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夢はなくても大丈夫


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山口明子(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
私は、ずっと夢アレルギーでした。
「将来の夢は、プロ野球の選手になることです」
「将来の夢は、お花屋さんです」
ありがちな子どもたちのこんな台詞を聞くと、今でもちょっと胸が痛みます。
それは、自分自身の人生を振り返って、子どもの頃から何度も聞かれる
「夢はなんですか?」
という問いかけに、答えられなかったからです。
幼稚園や小学生くらいまでは、「ピアノの先生」とか「保母さん」とか、気楽に答えていましたし、その夢が叶おうが叶うまいが、どうってことないと思っていたのですが、だんだんと、将来の進路問題が出てくる年齢に成長してくると、
「なりたいものなんか、わからん」
「なりたいものがないと、いけんとやろうか」
と気持ちが重苦しく暗くなっていきました。
 
今なら、その頃の私に言ってあげられます。
「なりたいものは、生きてみないことにはわからない。大丈夫」
残念ながら、大人になるまでに出会った人の中で、私にこの言葉を言ってくれる人は誰もいませんでした。
 
なりたいものはあいかわらずわからないまま、私は大学4年になって就活をし、 九州M下電器という会社に内定をもらいました。
ところが、大学の試験の日に彼の家で寝坊して、試験を受けそびれ、留年してしまったのです。
内定をくれた会社に相談すると、ありがたいことに、入社を1年待ってくれるというのでした。
1年遅れで、初めて社会人になった私はおどろきました。
「部長、さすがですねー」
「部長のおっしゃる通りです」
「よ!部長、素晴らしい」
おじさん同士のよいしょというか、あからさまに上司にゴマをする様子を最初に見たときには、本当にコントか冗談だと思いました。
すぐに、これはだいの大人が真面目に話しているのだとわかり
「どうしよう、私にはムリ」
とんでもないところに来てしまった、と思いました。
だいぶ経って、今でもこの話を人にすると
「今も会社ってそんなもんですよ。変わってない」
と言われたりします。
 
私は若いのに、次第に体は重だるく、頭はぼーっとして、教わることが覚えられない、ダメダメ新入社員になりました。
仕事や会社を面白くする努力より
「どうしたら、辞められるのだろう」
と逃げ出すことしか考えられませんでした。
当時はまだニートという言葉はありません。
留年までして大学を卒業したので、もう親元に帰ることはできないことくらいはわかります。
だから私は結婚しました。
コトブキ退社なら、会社に許してもらえるのではないかと思ったからです。
「結婚するので、辞めさせていただきます」
という私に、人事の人から
「入社を1年待ってもらって、9ヶ月で退職するなんて、会社に悪いと思わないのか?」
と言われました。
「そちらの目が、節穴だったんじゃないですか?」
何度振り返っても、自分のひどさが身に沁みる一言を残し、私は会社を辞めました。
 
そんな調子ではじまった結婚生活は5年で終わり、私は30歳になり、息子が一人生まれていました。
自分の夢が何かわからないまま、もう夢をみている場合ではなくなったと思いました。
働かなければいけませんが、社会人経験9ヶ月、専業主婦歴5年の私にできることは、そう多くありません。
雇ってもらえるところならどこでもいいと思わなければいけないと、あれこれとバイトやパートをしたり、ときには正社員として働いたりしながら、数年して介護の仕事につきました。
その後も、ちまたは夢ブームで、
「夢はみるものではなく、叶えるもの」
「あきらめなければ、夢は叶う」
「努力より夢中」
のような、夢押しスローガンがたびたび私の前に現れました。
離婚して介護の仕事をしている私は、夢みることさえできないまま、夢に敗れたような心境で、
「夢って言葉、私は大嫌い」
と夢アレルギーになりました。
 
でも、その頃には、ようやく私はわかってきていました。
私には、叶えたい夢はわからないけれど、
「どうしても嫌なことならわかる」と。
それは
「自分の正直な気持ちを抑えること」と
「本音で会話できないこと」
です。
本音で会話できないなら、誰とも話さないほうがマシ、と思っていることもわかりました。
そして、大人になるということは、この「どうしても嫌なこと」も我慢することなのだろうとも思っていました。
12年間、福祉の仕事をしながら、「どうしても嫌なこと」を我慢できない大人気ない私に、何度となく悩まされました。
あっちにぶつかり、こっちにぶつかり、傷つたり、傷つけたりしながら、「どうしても嫌なこと」を我慢できなかった私は、12年でお勤めをやめ、フリーランスになり5年が経ちます。
ここまで、本当に長かったです。
 
近い将来、今ある仕事の半分以上がなくなるかもしれないと言われている世の中で、
「あなたの夢はなんですか?」
という問いに、職業の名前が出てくることも、減っていくのかもしれません。
50歳近くまでこの質問に悩まされていた私としては、子どもたちがこの質問をされる機会が減りますようにと願っています。
そして、そうは言っても
「何がしたいのかわからない」
という悩みがなくならない時は
「どうしても我慢できない嫌なことはなんですか?」
と問うてみたらいいと思っています。
「そこから、大切にしたい生き方がわかることだってありますよ」
夢アレルギーだった私から、
「夢はなくても大丈夫」
とご提案したいと思います。
 
 
 
 
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2020-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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