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メディアグランプリ

アイデアを否定された時、傷ついている暇はない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:射手座右聴き(ライティング・ゼミ秋の集中コース)
 
 
「うーん。ピンとこないんだよなあ。悪くはないんだけどなあ」
クライアントの社長さんが首をかしげている。
「このキャッチコピーとか、我が社のサービスのことをちゃんと言ってくれてるんだけどな。でも、なんかなあ」
また首をかしげる。
 
こんな風に、私はほぼ毎日、否定される仕事をしている。
あらゆる人から否定される
仕事は、広告のキャッチコピーを書く仕事。
10人くらいの方との打ち合わせで、
10人全員から否定されることも少なくはない。
 
否定の仕方はさまざまだ。
「つまらない」「ひねりがきいていない」
抽象的な言葉で否定される。
「内容が間違っている」「ターゲットの女性には理屈っぽい言葉はよくない」
ロジカルに否定される。
「長い」「好きじゃない」
非常に感覚的な言葉で否定されることもある。
 
そして一番多いのは、
冒頭の社長のように、「なんだかピンとこない」というものだ。
 
数日かけて、商品のこと、ターゲットのこと、企業のこと
様々なことを考えて、開発した言葉がいとも簡単な言葉で否定されるのか。
 
「いやいや、あなたが下手くそなだけじゃないか」
ここまで読んでくれた方はこう思うかもしれない。
私も、そんな不安にかられることがある。
もしかしたら、ほかの人はうまくいっているのかもしれない。
でも、たまにこんな仕事の依頼もあるのだ。
「実は、ある人に書いてもらったんだけど、ピンとこないみたいで、
仕事引き継いでもらえませんか」
実力にかかわらず、相性みたいなもので、ダメだしされることはあるのだ。
 
超一流の有名な人ならいざ知らず、この仕事において人に否定されることは
避けて通れないことだと思う。
 
傷つきやすい性格の人だったら、落ち込んで黙り込むかもしれない。
怒りっぽい性格の人だったら、キレるかもしれない。
 
なんだよ。ピンとこないって。
もうこの際、いろいろ聞いてみよう。嫌われたっていい。
なぜなら、この仕事の紹介者に言われていたのだった。
「合わなかったら合わない、って言ってもらっていいですよ」
その言葉を思い出し、だめもとで、社長に聞いてみた。
「どこがピンとこないんですか」
社長は答える。
「ピンとこないのは、ピンとこないってことだよ」
 
せっかくだから、もっと聞いてみよう。
ここからは相手が思っていそうなことを推測してみた。
そう、自分の悪口を言ってみたのだ。
「ぶっちゃけ、今日の提案は、面白くなかったですか」
「面白いものは求めてないよ。うちは金融系だから」
さらに自分を否定してみる。
「では、ひねりが効いてなかったですかね」
「ひねりか。でも、わかりやすいほうがいいんだよな」
相手の目線で言ってみる。
「わかりやすいのもお出ししたつもりですが、わかりにくいですか」
「わかりやすいけど、うーん。こういうことを言いたいんじゃないんだな」
「つまり言いたいことが違ってるということでしょうか」
社長の声が大きくなる。
「そうだよ。こういうことを言いたいんじゃないんだよ」
少し怒られてるテイになってきたけれど、さらに聞く。
「ということは、会社のサービスの話をしたのは間違いでしたか」
「そうそう。そんなことよりも、志の話をしたいんだよ」
 
とりあえず、謝る。
「志の話、足りなかったですか」
ピンとこないと言っていた社長の顔がいきなりキリッとした。
「足りないよ。うちの会社の志というのはね……」
 
あれ?
さっきまでピンとこないとしか言ってなかったのに。
そこから15分、社長はしゃべりっぱなしだった。
 
「君はわかってないんだよ」
ちょっと叱られたが、心の中ではラッキーと思っていた。
「はい。勉強不足です。もう一回やらせてください」
と謝りながら、メモに思いついた言葉を書き始めていた。
 
怒られようが、実力がないと思われようが、関係ない。
相手の欲しているものを喋ってもらえた。
 
否定をされるって、こんなに有効な手段なんだ。
相手にきちんと指摘してもらうって、なんて幸せなんだ。
 
これがラーメン屋さんだったら、どうだろう。
言葉に出して「まずい」と言ってくれるお客さんは少ないはずだ。
「麺とスープのからみかたが、しつこい」とか
「とんこつ、と言っている割にはくさみがなくて、印象に残らない」
などと言ってくれるお客さんは皆無に近いだろう。
何も言わず、「ごちそうさま」とだけ言って、二度とこないだろう。
 
自分の仕事でも、「ピンとこない」で諦めていたら、同じことかもしれない。
相手が思っているであろう、ことを想像しながら、「ピンとこない」を
具体化すれば、チャンスにつながる。
自分で、自分が考えたものを「つまらないと思いましたか」と聞くのは
勇気がいる。最初だけは。
 
でも、実際言ってみると、気にならなくなってきた。
「つまらないなら、つまらない、とはっきり言ってください。その方がいいものになりますから」
なんて、プライドのない仕事の仕方、と思われるかもしれないが。
言いづらそうにしているお客さんには、私はあえてそう言ってみる。
なんとか言ってもらいやすくするのだ。
「大人になったら、誰も注意してくれないよ」ってやつに近い感覚だ。
 
否定の言葉は受け入れにくい。
でも、一旦、勇気をだしてしまえば、そこは宝の山だ。
 
そして、次の提案のときには、こう言ってみた。
「前回、厳しく言ってもらったおかげで、よくなりました。
ありがとうございました。今日も厳しく言ってもらえると
助かります」
 
たぶん、否定を力にする方法は、どんな仕事でも役に立つと思う。
 
もし、あなたが何かで否定されたら、がっかりしないでほしい。
それはチャンスかもしれないのだから。
否定に対して、自分をオープンにしていたら。
それによって、お客さんが言いにくいことを、言ってもらい力にする、
そんなチャンスがくるかもしれません。
 
あ、でもこの記事は、この記事だけは、どうか否定されませんように。
ずるいなあ、自分。
でも、生きていくためには、「ピンとこない」仕事じゃ、ダメなんだ。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-10-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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