メディアグランプリ

家事とデトックス的生き方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:神保あゆ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
人より掃除が上手かといえば、そうではないが、掃除は好きなほうだ。
子どもの頃はそうではなかったはずだが、大掃除の時に窓の桟(サッシ)の汚れを古歯ブラシでこそげ落とすのは好きだった。
今は少なくなったが、昔の家の窓は模様が入っているものが多く、その模様の窪みは汚れやすい。
そこに溜まった黒い汚れを、これまた古歯ブラシでこそげ落とすのが快感だった。
 
汚いものがキレイになっていく様を見るのが、好きなのだと思う。
 
一人暮らしをしていた学生時代、大学の夏休みなど長期休暇になる度に実家へ帰り、実家の大掃除をした。
祖母がよく言っていた。
「せっかく帰ってきてまで掃除などしなくてもいいのに」
里帰り出産で実家に帰ってきたときも、ゆっくりすればいいのに、掃除や料理をしたものだ。
 
これ、いやいやしているわけではなく、快感なのだ。
 
料理も好きだ。
おもてなし料理や豪華な料理を作るのが好きというよりは、ありあわせの食材で作るのが好きである。
 
こんなことを言うとまるで「良妻賢母」な昭和な女であるが、そういうことをアピールしたいのではなく、なぜか家事が快感なのである。
 
これはいったいどういうことなのだろう?
良妻賢母ではないのに、家事が好きだということはどういう心理なのだろう?
 
いろいろと考えている最中に、ある共通のことに気づいてしまった。
 
私は「すっきりする」「使い切る」「出し切る」のが好きなのだ。
そこに快感を覚えるようだ。
 
例えば、掃除。
これはわかりやすい。
汚いものを「すっきりさせる」のだから。
最近でワクワクした掃除は、単身赴任先の夫の住まいのお風呂掃除だ。
実は夫もキレイ好きな方だ。
一緒に暮らしているときは、休日は掃除機をかけてくれたり、率先して掃除をしてくれた。
だからもちろん、単身赴任の一人暮らしでも、部屋はそれなりに片付いている。
が、しかし、行き届いていない箇所がある。
 
お風呂の排水口だ。
 
私が子どもたちと暮らしている家では、キッチンもお風呂も、毎日排水口の蓋も全部外して、タワシでピカピカに掃除している。
日課である。そうしないと気持ち悪い。
 
夫はそこまで気づかないのだろう、一人暮らしのお風呂の排水口は、水垢で汚れていた。
 
それを見つけて、私は嬉々としてタワシでこする。どんどんキレイになっていくのが快感である。
 
例えば、料理。
冷蔵庫を開ける。
食材がある。
この食材たちを、どうやって使い切ろうか考える。
どんな料理に変身させようか、あるものでどこまで作れるのかを考えるのが好きだ。
工夫しながらどんどん作って、冷蔵庫を空っぽの状態にするのが好きだ。
だから、1週間分まとめてどっさり作るのが習慣になっている。
「使い切った-」
と思えるのが幸せだ。
 
例えば、洗濯。
ドロドロに汚れた洗濯物を思いっきり洗濯し、パリッときれいになるのが好きだ。
「あんなに汚れていた襟元が、こんなにすっきりした!」
なんて快感だろう。
 
家事だけにとどまらない。
 
例えば、ダイエット。
ダイエットって気持ちいい。
例え食べ過ぎたとしても、その分動けばいいのである。
自分の中の脂肪がどんどん燃焼されていくのを感じながらスポーツする。
毎月定期的に断食をすることでも、自分の中の不要なものが削られていく。
そうすると、身体が絞られるだけでなく、思考までクリアになっていく。
 
それが、気持ちいい。
 
そして、人間関係。
今の時代、付き合いの薄い人とは、いつの間にか連絡する頻度が下がったりする。
当然である。
そうではなくて、ママ友など。
かつては濃い繋がりがあったけれど、子の成長とともに親の価値観も変化し、一緒にいることに違和感を感じ始めたりしてきた過去があった。
しかし、密に繋がっていた時代に、私の持てる時間もパワーも「出し切って」きたので、例え疎遠になったとしても、「やりきった感」があり、後悔がない。
 
家事もダイエットも人間関係も。
「掃除洗濯はすっきり」「料理は使い切り」「ダイエットは燃焼してそぎ落とし」「人間関係はやりきった感」
これって、それぞれ
「デトックス」
ではないだろうか。
 
日々悔いなくやりきり、常に新しい風が吹くように。新陳代謝をよくすること。
滞らせない。
生活も、身体も、心も。
全て「巡りの良い状態」にしようとしているのだ。
 
巡りが良いこと。
空間も、身体も心も。
巡りよく過ごして、新しい風が吹き込むように。
そのためには、日々「やりきる」「生ききる」気持ちで過ごしたいものである。
 
新鮮なものを取り入れようと思うと、余白がないと入ってこれない。
デトックスをして巡りを良くして、新しいものを受け入れるだけの余白を、常に作っておきたい。
 
力強く、軽やかに生きていきたい。
 
 
 
 
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2020-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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