めてからはそれは「売り上げ」と言うシビアな価値で評価されてはいますが、言葉でもらうフィードバックはどれほど気持ちに響くことかと改めて感じました。
そして、毎回提出する毎に如何にコンテンツにする事が難しいかを痛感し、ある時はもがきながら、ある時はノリノリで余裕を持って、はたまたある時は夢にも見たりしながら課題に取り組んでいきました。
開始から2ヶ月経ち、折り返しを迎えた頃に当初の「わたしは誰で、何を語る」のブレがやってきました。
ネタ切れも相まって、悶々と締め切りを迎える事が多くなってきました。
「何を書こうか」というより
「提出しなきゃお金がもったいない」とか、
「他の方はうまく書けて、いつも評価されて羨ましい」とか、
「こう書けば講師の良い評価を得られるに違いない」など
楽しかったはずの書く事が、違う動機になりはじめていました。
評価をほしいがために、誰のために何を書くかが分からない……。
「あれ?
わたし、書く事にちょっと自信持って好きになって、少し上手になっていたじゃん!
でも、どうして、こんなにうまくいかないのだろう?
やっぱり私ってヘタッピなの?」
と落ち込みまくりました。
そんなある日、親しい先輩が「メンタルモデル紐解きセッション」のモニターを募ると言うので、受けてみることにしました。
「いつも繰り返されてしまうパターン、今起きている残念な出来事、モヤモヤ」を聞きながら、それがどのような信念(メンタルモデル)から来ているのかを紐解いていくと言うものです。
聞き役は先輩、わたしは質問に答えながら、その信念を探して行きます。
まさに今起きている残念な出来事が、「評価をほしいがために、誰のために何を書くかが分からない……」だったので、深掘りすることにしました。
「じゃあ、はじめますね。いつも繰り返されてしまうパターンって何かありますか?」
「忘れ物がひどいんです。
昨日はトライアスロンの練習会があったのですが、長丁場なので、補給用のアミノ酸を用意したにも関わらず、バッグにしまい忘れて、アミノ酸がないまま練習しました」
「それで結果はどうたったの?」
「いや、それがなくてもバテずに練習できたんですよね」
「じゃあなぜそれを持って行こうと思ったの?」
と言うように、忘れ物の癖から、なぜその行動をとったのか、その時の気持ちをやりとりしながら、どんどん掘り下げていくと……
「誰かの期待を上回らないとダメ」
と言う信念が見つかりました。
そこにたどり着いた経緯はセッションの内容にも触れてしまうので、割愛しますが、どうやらわたしは物事を始める動機や、継続する動機に「誰かの期待を上回る」と言う信念のもとに行っていたようです。
そこで印象的なシーンが思い出されました。
幼稚園の通知表、とっても優しくて大好きだった先生から父母に向けて書いてあるコメントが「香織さんは、いつもキョロキョロと落ち着きがないお子さんです」
それを両親が読んでいるところを目撃してしまった幼い香織ちゃんは、号泣しました。
と言うシーン。
「大好きだった先生がわたしのことをそんな風に見ていたなんて!」
約半世紀後のアミノ酸忘れのエピソードからの、幼い頃の通知表のシーン。
「評価をほしいがために、誰のために何を書くかが分からない……」の答えが見つかった瞬間でした。
もちろん評価されることは、嬉しいです。
自分の努力の賜物だから。これから頑張ろうと思っているトライアスロンだって、レースに出て、何かの評価がもらえたら嬉しいって絶対思うはずです。
でも、本当に大事なのは、誰かの評価ではなくて「自分が自分の期待に応えていくこと」でした。
だって、もうアミノ酸を補給しなくても、酷暑の練習会で成果を出せているわけですから。
トライアスロンには「完走した者は全員が勝者」と言う言葉があります。
4月から多くの方とここに辿り着けたことに、感謝しています。
今日でライティング・ゼミは終了しますが、ここからはわたしがわたしにしか書けない、文章を目指してブラッシュアップしていきます。
***
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