メディアグランプリ

クソ女に旦那を寝取られたら案の定地獄のような日々が待っていた話


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記事:石原真由美(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「私、本気で死んでほしい人がいるんです」
 
そいつは元旦那の浮気相手。『元』がついているのは、この女のせいで私たちの家庭が崩壊したから。いや、当時から私たち夫婦の関係は壊れていた。
 
「もう夫とは分かり合うことも愛し合うことも出来ないだろう。お金を入れてくれるだけありがたいと思おう」
そんな風に夫婦関係の執着を断ち切った翌週。
 
夫が申し訳なさそうに
「今まで悪かった。これからは家族を大切にする」
と謝ってきた。一体、何が起きたのかよくわからなかったけど、またやり直せることが嬉しかった。
 
だが、これはクソ女の策略だった。喜んだのもつかの間、翌日夫は帰ってこなかった。
 
「好きな人がいる。妊娠している。離婚してほしい」
 
クソ女は自ら別れ話を切り出し、浮気なんてよくない、家庭を大事にしなさいと叱咤激励したかと思いきや、妊娠しているからやっぱりあなたがいないとダメなのと。
なんて計算高い悪女なんだろうか! 
 
それから、夫は女の所に泊まるようになり、私は突然のことでショックのあまり食事も喉を通らず、毎日泣いて暮らしていた。
 
夫は私の嫌なところ・妻として母親としてダメなところをあげつらい、終いには付き合う前から嫌いだったとほざいた。夫は豹変してしまった。クソ女は私を徹底的に悪者にして、こんな母親から子供たちを守り、自分たちで子供たちを育てるつもりのようだった。
 
とうとうクソ女と対峙する日が来た。
 
女は約束の時間になっても現れず、夫は電話で来るよう説得していた。話し合いはカラオケボックスの一室。女は美人だった。わざわざ人のもん取らなくても、恋人の一人や二人すぐ出来そうな整った顔の気の強い女。
 
女はまるで悲劇のヒロインかのように生い立ちを語りだした。
 
小さな頃、父親が浮気して両親は離婚。寂しそうな母親の顔を見ながら育ち、大人になった今でも父親に捨てられたことに傷ついている。だから、自分は絶対に子供たちを幸せにする家庭をつくるから、女と夫と私の三人で協力して子供たちを育てようって……
 
このクソ女! 両親が離婚したら子供たちが大人になっても苦しむことを知りながら不倫してるってことだよね。もしかして、父親に捨てられるという失われた愛を勝ち取るために、他人のものを奪って自分が一番にならないと満足出来ない……
 
悪女っていうかもはや悪魔!!
 
話し終わった女はひどく満足げだった。女は妻より自分が選ばれることを確信していたからだろう。
 
「こんなクズ男あげるわっ! クズ男とクソ女でお似合いじゃない!」
と私は罵った←心の中で。実際は言えなかったんだけど。二人の女に挟まれ、苦悩に顔を歪ませながらも女を気遣う夫の姿に、自分が惨めで苦しくて悲しかった。
 
程なくして夫とは別居した。あんなに子供たちのことを大切にすると息まいていたのに、子供たちの養育費もなし子育てもせず、女の本性が出た。
 
そんな私に追い打ちをかけるように、両親も兄弟も誰も助けてくれなかった。
父は私を助けるためといいながら、会うたびに私の悪いところを指摘し続けた。父のいうことを黙って聞かないと怒鳴られ、母や兄弟も私の味方をすると怒鳴られるようになった。
私も家族も父の用意したマンションに住んでいて、経済的にも父に依存していた。だから、誰も父には逆らえなかったのだ。
 
私は夫や家族のことが恥ずかしくて、誰にも相談できず、不安ばかりで押し潰されそうな暗黒の3年間を過ごした。3年半してやっと父が「何をしてほしいのかわからない」と私の気持ちに目を向けてくれるようになった。
 
どうしようもない問題は時が解決してくれる。
 
家族だから一緒にいること。困っている人が目の前にいたら助けること。何もかもが当たり前ではないことを思い知った。
 
私は自分が悪いんだと徹底的に自己卑下して、現状を受け入れてしまっていた。
もっと早く、もっと強く「やめて」「たすけて」と言えればよかった。
 
別居して7年。夫とは音信不通になっていたが連絡を取り離婚した。
離婚したらスッキリするものかと思っていたが紙切れ一枚のこと……気持ち的には何も変わらなかった。だが、毎月養育費が振り込まれるようになった。
ちなみに女には捨てられたそうだ。実際、数年ぶりに見る彼の姿は幸せそうには見えなかった。ざまあみろ!
 
でもね。
本当はね。
 
誰よりも幸せであってほしかった。
 
「お前たちを捨ててよかった! お前も幸せになれよ!」
と超上から目線で言い放っちゃうくらいに幸せになっていてほしかった。
 
そうじゃないと、あの苦しい日々はなんだったのよ。捨てられ損じゃない……
 
まだ傷付いているとか恋愛怖いとか言ってる場合じゃなかった。辛かった経験はこのためにあったんだって思えるような恋愛をして幸せになってやる!
 
私、このままじゃ終われないよ!
 
 
 
 
***
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2024-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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