メディアグランプリ

写真は思い出の劣化版、そう思っていたけれど


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:石野敬祐(ライティング・ゼミ平日コース)
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「美しい人はより美しく、そうでない人はそれなりに映ります」
 
昔、富士フイルムの年賀状CMからの流行語だ。後半の言葉は「そうでない人も美しく」として用意されていたそうだが、このCMに出た樹木希林さんが違和感を覚え、セリフを変えたそうだ。だが、希林さんが変えた後でもどこかしっくりこない僕がいた。
 
僕は、ずっと写真に対していい印象をもっていなかった。撮られた写真でかわいいとか褒められたのは10歳ぐらいまでだろうか。それ以来、完全なるお世辞シーン以外で、容姿を褒められた記憶がない僕。撮られた写真で「それなり」になったことさえも、覚えがない。
 
旅行なりお出かけで写真を撮るということも好きじゃなかった。はーい集合写真撮るよーとか、この風景の写真撮るから待ってーみたいなのが特に。家族や友達との会話や、その日の前後の楽しい流れをわざわざ一度止めてしまうように思ったから。挙句の果てに、そうやって撮られた写真を後でみても、思い出のほうが明らかに鮮やかだった。他の人が撮ったものなら文句が言える。でも自分が撮った写真でも変わらなかった。そのうえ、他の人の写真と僕の写真の違いすら分からない。
 
写真なんかなくても、全て自分の目と脳裏に焼き付けるのが一番でしょ。「写真は思い出の劣化版でしかない」いつしか、そんな風に考えるようになっていた。
 
そんな僕がカメラを始めることにした。ライティング・ゼミから知った、この天狼院書店にそそのかされた。
 
「ライティングと写真って相性いいんですよ。店主の三浦も『ライティング上達のためには写真をやったほうがいい』って言ってます」
Esolaの天狼院店頭で永井さんからそんな話を聞いたのが、写真を改めて意識した一番最初だった。ただその時は、将来どこかで機会があれば、ぐらいに思っていた。
 
その後、天狼院書店でもうすぐ開催されるという「カメラと写真の基礎講座」の紹介動画がFacebookで流れてきた。カメラ・写真を知る田岡さんと、iPhoneで十分でしょというスタッフ平野さん(普通の人代表)がレモンスカッシュを撮り比べるという対決形式のものだった。こんなに違うのか。田岡さんの写真が、素人目にみてもなんかかっこいい。こんな写真とれたら面白いかも。そう思ってしまった。
 
とはいえ、ちゃんとしたカメラは高価なもの。しかも今はライティングだけでゆとりがあるわけじゃない。気にはなりつつもまだ始める気にはならなかった。
 
その後田岡さんに「iPhoneでも大丈夫ですから、結構初めて参加される方もいますよ」とおススメされ、茜塾という1dayイベントに参加。確かに僕の約4年前のモデルiPhoneでもちょっと撮り方を意識するだけでこんなに変わるのかと身をもって体感。今までそんなにいい写真に巡り合っていなかったのかな。
 
そうちょっと迷っている中、最近見ていたドラマ「知らなくていいコト」で柄本佑がカメラマン役やっているのもかっこよく見えてくる。街中で見かけるポスターなどの写真に目が行く。あかん、これ写真に意識持っていかれてる。
 
もう悩んでいるのも疲れた。ええい、やってみよう。時間やお金がかかっても、その分楽しむ、その分何かに繋げようと頑張ればいい。実際に楽しめたら十分。まかり間違ってこれが何かのお仕事に繋がるなら万々歳。もしダメでも、一度やるだけやってからなら文句言ってもいいだろう。そしてあの動画で紹介されていた4か月の「カメラと写真の基礎パーフェクト講座」に申し込んでしまう。ヨドバシカメラに行き、若い店員さんに3時間ぐらいいろいろ聞いて、一眼レフカメラを勢いで買ってしまう。しかも、完全に予算オーバーのやつを。
 
その一眼レフをもってフォト部基礎講座や2回目の茜塾に参加。カメラの専門用語、F値とは、シャッタースピードとは…… それって宇宙語ってことでよいでしょうか、のレベルだったものが、講義やアドバイスをいただき、試しているうちに、ぼんやりと輪郭がつかめてくる。写真集とかポスターとかで見るようなかっこいい写真も、いろんなことが意識されて撮られたものかもしれない。プチ謎解きができるだけでも面白かった。
 
カメラにお任せするオートではなく、マニュアルモードで撮る。ちょっと設定を変えただけで全然違う写真になる。写真全体が明るくなる。周りがいい感じにボケてくれる。印象がこんなに変わるなんて。
 
参加した講座が終わり、家に帰り自分の撮った写真を見返す。うーん、むー、あー、そんな独り言を言いながら写真を送る。うまく撮れないなー。うまく撮れるようになったら楽しいだろうなー。そんな中。
 
勘違いかもしれない。思い上がりかもしれない。そして、きっと偶然。
でも、なんだかよさげな写真が混じっているのだ。
 
まだ始めたばかりのカメラど素人の自分で撮った写真なのに。
単なる練習・実験として、適当に設定をいじって、なんとなく撮ってみただけなのに。
「写真は思い出の劣化版」そう考えていた僕だったのに。
 
世界は、僕が思っていたよりも、写真の中でずっとずっと雄弁だった。
 
撮っている時の記憶よりも輝いて、みえてしまったのだ。
目では見逃していた、確かな光に気付いてしまったのだ。
写真が、何かを語りかけているように感じてしまったのだ。
 
何でもない一瞬が、写真の中で輝いて見えるなら、
特別な一瞬は、どれだけ素敵に残るのだろうか。
 
何気ない表情でも、写真がその人を語るのなら、
感情あふれた表情は、どんなストーリーを奏でるのであろうか。
 
やっぱり「思い出の劣化版」としての写真もあると思う。そこから思い直したわけじゃない。ただ、写真の全てがそうじゃないと気付いた。
 
世界をもっと輝かせるような写真が、きっとある。
そんな写真で、人生を変えることも、きっとある。
 
僕にそんな写真が撮れるかなんてまだわからない。ただ、チャレンジしてみる価値のある世界なのは、多分間違いない。
 
はぁ、とんでもない世界に踏み入れてしまった。
 
 
 
 
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2020-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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