メディアグランプリ

自分には「想像力」がないと嘆くあなたへ。想像力は、作れます


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:K子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
『カワイイは、作れる!』
いまから18年前のことです。
テレビから流れるこのキャッチフレーズを聞いて、お茶の間の女子高生達に激震が走りました。
 
花王株式会社の『エッセンシャル』というブランドがリニューアルし、ヘアケア製品のCMで新たに使われたフレーズでした。
女子高生達に激震が走った理由はもちろん、「カワイイ」は天賦の才能であり、後から努力で身につけられるものではないという常識があったからでしょう。
 
そして今日、この記事をお読みの皆様に、18年前と同じ激震が走るかもしれません。
自分には「想像力」が無い。そして、想像力は才能であり、努力して身につくものではないと思っている皆様にお伝えしたいことがあります。
『想像力は、作れる!』のです。
 
 
私は経営コンサルタントとして、経営者のご相談を日々伺っています。
ご相談内容は千差万別なのですが、最近は大企業の経営者からの「社内で新規事業やイノベーションが中々起こらない」というお声をお聞きすることが増えました。
 
私が忘れられないお客様の事例を、ひとつ紹介いたします。
日本で最大級の製鉄所を持つ、製鉄会社様とのプロジェクトでした。
私がかねてより交流のあった部長が、ある日嘆いていらっしゃったのです。
「我が社には、想像力のある若手が来ない」と。
 
鉄鋼業界は、戦後日本の経済成長を支えた素晴らしい業界です。
車やインフラなど、産業を動かすあらゆるものは鉄が無くては作れません。
一方で、最終製品ではなくその素材を提供するという立ち位置から、華やかさよりも「縁の下の力持ち」的な印象が強い業界でもあります。
そんなイメージが影響してか、お客様の会社に入社してくるのは優秀で真面目な若手が多いものの、今までの枠組みを取っ払って斬新なアイデアを考えられるような想像力にあふれた若手がいないということでした。
 
鉄鋼業界には今、変革が求められています。
少子化により日本国内の内需に期待できず、海外展開や新たなビジネスに挑戦しなければいけない時代です。
想像力のある若手が獲得できないことは喫緊の課題でした。
 
 
 
私は、製鉄所に勤務される数名の若手社員と何度かミーティングをし、問いかけました。
 
「いまの製鉄所で、何か変えてみたいことはありますか」
 
すると、返ってきた答えは概ねこのようなものでした。
 
「業務中の怪我を無くすために、機械を動かす前には指差し確認を徹底したいです」
「次のシフトの人へ機械の故障の連絡を忘れることがあるので、報連相を徹底したいです」
 
確かに、現状の不満に対して突拍子もないアイデアを出してくる方はいませんでした。
 
 
そこで私は、若手社員の皆様のお仕事がお休みの日に、ある場所へご招待したのです。
それは、当社の持つスタジオでした。
スタジオに展示されている、世界中から集めた最先端の技術を手に取り、目で見て、身体で感じていただいたのです。
 
目にかけるとRPGの世界に飛び込んだように感じられる、VRグラス。
まるで生きている人間のように会話できる、ロボット。
身につけて生活するだけで毎日の体調の良し悪しを教えてくれる、腕輪。
 
そのどれもが、製鉄所での仕事とは一見何も関係のないものでした。
普段は、休みの日も仕事で必要な資格取得の勉強をしているような真面目で優秀な若手社員の皆様の関心をひけるか少し心配でした。
しかし、私の心配に反して興味津々で楽しんでいただくことができた1日でした。
 
 
変化が起こったのは、次のミーティングからでした。
製鉄所の改善案について議論する若手社員の皆様から、今までになかった意見が飛び交ったのです。
 
「仮想空間で高所から落ちるシミュレーションができると、実際の作業のときに同じことをしないための予防になるかも」
「故障した機械が、自分で故障箇所を話してくれるって便利だよね」
 
それはまさしく、今までの枠組みを取っ払った、想像力に溢れたアイデアでした。
 
 
ここまでお伝えして、お気づきの方もいらっしゃるでしょう。
想像力は、どれだけ目を凝らして「今」という地点だけを見ても身につくものではありません。
 
冒頭でお伝えしたCM『カワイイは、作れる!』の話に戻ると、持って産まれた素顔を鏡で見つめているだけでは、カワイイは作れません。
憧れの俳優の顔や表情を知り、自分の素顔とのギャップを埋めたいと気づき、シャンプーや化粧品の力を借りて努力するときカワイイは産まれるのです。
 
想像力も、実は同じです。
想像力が産まれるのは、「今」から「たどり着きたい未来」までのギャップに気付いたときなのです。
 
自分に想像力という才能が無いと思う方は、まずは最先端のものや、世界で一流と言われているものに触れてみて下さい。
自分のビジネスに関係のあるものでなくても良いです。
とにかく「すごい」「かっこいい」と思うものに触れましょう。
それらに触れた瞬間、ご自身がおかれている「今」との間に大きなギャップを感じるはずです。
そしてあなたは、そのギャップを埋めるために一体どんなことができるかを考え始めるはずです。
 
もちろん「今」と「たどり着きたい未来」のギャップが大きいと、途中でくじけてしまうこともあるかもしれません。
そんなときは、この言葉を思い出してください。
 
『痛みをこらえて打席に立った数が、想像力を強くする』
 
若手社員の皆様はその後、描いた未来にたどり着くために無数の失敗を繰り返していました。
しかし、挫けず何度も打席に立ち続けました。
そして挑戦と失敗を繰り返すことを通じて、「そうか、そういうことなのか」と、たどり着きたい未来への階段が一段ずつリアルになっていくのを感じたそうです。
 
 
未来への憧れを生む素敵な出会いと、その挑戦の途中での失敗を沢山経験してください。
そのとききっと、あなたは『想像力は、作れる!』ことを実感するでしょう。
 
 
 
 
***
 
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2024-04-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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