やる気スイッチは、本当にあった
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:Chikako(ライティング・ゼミ6月コース)
「誰か私のやる気スイッチ、押して!」
これまでの人生で、何度そう叫んだことか分からない。例えば夏休みの終わる1週間前、自由研究も読書感想文も手つかずのまま残っている。例えばプレゼンの3日前、まだ資料の分析すらしていない。例えば姑が訪ねてくる1日前、家中丸ごと散らかっている。こんな惨状を見られたら、なんと言われるか。例えば就寝前のくつろぎタイム、シンクは汚れた食器であふれている。見て見ぬ振りをしてはいるものの、気になって仕方がない。例えばライティングゼミの課題提出前、テーマこそ決めたものの、まだ1文字も打っていない。締め切りは刻一刻と迫ってくる。
誰にでもあるであろう、こんなシチュエーションやあんなシチュエーション。やらなければいけないことは百も承知だが、如何せんやる気が出ない。やる気は、爆睡中か家出中のようだ。
やる気さえ出れば。モチベーションさえ上がれば。自分の背中に赤いボタンが付いていて、ポチッと押せば、たちどころにやる気がムクムク湧き上がる……、そんなスイッチがあればいいのにと思っていた。
ところがあるのだ、そんなスイッチが。しかもシンプルで、簡単で、誰にでも使えるスイッチが。
私たちのやる気スイッチは、脳の中にある。側坐核という言葉を聞いたことはあるだろうか。側坐核は、前頭葉の下部にある小さな器官で、左右にふたつある。この側坐核が刺激を受けると、脳内物質が分泌されて、やる気が出るとされている。
この脳内物質はドーパミンだ。ドーパミンはやる気の分子と呼ばれ、楽しさや幸福感を感じさせ、やる気や集中力を高めてくれるが、欠乏すると無気力・無感動になり、とたんにモチベーションが下がってしまう。うつの状態にも似ているとのこと。それならば、ドーパミンをじゃんじゃん出さないといけない。
では、側坐核に刺激を与えてドーパミンを出させるには、どうしたらいいのか? 答えは簡単、まず行動することだ。つまり行動が刺激となり、作業興奮を引き起こし、側坐核が活発に動き始める呼び水となる。
誰しも身に覚えがあるのではないだろうか。嫌々始めたことなのに、やっているうちにそれほど嫌ではなくなり、それどころかエンジンがかかって、のってきちゃったこと。草むしりをしたくないけれど、伸び放題の雑草があまりにも見苦しく、仕方がないから10分だけやるかと始めてみたら、いつの間にか1時間経ってしまったこと。今日はブログを書きたくないなぁと思っていたのに、冒頭の挨拶部分だけでも書こうとパソコンの前に座ったら、なんだか知らないけれど次々言葉が降ってきて、スイスイ書けちゃったこと。早く整理をしなければと思っていた書類の山が、今にも雪崩を起こしそうになり、全部は無理だが、このファイルひとつ分だけと手をつけたら、どんどん加速してゴールが見えちゃったこと。水垢がこびりついた洗面台、あまりにも汚くて耐えられなくなったので、5分だけでいいから磨いてみようと着手したら、夢中になって排水口まで磨いちゃったこと。
つまり草むしりの最初の10分、ブログの挨拶部分、ファイルひとつ分の書類、5分だけの洗面台磨きに着手し行動することで、側坐核が刺激を受け、ドーパミンを量産し、最初はなかったやる気が出てきて、しかもどんどん充填されて、マックスになったのだ。
私は以前、片づけの仕事をしていたが、片づけたい気持ちはあるのに、できないと嘆く人たちの相談にのってきた。
片づけたほうがいいことは百も承知だけれど、いざ始めようとすると、何を捨てたらいいか分からなくて、要・不要の判断もできなくて、嫌になってしまう。今日は朝から、かったるくて、何もする気にならない。他にするべきことがいっぱいあって、やらなきゃと思えば思うほど、気持ちばかり焦って動けない。
そんなお悩みには、側坐核の力を借りようと提案してきた。一番難しいのは最初の一歩。でも最初の一歩を踏み出して行動することで、脳が貴方を助けてくれるからと。1個だけ、ちょっとだけ、5分だけ、ゴミ箱1杯分だけ、引き出し1個だけ……。できるだけハードルを下げて、とにかく最初の行動を起こすこと。そうすれば、だんだんエンジンが温まって、やる気の神様が降臨することも、十分にあり得る。そう、重い腰を上げて、最初の行動を起こすことが大切なのだ。
さて私も側坐核の力を借りて、ライティングゼミの課題を仕上げよう。まずは最初の一文から。締め切りまで……、あと1時間しかない!
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