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おひとり様花火大会のススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:服部真子(はっとりなおこ)(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「あ〜花火大会行きたいな」
 
女が気になる男性の前でこう呟くときは、「●日の花火大会に一緒に行きたいな」という台詞の短縮版だと察して欲しい。
 
男「あ〜俺は夏休みが欲しいな」
 
お相手のこの返事、色々すっ飛ばして「あ、フラれた」と思ってしまった。そう思ってからの飲み会って全然楽しくない。その後の会話もあまり覚えていない。もっと私がポジティブだったら「夏休みさえあれば花火大会に連れて行けるのに」という意味だと思えたかもしれないけれど、ヘラヘラと笑って話題を切り替えてしまった。職場の人手不足で激務だったことと、生理前でイライラしていたからこんなことになってしまったのだ。大人の余裕っていつ身につくのだろうか。
 
毎年、花火大会だけは絶対に行きたくなる。外は蒸し暑いし、人が多すぎて事故になりやすいし、ベストスポットでは立ち止まれなくて歩きっぱなしになったり、とにかく大変な思いをすることが多いのに、なぜだが行きたくなるのだ。夏の夜の空気と、沢山の人の熱気と、ドドン、ドーンと体に響く爆発音は何にも変え難い魅力がある。不便な思いをしても儚い芸術を見たいのだ。あと浴衣を着る口実が作れるのも嬉しいのだ。
 
2022年夏、東京の花火大会は軒並み中止になっている。唯一の望みは神宮外苑の花火のチケットは確保できなかった。どこかのマンションの屋上から観られるだろうか、当てはない。だから上述の男との会話は行く当てもなかったのだから、落ち込む必要はない。相手はただ思ったことを口にしただけ。彼と出かけたいのか、花火に行きたいのか、自分でも答えはなかったが、そう言い聞かせて一週間が経った。
 
帰宅して、お決まりの仕草でYoutubeを開いた。普段登録していないチャンネルが赤いLiveというバナーで光っていた。なんと、北海道の花火大会が中継されているのだ。
思わぬ形で花火大会に遭遇した。ライブ中継開始から、まだ15分しか経っていない。部屋を飛び出し、マンションの一階にあるコンビニへ走り、ビールとつまみを買ってきた。冷房は切って団扇をスタンバイ。電気を消すと、「ドーン」という音と共に、パソコン画面に花火が咲いた。
Youtubeのライブ配信で花火大会を見るなんて初めての経験だ。ノートパソコンの小さな画面だが、それなりに楽しめる。最近のP Cは画面が高精細だ。中継用のカメラの動きも絶妙で、全体像はもちろん、少し観客が映り込んでいたり、上空からの映像があったりと飽きずに楽しませてくれる。ヘリコプターから撮影しているのだろうか、花火の遥か上から街と共に映っている映像は圧巻だった。
 
また新しい発見もあった。野外で見ている時は気が付かなかったが、花火には協賛がついていて、協賛ごとにコンセプトが違うのだ。「●●社提供の花火、明日への希望です」とか会社ごとに色んなメッセージを込めているのを理解しながらじっくりと見ることができる。
花火の上がる順番はきちんと演出されているんだなということを初めて理解した。シンプルな花火、平和を祈る花火、映画のトップ・ガンをモチーフにした花火など、とても面白かった。自分が快適な場所にいるからこそ、現地で花火を上げている人の大変さに思いを馳せることができたし、ビルの隙間から欠けた花火を見るのに必死になっていたことを思い出して笑ったりすることができた。
 
Youtubeの特性としてチャット欄で全国の人たちとコメントで交流することができた。花火が上がるごとに、思い思いの呟きがどんどん流れてくる。大きな花火があがれば、コメント欄はハートで埋め尽くされる、クライマックスでは拍手の嵐だった。人々のリアクションが一目瞭然なのだ。部屋で一人で見ていても全然寂しくない。むしろ隣にいる人との会話も成立しないくらい混み合った花火大会よりよっぽど人と交流できる気がした。
 
忘れてはいけないのが、ビールとつまみだ。冷えたビールが冷蔵庫からすぐ取り出せる。これが何より最高だ。ほろ酔いになりながら、花火に感動する。そしてツマミも食べられる。こんなに快適なことが他にあるだろうかと思ってしまった。
 
ひとしきり楽しんだため私の心は晴れていた。花火は儚く散るものだから、きっと好きな人と見ない方がいい。そんな気さえしてきた。あの時の「夏休みがあればな」といった彼から「今度いつ会えますか?」ってメッセージが来た。
 
 
 
 
***
 
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2022-08-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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