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アラフィフ女性が初めての婚活アプリで失敗したことで感謝できた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ちえみちえ(ライティング実践教室)
 
 
真剣に結婚相手を探しているのであれば、婚活アプリにチャレンジしてみるのも良いかもしれない。
でも、相手の顔写真やプロフィールから始まる出会いは、時に、人を騙し、体目当てで女性を誘うこともあるから、要注意である。
 
一年程前に、某婚活アプリの会員になり、数か月活動したことがある。
たくさんあるアプリの中で、どれにしようか迷い、会員数が多く、安心できそうなものを一つ選んだ。
男性は有料会員で、女性は無料会員が多いようだ。
真剣に再婚相手を探してみようかな……。
年齢が50代前半で、夫と死別、子どもありの私だが、勇気を出して、婚活してみた。
 
スマホでアプリをインストールする……。
早速、会員登録を始めるが、アラフィフの私にはなかなか難しく、時間がかかる……。
顔写真、ニックネームも決めなければならない。
どれにしようか迷い、比較的綺麗に撮れている写真を選び、ニックネームはイニシャルにした。
自己紹介文は、男性の興味を惹くように、時間をかけて一生懸命考えて載せた。
 
「登録完了しました」
登録したメールアドレスに通知が来た。
 
居住地が近いことを第一条件に検索してみると、かなり多くの男性がヒットする。
検索していると、約2時間後、50代後半のバツイチの男性が私のプロフィールを見て「いいね」をしてくれた。
私もその相手に「いいね」をすれば、マッチングということになり、お互い連絡が取れるようになるシステムである。
 
「年収一千万円以上」「不動産会社社長」らしい。
顔写真を見ると、実年齢より若く見えて、なかなかのイケメンである。
「初めてのデートでは男性が全て払う」らしい。
居住地が比較的近く、会うことにはあまり億劫にならなかった。
私も「いいね」をし、彼とメールで何回かやり取りをし、数日後、お互い都合が良い日時・場所に会うことになった。
 
待ち合わせの日がやってきた。
初対面で夜会うのは怖く、午後2時にチェーンのコーヒーショップの前で待ち合わせにした。
でも、決めた時間に待っていても、顔写真らしき彼がいない……。
すると、ひとりの男性が私のほうに向かってきた。
「はじめまして。よろしくお願いします」
顔写真と実物が少し違う。アプリに載せてある写真はいつ撮った写真だろう?
イケメンとは言い難いが、優しそうな男性だった。
お茶するだけなのに、なぜかたくさんの荷物を持っていた。
 
話をしていくなかで、年収の話になった。
「手取りで毎月80万円以上になるよ。自分の仕事を認めてもらって、頑張った成果だよ」
大きな荷物の中からスマホを取り出し、いくつか写真を見せてくれた。
「最近、自分へのご褒美にキャンピングカーを買って、休みの日はいろんなところに行って気分転換しているよ。今度、一緒に行こうよ」
 
話は弾んだが、しっくりこない。
趣味もあまり合わず、頭の中は、もうこの場所から一刻も早く離れたい気持ちだ。
でも、お金持ちならば、将来、彼と結婚したら安泰だろうと少し期待もあった。
 
話の途中で、やはり、彼の荷物の量が気になり、聞いてみる。
「ところで、今日、たくさん荷物持っていますね。帰りにどこかへお出かけですか?」
 
すると、思いもしない答えが返ってきた。
「えっ? この後、ラブホ行くんじゃないの? 着替えもしたいしさ。荷物いっぱいになっちゃったよ」
テレビドラマのように相手の顔にコップの水をかけたくなる気持ちを抑えた。
「私、そういうつもりであなたに会うためにここに来たわけじゃないから。さようなら」
そう言って、涙を流しながら、ひとりで店を出た。
 
「退会して、アプリをアンインストールしよう」
スマホの画面からそのアプリがなくなった時、スーッと頭の中のモヤモヤが晴れ、安堵でいっぱいになった。
 
私は真剣に交際を望み、結婚も視野に入れていた。
会うまでの間は嬉しくてたまらなかったのに、婚活アプリで初めて会った男性に裏切られ、しばらく男性不信になってしまった。
街を歩けば、彼に似たような男性を見ると、早足で逃げてしまい、怯えてしまう……。
 
今、振り返れば、年収一千万円以上なんて、本当かわからない。
そのアプリでは、独身証明書の提出を求められていない。
もしかしたら、既婚者だったのかもしれない。
キャンピングカーを持っているなんて、写真からは本人のものかわからない。
本名や住所も教えてもらえず、名刺もくれなかった。
顔写真も実物と違っていたじゃないか?!
相手の年収などの条件だけに惹かれて、再婚という淡い期待を持った自分を恥じた。
 
それから数か月後、婚活アプリではない自然な出会いで、同年代の男性とお付き合いが出来た。
婚活アプリを経験し、男性に裏切られたからこそ、自然な形で出会えたことに人一倍の感謝ができたのだ。
年収は決して高くないけれど、誠実な男性だ。
時折、婚活アプリで出会った男性との苦い経験を思い出す。
だからこそ、言葉では言い表せないほどの感謝の気持ちと安心感が今も続いている。
 
婚活アプリでの出会いで、結婚して、うまくいっている人もいるので、すべての出会いを否定しているわけではない。
でも、私の場合は、たまたま出会った男性がとんでもなくひどい男性だった。
 
人間は失敗する生き物だけど、失敗したことで得るものもきっとある。
 
 
 
 
***
 
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2023-04-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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