メディアグランプリ

上書きされる学歴たち


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事: 井上 賢一(ライティング・ゼミ平日コース)

「とうとう、大学を卒業できました!」

こんな会話が、とある卒業式の場で、行われています。その大学は、通信制の大学です。ネット環境の普及で、遠方でも大学に入りやすい環境になりつつあります。スクーリングがあっても、週末だけで、十分だったりするので、会社勤めや、定年後の方にも入りやすい環境になってきました。

そこでびっくりしたのは、80代で大学に入学して、最大在籍年数までいて、ギリギリで卒業した方です。この方は、卒業時、90歳を越えています。
ただただ、生涯学び続けたいという思いを抱え続けていることに、感動したのを思い出します。

私が、大学生だったころは、学びたいというより、周りが行くからとか、他にしたいこともないので、とりあえず大学に行くって感じでした。
とても、学びたいという欲求を持っていたわけでなかった。学びより、バイト三昧な日々で、週に4日とか5日とか、フリーター並みに、バイト入れまくりで、月収もそれなりにありました。
実はその理由に、大学一年時に変なセールスに遭い、多額の月賦契約をさせられていたので、毎月の支払いに必死になってしまいます。学生なのに、毎月3万円の借金返済です。
大学生なのに、ローンを数種類組むことになり、相当につらかったです。
バイトを減らして、学業に専念したくても、借金が苦になり続ける日々でした。

私が通っていた大学の仲間たちの中には、バイトなんてしないで、講座は必ず出ている方もいます。一生懸命にノートを取り、決して授業中に寝ることもなく、必死な方もいます。
単位を取るだけでなく、その先の「学びたい」を追及するという思いの方も、沢山いました。

だだ、私は、学びを追及するより、借金返済以外の目的意識もないまま、バイトに明け暮れています。
仲間たちは、どんどん身の丈に合った進路を見つけて、どんどん就職を決めていきます。
当の私は、自意識過剰に、何か大きなことをしたいという思いを持ち、卒業時に就職をせず、専門学校に入ることになりました。

私は皮肉にも、大学卒業の次に、もうひとつ余分に学歴が加わりました。英語の専門学校でした。
親にはもう頼めないと思ったので、新聞奨学生で2年間、必死に通うことになります。
通っていたのは、1998年の池袋です。毎日、江古田あたりの寮から、地下鉄に乗り、池袋のジュンク堂近くの学校に通っていました。

大学時代は、「学びたい」とかでなく、「借金返済」も兼ねて、バイトばかりで、とても「学びたい」から遠ざかるばかりでした。
何とか借金の返済を果たして、ローン地獄と、バイトばかりの大学時代から卒業して、何歩も遅れているのを自覚しながら、直ぐに、東京にあった英語の学校に入学します。

大学時代の私と違う健気な努力で、寝る間も惜しんで、必死に学び続けます。
やっぱり、身銭や覚悟を持って、学校に通っているから、どんどんと英語のスキルが向上します。

最終学歴は、大学卒業後に、英語の専門学校に行っているので、大卒だけど、専修学校卒です。
その後は、転々と色々と仕事をこなしながら、今に至っています。

最近、こうやって「書くことを学ぶ」ようになりました。
大人になってからの方が、色々と学びたいという欲求を持つようになります。
社会人として、最終学歴の上書きは止まったまま、職歴を積み重ねるという、少しずれた「自分の暦」を積み上げている。
周りと違う「変人」ぶりがありつつも、やっと自分の天性の才能を使った仕事をし始めています。

生徒さんを募り、私の専門分野を教えています。
弟子と言えないかもしれないけど、師匠のような立場から、生徒さんを見守ることもしています。

私のところに学びに来る方は、学歴を積み上げるために来ているわけではありません。「学びたい」を追求したら、私のところに来たという。

私も、そんな生徒さんの頑張りを目の当たりにしてメラメラとやる気が高まります。今、ライティングを含めて、勉強をどんどんと積み上げています。

そして「もっと学びたい」を叶えたくなっています。

一度大学を卒業したら、二度と大学には入らないって、勝手に決めていました。
研究者になるつもりないなら、尚更、大学には通わないと思っていました。

ただ、ここにきて、「もっと学びたい」を抱くようになります。

私の最終学歴は、20年前の英語の専門学校から、更新されていません。
でも、40歳を越えて、再び最終学歴を更新したくなってきました。

今の仕事を投げ出さないで、学業も修めるには、通信大学がいいなって思って、色々と調べています。

海外では、最終学歴を更新しづける人は、尊敬されているようです。学び続けたいという思いがある人を、受け入れる下地があるようです。

私は、再び成人を迎える40歳を越えています。
最終学歴は、20年前に止まったままです。

この春、「令和」の始まりをきっかけにして、最終学歴を更新したいと、本気で考えるようになりました。

職歴はたくさんあり、少し恥ずかしいです。
でも学歴は、どんどん「最終学歴を更新し続ける」ことを計画中です。

最終学歴を更新し続けて、生涯を通じて、「学び続けたい」と思います。

「あなたも、学び直しのために、最終学歴を更新しませんか?」

未来の90歳の私も、きっとどこかの大学を卒業することで、最終学歴を上書きしているでしょう!

 
 
 
 

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2019-04-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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