メディアグランプリ

久しぶりに恋をした 掲載記事は公開ラブレター


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川鍋祥子(ライティングゼミ・土曜コース)
 
 
「お電話してよろしいでしょうか?」
夜9時のオフィス。
やっと書き上げたインタビュー記事の校正を、取材先にメールし終えてほっと一息ついたところに、そのメールは届いた。送信主は30分前に初校を送信した相手。
 
「ドキッ」
(電話?わざわざ?メールでは済まないほどの修正があるのだろうか?
どうしよう……)と頭の中をぐるぐるさせながら
「大丈夫です」“カチッ”
と、背中に冷や汗をかきながら返信し、ドキドキしながら電話を待った。
 
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私は地方の月刊情報誌でカメラマン兼編集をしている。昨年秋より巻頭見開き2ページのインタビュー記事の担当になった。企画、取材、撮影、記事執筆、レイアウト構成までを一人でやらねばならず、取材から最終印刷原稿にするまで2週間。フリーペーパーだが、8万世帯全戸にポスティングで届けるこの地方では唯一の情報誌で、それなりに読者数も多い。グルメ情報から季節のイベント情報などが並ぶ中での目玉の巻頭特集である。
今回で5回目。毎月企画を含め、ひと月のうち3週間はほぼこの巻頭特集のことで頭がいっぱいになる。前回までの4回も苦労したので、なんとか効率よく良い記事が書けないものかと悩んでいたところ、何かの巡り合わせか取材予定日の一日前に、天狼院書店が主催する「取材ライティング1DAY講座」があることを知り早速申し込んだ。講座は通信で3時間みっちり受け、今までの自己流の方法を整理しつつ、目から鱗のノウハウを得て当日の取材に臨んだ。
今回の取材先は長野県内でも強豪のO高校ラグビー部。就任4年目の元日本代表のK監督にインタビューをした。「取材ライティング1DAY講座」のおかげでいつもより念入りな準備ができたためか、比較的落ち着いて話を聞くことができた。約1時間半、ラグビー部の歴史から今のチームの状況、今の高校生に教える難しさ、社会に関わるラグビーの魅力など、質問事項から若干外れたところもあったが記事にするには十分な話が聞けた。
日中は他の業務も多いため、記事を書くのはほぼ帰宅後自宅での作業になる。ICレコーダーを持ち帰り、テープを起こす。今までは、録音はしていたけれど聞かずに取材中にとったメモだけで記事を書いていたのだが、今回は淡々とした語り口から一つでも多くキーワードを見つけるべく丁寧に起こしていった、10000字。「1DAY講座」で聞いた20000字数より少ないが、なんとか記事にはなるだろう。
 
早速記事にしていく……
 
が、書けない。構成も考えていたし、聞き取り量も十分だったはずなのに、単なる文字だけがパソコンモニターの中を流れていく。ただの文字の羅列で、ちっとも情景が浮かばない。
そこで、はたと気が付いた。あまりにも自分にラグビーのバックボーンが無いことを。インタビュー前にルールくらいは知っておかなければと思い、付け焼き刃で簡単なルールと、背番号とポジションの意味くらいは調べて行ったけれど、今までテレビでまともにラグビーの試合中継を見たこともなかった。
「原因はこれだ!」と思い、インターネット上でO高校の予選から全国大会までの動画を探して全て観た。観ていくうちに、実況の解説もあいまってどんどんラグビーの奥の深い魅力を知ることになり、仕事だということを忘れてラグビーの魅力にのめり込んでいった。まるで、恋をしてその人のことをもっと知りたいと思うように次々と色んな関連記事を探しては読んだ。そうすることで、取材で得た情報が水を得た魚のように生き生きと具体的なイメージとして泳ぎだした。
「試合が終わればサイドがない、敵味方なし」という“ノーサイドの精神、”
それぞれ違う役割を担っているチーム15人が一つになってモールを組んで前に進む。15人の気持ちが一つになって掴んだトライは感動を生む。“One for all, All for one”の精神。これらの精神は社会につながっているということが、より具体的なイメージとして理解できた。
最後の動画、全国大会「花園」での2回戦。“強い冬の西陽が選手たちの影を長くグラウンドに落とす夕刻、ノーサイドのホイッスルが空高く響いた。悔し涙を拭いグラウンドに深く頭を下げる選手たちと、それを遠くから見つめる監督の姿”このシーンを観て閃いた。ここから書き始めよう。そして、その後は湧き出るように文章が続いて記事は完成した。
 
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誰もいなくなった月曜日の夜9時
自分がどんな風にラグビーを理解したのか、が伝わるように
「こんなに私はあなた(ラグビー)が好きなんです」
という気持ちを込めて、ラブレターを渡すように初校を監督に送った。
 
「大丈夫です」の返信をしてから30分後、電話が鳴った。
 
「素晴らしい内容です! ありがとうございました」
 
受話器の向こうにK監督の声が響き、私は喜びでいっぱいになった。理解の方向が全然違っていたらどうしよう、ひとりよがりになっていたらどうしよう……と、案じていたことから解放された。喜んでもらえる記事にできて本当によかった、と心の底から思った。
 
取材のノウハウを教えてくれた天狼院「取材ライティング1DAY講座」に感謝するとともに、取材する対象をどれだけ好きになれるか、のめり込めるかが、良い記事を書ける秘訣なのだと改めて感じた。
普段ならば会えるはずのない人に会って、しかも一方的に話を聞ける。そして好きになれたら最高だ。この仕事を請けて憂鬱な日々もあったけれど、この記事を書き終えて今、取材ライティングは楽しい! これからも何通もラブレターを書いていこうと思う。
 
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/70172

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2019-03-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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