ライティングは最強スキル〜「カメラを止めるな」を観て思ったこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:渡辺ことり(ライティング・ゼミ平日コース)
私が映画「カメラを止めるな」を知ったのはtwitterからです。
別名義で作家活動をしているため、フォローの中心はゲーム会社の社長やクリエイター、出版関係者など。
そのタイムラインが一時期騒然としていたのです。
「やられた! そうきたか!」
「なんでこれを思いつかなかったんだ!」
「最高」
などなど、絶賛の嵐。
そして皆さんが口を揃えてこういうのです。
「ネタバレ厳禁。絶対に予告編も見ちゃダメ!」。
大きな謎が、目の前にぽんと差し出されたような気がしました。
「一体どんなコンテンツなんだろう」
作家としての好奇心がビシビシ刺激されました。
「私もそんなキラーコンテンツを作りたいな」
そう思い始めるのは、当然のことでした
映画館に行く前にいろんな想像をしていました
ネタバレ厳禁ということは多分アイデアありきなんだろう。
つまり秀逸なアイデアさえ思いつけば、お金がなくてもスキルがなくても、世間をあっと言わせることができるんだ。
これは観たい!
やがてわが町にも「カメラを止めるな」がやってきました。
その頃には累計興行収入は10億を超え、「カメ止め」はちょっとした社会現象になっていました。
いつもはガラガラな地方の小さな劇場に、チケットを求める人たちの長い列ができ、私が座れたのは一番前の席でした。
会場が暗くなって映画が始まり、再び明かりがついた時、私は自分がどれほど甘ちゃんだったかに気がつき、しばらく立ち上がることができませんでした。
全ての予想が外れたわけではありません。
会場に響く笑い声。観客たちと作品との一体感。
評判の映画を見ていると言う興奮。
それらは想像通りでした。いや、想像を遥かに超えていました。
観客としてうんと楽しませてもらいました。
しかし私は作家として、何かを盗んでやろうと思って映画館に足を運びました。
それなのに。
「ネタありき」な作品。
それはあまりにも浅はかな思い込みでした。
「カメラを止めるな」は、端的に言ってプロ中のプロが作った、脚本、演技、アイデア、全てにおいて最高級かつ、意欲ある技術者集団にしか作ることのできないハイクオリティな作品だったのです。
300万で作った、という言葉に騙されました。
逆に謎です。どうやって300万円でこれを作ったんだろう。
私には関係のない世界だった、と一瞬匙を投げかけました
しかしパンフレットをパラパラっとめくってみると、制作日誌の、ある言葉が目に入りました
「妻子を実家に帰し脚本執筆に集中。外出はコンビニにご飯を買いに行く時のみ。それ以外は家にこもってキーボードを叩いた」
「キーボードを叩いた」。
待って。
それ、私、毎日やってる。
そうか。そういうことなんだ。
アイデアの卵を生きたものに変えるには、まずは書かなくちゃならないんだ。
脚本というひよこを孵すには、とにかく手を動かさなきゃ。出ないと何も始まらない。
10億を生むコンテンツの第一歩は、ライティングから始まったんだ。
書く力は、コンテンツの起点となる実は最強スキルだったのです!
そのスキル、私、今、確実に身に着けようとして頑張ってる!
やっと気力を取り戻した私は頭からパンフレットを読み込みました。
上田監督はこんなふうに言っています。
「斬新な構造、練り込んだ脚本、入念なリハーサル。それだけじゃよくできた映画で終わってしまう〜中略〜不可能なミッション等に挑めば自ずと余裕はなくなり、僕らの本当という名の血しぶきが現場に飛び散り映画をスペシャルなものにしてくれる」
中略の部分にはネタバレが含まれます。
監督がこだわった、その部分こそが、私自身、最も心を動かされたところでした。
普通はできない、チャレンジャー的なミッション。
それをやってのけた出演者と、スタッフに拍手喝采したい気分でした。
そうか。私に足りないのは、まさしくそれだ。チャレンジが全然足りてない。
物語の主人公は、不可能なミッションを乗り越える為に大きくなり、読み手に感動を与えます。
物語だけじゃなくて、人生にだって苦境は次々に襲ってきて、それを乗り越えるたびに人間は一回り大きくなる。
頑張っている姿は、美しい。
登場人物達だけでなく、上田監督のたゆまなきチャレンジ精神が、素晴らしい結果と感動を呼んだのだと、私は気が付きました。
そう考えてみると、天狼院ライティングゼミは、書くスキルを磨きつつ、メディアグランプリへの挑戦で、適度な負荷を自分自身にかけることのできる、最高な環境だと言えますね。
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