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健康を確認する健康診断で病院送りになりかけた話


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記事:飯髙裕子(ライティング実践教室)
 
 
白くドロッとした液体がのどから流れていく感覚。それだけでも気分が良くないのに追い打ちをかけるように先に飲み込んだ発泡剤が下から喉に向かって空気を押し上げてくる。
思わずゲップをしそうになってゴクリと液体ごと空気を飲み込む。
「あーやだ、早く終わって」心の中でつぶやく。
 
健康診断というと、会社や自治体からの通知で、基本的な体の検査を行うというのが一般的だろうか。
多くの人が年に一回という単位で受けているかもしれない。
 
私も年に一回受けているが、二年に一回くらいバリウムの検査が組み込まれている。
食道から胃の中、十二指腸までの異常を発見するための検査である。
これが私はどうも好きになれない。かなりの量の液体をぐびぐびと飲まなければいけないうえに、ドロッとしておいしくない。
病院でおいしいものを期待する方がどうかしているとは思うが、それでも毎回憂鬱だ。
 
胃を膨らませるために発泡剤を一緒に飲むので、ゲップをしないで下さいと言われる。
出るものを我慢しろと言われてもなかなか辛いものがある。
まあ、そこは何とかクリアしたとして、次に待っているのは体力テストだ。
 
硬い板の上に寝転がって、手すりをつかみ必死で体を動かさなければならない。
まるでタイタニックの沈没で、デッキから振り落とされないように必死でつかまる乗客の気分だ。そこでも先のゲップを我慢するというのがセットだ。
苦行かと思える一連の流れにしかたなく身を任せ、技師の容赦ない指示に体を動かす。
 
死にそうな思いで検査を終えると、下剤を渡され、「たくさんお水を飲んでくださいねー」とにこやかに言われる。
 
そう、ここからが実は本当の苦行なのだ。
 
大量の水を飲むというのがとても苦手なうえに、日常それほど快便ではないという私にとって、翌日までに胃の中に入ったバリウムを長い腸を通って排出するというのが大変なのだ。
思わず体に緊張が走ってしまう。
その原因は、以前に怖い思いをしたことがトラウマになっていることは自分でもわかっている。
 
数年前にやはり会社でバリウムの検査を受けたことがある。
いつもと同じように検査の後、下剤を渡された。
いつも多めにもらって、終わってすぐ飲み、家に帰っても飲むというパターンは同じだった。
その時水を飲む量が少なかったのか、翌朝にはどうも出る気配がなかった。まあ、翌日に出ればいいかと、思っていたのだが、どうもすっきりせず、二日目に突入した。
少し心配になって、翌日会社のおじさんたちに遠回しに聞いてみると、私の不安をあおるような回答が返ってきた。
「あんまり出ないとまずいよ。検診のとこで聞いてみたら?」などというではないか。
 
だんだん不安になった私は、水分を取りつつも、気が気ではなくなった。
胃から腸に移動するうちに水分を吸収し、便が固くなるという。ますます出にくくなってしまう危険があった。
普通バリウムを飲んだ後は、何となく白っぽい便が出て、普通の色に戻ればいいと言われているが、そもそも、白っぽい便がほとんど出ていない。
会社の帰りに私は居てもたってもいられなくなり、ドラッグストアに駆け込んだ。
自分では使ったことのないイチジク○○を購入した。
 
冷や汗が出るのを感じながら説明書を読み、実行する。
不安の冷や汗ではなく、次にやってきたのは、便意の冷や汗であった。
 
かなり我慢して、排出されたのは、真っ白なバリウム、いや便だった。
 
この一件以来健康診断でバリウムを飲むのが怖くなってしまった。
わけのわからない理由を書いて、受けなかったこともある。
 
しかし、健康かどうかを判断するための検査を受けないというのも、なんだか後味が悪い。
 
仕方なくそのあと、何回かバリウム検査を受けて、わかったことがある。
最近は、バリウムの中にも緩やかに効く下剤が入っているらしいが、私のように快便でない人は、迷わず、終わったらすぐ飲む。それもなるべくたくさんの水で。
そして、暇さえあれば、水を飲む。家に帰るまでに出る兆候が見られなければ、また下剤を飲む。検診でくれる下剤は、緩やかに効くものなので、ひどい下痢になったりしないのだ。
 
そして、もう一つは、体を動かす。
日常生活で、それも仕事だと、運動はなかなか大変なので、なるべく歩く。
いつも降りる一駅手前で歩くとか、遠回りして帰るとか……。
 
もう、腸が少しでも動くことなら何でもやる感じだ。
これをかなり意識的に実行したおかげで、今年の検診では、晴れて翌朝に、きちんと、前日の白いバリウムが排出されたのである。
 
もし、飲んだ後に出なかったら……。と不安を抱いているあなた。
一度お試しください。
けれど、2日目に出なかったら、病院に相談するか、すぐ排出できる方法を試みたほうがいいと、思います。腸の中で固まったら大変な事態ですからね。
 
 
 
 
***
 
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2023-10-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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