美容院へ行ってきた妻に何も言わない夫を攻略した方法(うれしい髪ヒョイ付き)
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記事:ネナムラ(ライティング・ゼミ4月コース)
「髪を切っても夫が何も言わない」
これをGoogle検索してみたら、なんと398万件もヒットした。
世の中には、こんなにたくさん、お仲間がいるのか……!
うちの夫も、私が美容院へ行ってきても、まず何も言わない。
結婚して20年、今度こそ気づいて何か言ってくれと思ってきたけれど、その願いがかなったことは数えるほどしかない。
どうして何も言わないの?
業を煮やした私は、その理由を知るべく、夫から事情聴取したことがある。
たどりついた結論はこの2つだ。
・髪の変化に敏感じゃない。
いきなりショートヘアになったとか、ぐりぐりのパーマになったとか、そういう大きな変化なら分かる。でも、髪を数センチ切ったとか、ふんわりパーマをかけたくらいじゃ、なかなか気づかないらしい。
・美容院へ行くのは、身だしなみの一環と思っている。
美容院へ行くのは、伸びてムサ苦しくなった髪を整えに行くため、という認識らしい。だから、たとえ私の髪型が変わったことに気づいたとしても、わざわざ言わない。私が夫に「ヒゲ、そったね」といちいち言わないのと同じことのようだ。
手ごわすぎる……。
夫に悪気がないのはよく分かったけれど、どうやら望みはなさそう。
なので最近では、「髪切ったから、ほめて」と催促することにしていた。
そんな夫なのだけど、思いがけない奇跡が起きてしまった。
つい先日、美容師さんにすすめられた「インナーカラー」をしてみた。
表面の髪は普通の色のまま、内側の髪だけ違う色に染めるというカラーリングだ。ふだん、内側の髪色はチラ見えするだけなので、思い切った色に染めても派手になりすぎない。
最近、若い人はもちろん、私のようなアラフィフの間でも流行しているんだそうな。
私の場合は、耳まわりの内側の髪だけをピンク色にしてもらった。
ふだんは耳の下に少しだけピンク髪がのぞいていて、髪をかき上げるとピンク髪が露出する。
なかなか楽しい髪型である。大満足だった。
そして上機嫌で帰宅し、夫と対面したときのことだ。
なんと夫が自ら、こう言った。
「へぇ、いいんじゃない」
しかも、私の耳にかかった髪を、ヒョイッとつまんで持ち上げながら!
「うん。美容師さんが色見本から選ばせてくれてね……」
なんて平静を装って話を続けた私の頭の中では、ヒューッ! ドンドンドン! パンパカパーン! と、あらゆる歓喜の音が鳴り響いていた。
夫が自ら、私の髪の変化について何か言うだけで快挙なのに。
さらに髪をヒョイッ、だって!!!
鮮やかな色のインナーカラー、というのが意図せず功を奏したんだろう。
耳の下からチョロリとピンク色の髪がのぞいていたから、さすがの夫も一目で変化に気づき、中はどうなっているのかと髪をつまみ上げたわけだ。
だが、じつはもう一つ、それよりも大きかったと思われる理由がある。
今回のインナーカラーは、夫がスポンサーだったのだ。
鮮やかな色のインナーカラーは、けっこう費用がかかる。
何か月も前から美容師さんとインナーカラーの話をしていたのだけど、料金を聞いたときは目が飛び出た。
「まずはカラーを入れる部分をブリーチ剤で脱色する必要があって、場合によっては脱色を2回します。カット+脱色2回+カラーリングだと、合計1万7千円くらい」
「え!?」
「それに、鮮やかな色は落ちやすいから、色を維持するために自宅でカラーシャンプーなどを使ったほうがいいです。その代金が3千円くらい」
「えーーー!!!」
合計2万円……。
ふだん、3か月に1回のお楽しみとして美容院へ行き、4千円ほどで髪を切っている私にとっては、完全に予算オーバーだ。
あきらめかけたときに思いついた。
そうだ、今度の誕生日、夫からのプレゼントはインナーカラー代にしてもらおう!
私と夫の間には、お互いの誕生日に1~2万円のプレゼントを贈るという暗黙のルールがある。ぎりぎり、イケル!
夫にインナーカラー代をリクエストしてみたところ、
「2万円もかかるの?」
と驚かれてしまったが、誕生日が近づいたら、ポンと2万円くれた。
私は誕生日に、その2万円を握りしめて美容院へ行ったのだ。
夫は自分がお金を出しているので、いつもよりは関心を持っていたはずだ。
それに、今回は単なる身だしなみじゃなく、大金をかけてオシャレするために美容院へ行ったのだと認識していたんだろう。
そんなわけで今回の快挙は、「誕生日プレゼントとして費用を出してもらい、鮮やかな色のインナーカラーをする」という偶然の名案によるものだ。
私と同じく、美容院に行ってきてもパートナーが何も言ってくれない皆さんに、超オススメである。
お試しあれ。
そして、我が夫よ。
妻は大変うれしかったので、来年も出資と髪ヒョイをお願いします!
***
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