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何のために、誰のために、オタクであるのか


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記事:カワマツ アヤリ(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
私は多趣味なオタクだ。
好きなものが多すぎて、幸せだけど、その分大変だ。大変で、時々苦しくなる。
でも、オタクはやめられない。なぜだろうか。
 
 
最初は小学校五年生のとき、とある男性アイドルグループを好きになった。
はじめの頃は”かっこいい”とか”曲やダンスが良い”みたいな単純な理由だった気がする。でも、雑誌を買って色んな記事を読んだり、CDを買って曲を聴き込んだりして、どんどん好きな気持ちが大きくなった。暇さえあれば彼らのことを考えていたし、そんな時間がとても幸せだった。
 
中学生、ネットでブログを始めるとはじめての”ファン友達”ができた。
高校生になると、交友関係が広がるのと比例して新たなコンテンツにもハマったりして、”好き”の対象はどんどん増えた。
 
男性アイドル、漫画、アニメ、2.5次元、舞台俳優、バンドマンetc……
どれが一番とか、優劣はない。
その時によって「今一番アツい」ものが違うだけで、みんな等しく大好きだ。
 
男性アイドルたちに直接会える日を夢見て、夜な夜なライブDVDを一人で見ては悶絶していた。
漫画やアニメにハマって、友人たちと絵を描いたり小説を書いた時期もあった。
舞台俳優にハマってからは、舞台やミュージカルの素晴らしさ、友人と一緒に観劇する楽しさに目覚めた。
どうしようもなく人生に絶望した時は、好きなバンドの曲がいつも私を救ってくれた。
――どれも私の人生を語る上で、欠かせない存在だ。
 
そして大学生。地元を抜け出し、念願だった都内の大学に進学した。
アルバイトで稼いだお金と有り余った時間を、ここぞとばかりに趣味に投じたのだ。
友人と一緒に同じ舞台に何度も通ったり、ライブ後に私の部屋でお酒を飲みながら感想を語り合ったりもした。
今振り返っても、最高に充実した4年間だったと思う。
 
しかし、社会人になると、大きく状況が変わった。
Uターン就職をしたため、地元に戻ることとなった。
地元と東京は新幹線で2時間以上かかる距離だ。ライブや舞台は9割9分東京での開催だから、必然的に今までのような頻度で趣味を楽しむことはできない。
 
忙しさから情報を負い続けることも難しくなった。
アニメやドラマも、消化されない録画がどんどん溜まってゆく。
友人たちも同じ状況のようで、誘っても断られることが増えた。
「好きな気持はあるけれど追い切れなくて」「今回のイベントはいいかな、パスで」
 
オタクだったから出会えた仲間がいた。オタクだったから、趣味を仲間と一緒に楽しむ幸せを知ることができた。
しかしこの時、改めて”一人になる寂しさ”も知ってしまったのだ。
この頃、”趣味は友人と会うため理由”のように捉えていたため、友人を遊びにも誘いづらく、非常に苦しい時を過ごした。後に、趣味関係なく友人を誘えるようになったのだが。
 
私というオタクにとってSNSは、毒にも薬にもなった。
SNSのおかげで、ファンの繋がりも広がったし、情報も収集しやすくなった。なにより、応援する俳優やアイドルとの距離も近くなったと感じる。
一方で、色んなファンの姿を見て自己嫌悪に陥ることもある。
「あの人はあんなに舞台に通っているのに、私は一回しか観劇できなかった……」
「この人はこまめに手紙を書いたりプレゼント送ったり、すごいな……」
色んな人たちを見ていると、「なんで自分はこれだけしか舞台に行けないのか」「なんでこんなに苦しみながらオタクをやっているのか」と思ってしまった。
 
 
長年オタクをやっていると、お金も貯まらないし、家族からの視線も痛い。俳優やアイドルに貢いだからといって、彼らから特別な見返りがあるわけではない。それは分かっているけれど。
ではなぜ、私はオタクを続けるのか。
 
 
なぜ? と聞かれたら、こう答える。
「私自身の幸せのために、オタクやってんだよ」
 
 
社会人になり結婚もした今、継続的に情報を追い続けている対象は数少ない。
最初に好きになったアイドルたちと、高校生のときに出会った舞台俳優たちぐらいである。
 
どちらも長年追い続けていると、お互いに歳をとる。
贔屓目はあるかもしれないが、彼らはみんな素敵な歳の重ね方をしていると思う。年々ブラッシュアップされていく、演技や歌・パフォーマンス。でも、私が好きになったその人の性格や基本の考え方は変わらない。そんな姿を、その人の人生を見続けられることが幸せで堪らないのだ。
 
もちろん、”理想の家庭を築く幸せ”や”希望のキャリアを積む幸せ”も欲している。幸せな人生のためには、必要な要素だと思っている。
しかし、人生の半分以上「オタク」として生きてしまった私は、オタクとしての幸せ無しでは生きられない身体になったらしい。
 
好きな俳優が、憧れの舞台に立つ瞬間。好きなアイドルが、特別な思い入れのある歌を歌う瞬間。好きな俳優・アイドルが、舞台の上で、心の底から幸せそうにしているその姿。
それらを見ることが、私の――「オタク」である私の幸せだ。
 
 
好きなアイドル・俳優のために応援を続けたり、貢いだりするのは、きっともう何かが違う。そうなったら、オタクの辞め時である。
これから先も「私が勝手に」「私自身のために」応援しているという事実を、忘れずにいたいと思う。
 
 
 
 
***
 
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2023-02-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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