メディアグランプリ

どこにでもいる子になりたくない子って、どこにでもいるよ


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記事:鈴木うなぎ(ライティング・ゼミ木曜コース)

「どこにでもいる子になりたくない子って、どこにでもいるよ」

2年ほど前に放送されたドラマの台詞だ。わたしはこの言葉がどうしても忘れられない。女の子が演劇で上を目指すため、ド田舎から上京する。たまたま飛びっきりおしゃれな服を着た日にモデルにスカウトされて人から注目される自分に良い気になり、本当は大好きなはずの演劇のことを投げやりにしてしまう。仲のいい男友達には「君にはモデルは向いていないよ」と言われるが、女の子は「向いてないことぐらい知ってるよ。でも何でもいいから違う自分になりたいんだよ。どこにでもいる子になりたくないんだよ」と言い放つ。その言葉に男の子が返した一言だった。

この台詞を聞いた時、ゾクッとした。わたしもその女の子と同じだったからだ。「どこにでもいる子」になりたいくない女の子。きっとわたしだけではない。世の中の多くの女の子がそう思っていると思う。森ガール、山ガール、カープ女子、歴女、相撲女子、競馬女子……今では数え切れないほどの◯◯女子があるが、これも”どこにでもいる子”ではなく、個性を持った自分を表現することを突き詰めた結果の行動だと思えて仕方がない。インスタグラムでただの日常ではなく、一大イベントで盛り上がる様子や絶景スポットを連日投稿するのも、こういった心理が働いていると思ってしまう。

しかしドラマで男の子に指摘されたように、どこにでもいる子になりたくない子は、どこにでもいるのだ。だからみんなが、一風変わったもの、人とは違いそうな趣味や体験に飛びつく。そして結局、◯◯女子とひとくくりにされたり、インスタグラムにもみな同じような写真であふれかえっている。

人と違うことを追い求めた結果、「どこにでもいる子」になってしまう今の時代。どこにでもいる子にならない、オンリーワンの素敵な女の子になるためにはどうしたらいいのか? わたしは自分の友達でそれに当てはまる子を探してみた。すぐに思い浮かんだのは、Aちゃんだった。Aちゃんは、特別学歴が良いとか、秀でた特技があるとかということはない。しいて言うなら少しコーヒーに詳しいのでコーヒー女子とでもいうのだろうか。普通の可愛らしい女の子である。ただ性格的なことをいうのであれば、自分の気持ちに素直で、思ったことはちゃんと人に伝える子だ。わたしが学生の頃に恋愛で悩んでいたことがあった。「こんなこと言ったら◯◯と思われるかな」とか「周りの友達に広められちゃうかな」とか……。当時のわたしにとっては一番大きな悩みでうじうじしていた。でもそんな時にAちゃんに相談すると、「もっと◯◯さんの気持ち大事にしてください! なんでそんなに自分を押し込めるんですか! わたしだったら周りの友達とか気にしないしどうでもいいです!」と言った。実は2つも年下。特に深い話をされたわけではないが、彼女の言うことはなんだかすごくわたしを納得させた。真剣に、そして半分お説教がはいった具合で相談に乗ってくれる友達。わたしにとっては唯一無二の大事な存在だと心から思った。この出来事があってから、わたしにとって彼女は「どこにでもいる子」ではとっくになくなっていた。考えてみれば、素直な意見だったからかもしれない。もちろん彼女は「どこにでもいる子」にならないためにそうしようとしたわけではない。わたしのことを自分のことのように一緒に考えて出てきたその素直な意見が、わたしに勇気を与え、彼女をオンリーワンの素敵な女の子にしていた。

本当は「どこにでもいる子」なんていないのかもしれないとも思う。だってみんなそれぞれの考えをもった人間だから。ただ誰でも「どこにでもいる子」になってしまうことがある。それは自分の素直な気持ちを見失ったとき、押し込めたときだ。別に◯◯女子も、インスタグラマーも関係はない。一般的な考え方でもいい。でも、それが自分の本当にやりたいことなのか? 本当に素直な気持ちなのか? そこが重要なのだと思う。

「どこにでもいる子になりたくない子って、どこにでもいるよ」

この言葉がどうしても忘れられないわたしですら、今でさえ素直な気持ちを見失って、「どこにでもいる子」になってしまうことがある。◯◯女子やインスタグラム、いろんな情報が目に入り、自分の本当の気持ちを見失うからだ。だからこそ意識的に自分の心に耳をすませたいと思っている。
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2018-10-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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