<東京生中継>【3/5劇団天狼院〜FUKUOKA〜旗揚げ公演】朗読劇『コーヒーが冷めないうちに』あの5代目天狼院秘本を、劇団天狼院〜FUKUOKA〜が朗読劇でお届け!最新設備による、東京天狼院同時中継でお送りします!
お願いします、
あの日に
戻らせてください―。
「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」
不思議なうわさのある書店
天狼院書店を訪れた
4人の女性たちが紡ぐ、
家族と、愛と、公開の物語。
―4回泣けます
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天狼院書店店主および劇団天狼院主宰の三浦でございます。
今思えば、その本の原稿は、導かれるように東京天狼院のこたつの上に置かれました。
このときしかないタイミングで、僕の手に託されました。
そのとき僕は、11月16日から18日まで豊島公会堂の大ホールを借り切って開催する「天狼院の大文化祭」の準備に追われていました。そんな状況の中で、生まれたばかりの福岡天狼院の構築のために福岡に行っていて、一段落つき、羽田空港に降り立ったとき、「機内モード」を解除した瞬間に、おびただしい数のメールとメッセージが雪崩れ込んできました。
その中に、こんな主旨のメッセージがありました。
今、手元に原稿があって、どうしても僕に読んでほしい。それは文芸作品で、世の中に広げる方法を一緒に考えてほしい。
それは、もはや生ける伝説となりつつある、圧倒的な実績を持つ、スペシャルな編集者からのメッセージでした。
メッセージの中の、こんな一文がやけに心に引っかかりました。
「なんの手垢もついていない、作家のデビュー作です」
おかげさまで、近頃、超絶忙しくさせていただいていて、もはや、連日、ひどいときには朝の7時から深夜までアポや約束、仕事でいっぱいになっているのですが、スケジュールを無理くり調整して、すぐに会うことにしました。
何か、予感めいた、予兆めいた、おそらく、野生の直感的なものが作用したのだろうと思います。
会って、その原稿を読まねばならないと、焦燥のようなものを感じました。
東京天狼院のこたつで待っていた僕は、原稿を抱えてきた人の顔を見て、僕はある種、安堵を覚えました。
目がキラキラとして、自信に満ちているのです。
もう一刻もはやく読ませたいという想いが、全身の一挙手一投足からこちらに伝わるようで、これは、もしかして、とこの段階で僕は頭のなかで、ある仮説を走らせ始めました。
話を伺いながらも、この仮説を終始走らせることになります。
もちろん、読んでいる最中も。
その場で、冒頭を読ませて頂きました。
すぐに、引きこまれました。設定が、とてつもなくいい。
その設定が、クライマックス部分で炸裂するのではないかと、僕はわくわくしながら予測しました。
「とても、よさそうですね」
僕は、もはや、興奮を抑えきれずにそう言っていました。
そのとき、僕は翌朝まで読むことを約束して、大切な原稿を預かりました。
たしかに、僕は死ぬほど忙しい。
この原稿を読むには、一夜、丸々、睡眠時間を削らなければならない。
超絶多忙なこの時期に、限られた睡眠時間を削るのには、生命体として大きなリスクを抱えることになります。
正直言って、怖かった。
けれども、それ以上に、本屋としてこの本は、今、読まなければならないのだと、たとえば、消防士が家から上がる火の手を見て、飛び込まねばと思うのと、おそらく、同じような感覚で、たまたま通りかかった医師が、倒れた人を見て、手当しなければと思うような感覚で、いわば、「本屋のノブレス・オブリージュ」的な想いが、その原稿を前にした僕の中に、どうしようもなく、湧き上がってきたのです。
目の前に、予兆として輝きを放つような原稿がある。
僕が、どうにかしなければならない。
これは、僕の仕事である。
そう、自然と思うことができたのです。
正直、後は、ただ願うだけでした。
「狂おしいまでに、売りたいと思う本であれ」と。
一度、フロントライン(僕のオフィス)の机に広げて、読もうとしました。
けれども、連日の疲れが折り重なるように迫ってきて、深夜、頭が朦朧としてどうしようもない。
ただ、翌朝まで読み上げると約束したからには、これは守らなければならない。
仕方なく、僕は湯船にお湯を貯めました。
しかも、普段よりも熱めに設定し、お湯がいっぱいになると、湯船に蓋を敷いて、その上に原稿を持ち込んで、湯船に入り、原稿を読みました。
こうすれば、眠ることがなくなるからです。
原稿が濡れるといけないと思い、タオルを手元に置きました。
僕は、読み始めて、しばらくして舌打ちをしました。
文章が、頭に入ってこないのです。
おそらく、小説を初めて書いた著者だったので、冒頭、力みすぎたのではないでしょうか。説明が頭にすんなりとはなじまない。
改めて、糸井重里秘本の『骨風』は文章がうまかったのだなと思いました。
でも、せめて、複数の短編の中の1編だけでも読もう。
断るにしても、それが礼儀だと思って読み進めました。
すると、不思議なことが起きました。
はじめの方は、様々、設定の説明が必要で、登場人物の説明なども、わからなくなるのですが、ここを通り抜けてしまうと、物語の世界にすっと入り込めるようになる。
そして、後々に、冒頭で突っかかりながら頑張って読んだからこそ、後の感動が強いのだということがわかりました。
つまり、設定や登場人物は、すべて伏線であって、それぞれの話のクライマックス部分で、強靭にその伏線が回収されて行くのです。
極めて、なだらかに。
極めて、スピーディーに。
極めて、合理的に。
なにより、強烈な感動を伴って。
それがわかった瞬間、僕は強烈な嫉妬を覚えました。
素晴らしい作品を書く人間がまた現れてしまったと。
僕なんぞが逆立ちしても及ばない、極めて優れた作品が、目の前にあることを、認めざるを得ませんでした。
本を読むスピードは徐々に加速しました。
もう、眠気など、微塵も感じませんでした。
面白い。
非常に、面白い。
もう、やるせないほどに面白い。
2編目の途中で、僕は、もう号泣しました。
恥ずかしい話ですが、ひっくひっくとなるくらいに、泣きました。
原稿が涙で濡れてしまったので、手元においていたタオルで拭い取りました。
でも、僕は妙な安心感のもとに、読書を進めました。
なにせ、風呂に入っている。いくら泣いても大丈夫なのです。
そして、これ以降も、これ以上の感動の衝動が来るのだろうと、恐ろしくもそれ以上に楽しみに思いました。
いいのです。
本当に、いい。
人物がしっかりと描かれていて、彼らが作中で動くと、その中の世界がとても優しく清められるようで、もう涙が止まらなくなる。
わかったからもう、よしてくれ、泣かせないでくれと頼みたくなる。
結局は、愛なんだなと思いました。
終局的に、人間が共鳴できるのは、愛のみなのだと。
それが、臆面もなく、オーソドックスに、そしてまっすぐに描かれている。
ここまでまっすぐにそれをやられてしまうと、もはや、傑作と呼ばざるを得ない。
僕は遅読なので、読み終えるのに、数時間かかりました。
夜中、読み始めたのですが、浴室からでると、外はすっかり朝になっていました。
軽く体を拭いて、裸のままで、iPhoneを手にしました。
この原稿を託してくれた、編集者の方に、すぐに一報を入れました。
お待たせしました。
今、読み終えました。
5代目秘本、これでいきます。
思っていた仮説が、現実になる瞬間でした。
そして、その場で、こう伝えました。
「天狼院でこの本を1,000冊買い切ります」
静かに、当たり前のように、こう決意していました。
書籍は、正確にいうと、「返品条件付き買い切り商品」です。
つまり、「一旦は買い切って仕入れ代金を支払うが、同額で返品することができる」という不思議な商材。
けれども、僕は、この「返品条件」なしで、この本を買い切ることに決めました。
そのためには、新車1台分くらいの費用が必要になります。
それは、小さな天狼院にとっては、実に大きな冒険です。
なにせ、東京天狼院のすべての在庫が、4,000冊に過ぎないので、天狼院が1,000冊買い切ることがどれくらいのことなのか、想像頂けるかと思います。
一人でも多くのお客様に、この本を届けたい。
そういった想いが嫉妬混じりで生じる作品だったので、僕にとっては、至極自然な決断でした。
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こうした経緯で5代目天狼院となった本作『コーヒーが冷めないうちに』は、元々、杉並演劇祭大賞を受賞したほどの演劇の名作だったのです。
そして、福岡天狼院でも、女性のみで構成された「劇団天狼院〜FUKUOKA〜」が結成されました。
その記念すべき旗揚げ公演で、朗読劇『コーヒーが冷めないうちに』を上演することが決まりました。
3月5日(土)11:00〜、福岡天狼院でおこなわれる初公演を、なんと、最新設備を使って東京天狼院でも同時中継いたします!
このシステムが、本当にすごいのです。
おそらく、この試みは、今までの常識を覆すものになるだろうと思います。
今回も、本で舞台となっていた喫茶店「フニクリフニクラ」が「天狼院書店」になります!
演出には、劇団天狼院〜FUKUOKA〜顧問であり、劇作家・演出家・演技指導・役者として福岡で活躍されている、中村雪絵さんをお迎えしております。
本屋でおこなう朗読劇ということで、福岡天狼院そのものが、今回の舞台になります。
中村さんの演出による、ふつうの朗読劇と一味違った公演を、目の前でお楽しみいただけることになります!
いよいよ指導する、劇団天狼院〜FUKUOKA〜。
ここ、福岡天狼院から、本気モードで、活動を広げていきます。
その記念すべき、第1回公演。
ぜひ、ハンカチを忘れずに、お越しください。
……いや、涙を拭うのには、タオルでないと、足りないかも。
皆さまのお越しを、お待ちしております。
【概要】
日時:2016年3月5日(土)
10:30 開場
11:00 開演
会場:天狼院書店「東京天狼院」(生中継)
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
チケット:一般 1,500円
*Peatixでの事前決裁制となります。
*お席に限りがございますので、先着《30名様》での受付とさせていただきます。
*お席が埋まり次第、チケット販売を終了させていただきます。お早めにお申し込みください。
『5代目天狼院秘本』は天狼院書店店頭もしくは通販にてご購入いただけます。
【演出】中村雪絵(なかむら・ゆきえ)
2002年8月、高校在学中に劇団ぎゃ。を旗揚げ。同劇団の主宰となりすべての脚本・演出を手がける。 福岡県福岡市内を拠点としながらも、東京・大阪・福岡の3都市ツアー公演や市民吹奏楽団とのコラボレーション劇など企画性の高い作品を制作。
2012年、NHK福岡放送局主催イベントのショー構成・演出や、アクロス福岡主催事業の脚本・演出など、放送局や文化施設主催のイベントや演劇作品も多数手がけている。
2013年よりテアトルアカデミー福岡校の演技講師に就任。3歳から60歳まで幅広く指導している。
2014年8月、同劇団解散によりフリーとなり、現在はエレガントプロモーションの演劇ボーカルパフォーマンスユニット・福岡オトメ歌劇団の脚本・演出を手がけている。役者としてもコメディーを中心に多数の作品に出演。
2011年より現在まで、九州最大の動員数を誇る「劇団ギンギラ太陽’s」にレギュラー出演中。
【天狼院書店へのお問い合わせ】
TEL:03-6914-3618
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