価値観が表れる瞬間
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記事:mooike(ライティング・ゼミ8月コース)
「カレーが食べたいときもあれば、ハンバーグを食べたいときもある」
この言葉で、私の人生は変わった。
今から20年のほど前のことだ。
当時、私は、結婚を控え、結婚式場も半年後に予約をしていた。
婚約者とも、一緒に生活をしはじめ、両家の挨拶も済ませていた。
実は、結婚を決めたものの、日が経つに連れ、なんとなく、気が乗らないでいた。式場も予約し、親戚にもお祝いをいただき、今更引き返せないという状況だったので、よくあるマリッジブルーだと思い、やり過ごしていた。
そんなとき、彼の浮気が発覚した。
私の中で気が乗らない度が大きくなりつつあった。
彼の両親と食事をする機会があり、何かの流れで浮気問題の話になった。
すると、彼の父親が放った言葉が冒頭の言葉だ。
「カレーが食べたいときもあれば、ハンバーグを食べたいときもある」
私にそんなに深刻に考えなくてもよいよと言いたかったのかもしれない。
でも、直感的に、あれ? なんか違うぞと言う違和感が残った。
それから、この違和感を友達に話したり、親に話したりしながら、自分なりにどうしたいのかを言語化し、考えた。
その後、私は思い切って行動した。
両親や、親戚へ結婚をやめることを報告、結婚式場のキャンセルなど言いづらいし、面倒なことがたくさんあったが、突き進んだ。今から振り返っても、あの時に直感的に感じた違和感に向き合い行動してよかったと思う。
この出来事で得た、私の教訓は、直感的に感じた違和感を大事にすることだ。
結婚が決まっていて、結婚式場のキャンセルのお金もかかって、パワーを必要としたが、言いにくいから、恥ずかしいからと我慢していたら、きっと後悔をしていたことだろう。
あの時、ちゃんと話し合いをして、うまくいくための努力をするということもできたかもしれない。
しかし、あのフレーズで、直感的に合わないなと思ったが、そういう直感的な感覚から自分の大事にしたいことが見えてきた。
「直感的な感覚」の正体は、価値観なのではないかと思う。
咄嗟にでる言葉や行動や考え方は、その人の価値観の表れだ。
相手の行動や言葉を目にし、耳にして、「あれ? 何か自分と違うぞ」とか「こっちの方が自分にあっている!」こういう感覚から、自分の価値観が見えてくる。
大事なのはその後、その感覚の正体は何かを言語化することだ。
なぜそう思ったのか? 何に違和感を覚えたのか? 自問自答しながら、書き出してみる。
時には、友達に話を聞いてもらって、自分の考えていることを話すことで見えてくること、相手に言われて初めて気づくことがある。
以来、直感的にどちらかを選んでみて、言語化することを意識している。
例えば。転職を決める時なども、メリット・デメリットを考えつつ、決めきれない時は、直感的にどちらがやりたいか? 好きか? を思い、その正体を言語化するようにしている。そうか、私が大事にしたいのは、◯◯なんだなということがわかったりして、自分の価値観がだんだん言語化されていき、その後もその価値観が、様々な人生の帰路の判断の際に役に立っている。
そうやって価値観に添って決めていくと、後悔がない。
後であっちを選んでおけばよかったのかなとか、こっちを選んだのは間違いだったのかもしれないとか、思うことが殆どない。
「カレーが食べたいときもあれば、ハンバーグを食べたいときもある」
何気ない、ポロッと出た軽いフレーズだったのかもしれないが、私にとっては、この言葉への直感的な違和感が、自分が何を大事にしたいかを考えるきっかけを与えてくれた。
直感的に感じる感覚を見逃さないで、立ち止まって言語化してみると自分の知らなかった色んなことが見えてくる。過去の自分が選んできた行動が、あーなるほどなぁと腹落ちすることもある。
例えば、最近こんな出来事があった。
とある会議で、改善案を提案したところ、やれない理由をつらつらと述べられたことがあり、イラッとしたことがあった。
イラッとした原因はなんだろうと、後から考えてみた。
おそらく、その発言は、やりたくないから言っているのではなく、慎重な性格からか、リスクを潰しておかないと大変なこともあるという観点からの発言なのかもしれない。
でも、やれない理由を考えるのは簡単だ。できるにはどうしたらいいかを考えることが大事だし、よくしようと考え発言していることを、いの一番に否定するのは今後意見が出にくくなることに繋がるから、すべきではない。
色んな意見を出し合い、よくなるためにはどうしたらいいか、できない理由ではなく、できる方法を考えることに時間を費やしたい。そんな想いが強いことがわかった。
リスクを考えるのはもちろん重要だが、うまくいく方法を考えてからでも遅くない。
感情が動いた時が、価値観が表れる瞬間だ。
自覚できていなかった、自分の価値観に出会えるチャンスなのだ。
***
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