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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:築地 顕乃(ライティング・ゼミ通信コース)
 
 
突然ですが、エンディングノート、ってご存知ですか?
人生ノート、とも言うのでしょうか。
ライフプランとは少し違います。
 
これ、自分の「人生の終わり方」を書くノートなのです。
 
自分のいなくなった後、もしくは意識が無くなった時、
誰にどうして欲しいか、をあらかじめ書いておくことで、
個人の意思が尊重されるというノートです。
 
例えば、お葬式はこうしてほしい、誰に声をかけてほしい、
意識が無くなった後の治療は誰に決めてほしい、
こんな治療はいやだ、こういうことはしてほしくない、
そのほか、銀行や保険の手続き、パスワードなどなど。
ペットを飼っている人なら、自分が死んだ後の保護など。
 
こんなの、今書く必要ないよね、と思った人にこそ、
書くことを考えてほしいノートなのです。
 
私はこの半年で、2度、人の死を経験しました。
1度目は、主人の大叔父が亡くなった2019年11月。
2度目は、私の祖父が亡くなった2020年5月。
 
大叔父はがんが進行していて、余命宣告を受けていました。
ですが、宣告以上に長く元気に生きて、
最後は家族に見守られながら病院で亡くなりました。
 
私の祖父は、余命宣告こそありませんでしたが、
ここ数年、肺と心臓が弱っていて、
最後は自宅のベッドの上で、眠ったままついに目を覚ましませんでした。
 
今年は、新型コロナウイルスの影響でステイホームウィークとなってしまい、
ゴールデンウィークはどこにも行けないなぁ……
と呑気に思っていた日曜日の朝のできごとでした。
あまりにも突然で、ただただ、びっくり。
だってまだもう少しは、なんだかんだ言っても長生きしそうだったのに。
 
祖父は、昔から周りに迷惑をかけたくない人で、
特に晩年は、病院に行ったり入院することが大嫌いでした。
だから、最後の最後まで家で過ごすことを望んでいました。
好きだったお酒もタバコもやめたけど、もう体は元に戻りませんでした。
 
「朝起きたら、お父さんが冷たくなっている」
と泣きながら母に電話をかけてきた祖母の言葉通り、
誰にもサヨナラを言わず、誰もサヨナラを言えませんでした。
 
大叔父が亡くなった時、
近しい家族は病院に駆けつけて看取ることができました。
みんな、お別れの言葉や、感謝の気持ちを伝えられたそうです。
私はその場に間に合いませんでしたが、
その状況を聞いて少し安心しました。
お別れができてよかった、と心から思えました。
 
でも、祖父には誰も声を届けられず、私たちもまた聞くことができなかった。
 
そのせいか、私は祖父の通夜・葬儀中も、今もずっと、
何もかも夢だったのではないか、と思えてなりません。
 
ずっと、私の心だけ追いつかないまま、
何もかも終わって家に帰ってきてしまいました。
 
いつの間にか、私の体はお腹が空いたと言ってくるし、
眠たくもなるし、普通の生活に戻ろうとしていますが、
心だけ追いついてくれません。
 
通夜・葬儀の記憶があまりありません。
号泣する準備はできていたが、
号泣した後の心は、どうやって取り戻したらいいのか、
私にはまだ分かっていません。
 
日常生活に戻ろうと、会社に向かうバスの中で、
こんなことをふと考えていました。
 
祖父は、幸せだったのだろうか。
私たちの愛は彼に届いていたのだろうか。
 
この問いの答え合わせは、もう誰もできません。
 
きっとこの答え合わせができなくて、
私はいまもフワフワしているのだと思います。
 
でも、冒頭で紹介したエンディングノートがあれば、
祖父の声が聞けたかもしれません。
 
最後は誰にも迷惑をかけず、きっと苦しむこともなく、
静かに終えたのは、祖父らしいです。
祖父なりの自決だわ、と後日母は言いました。
 
でも、突然いなくなってしまうと、周りの心は追いつけないのです。
 
今まで、私は「死ぬなら一発でかっこよく死にたいな」
となんとなくそう思っていました。
更に言えば、「葬式なんていらない。死んだ後まで迷惑をかけたくない」
とも思っていました。
 
でもこの思いは、誰にも伝えていません。
 
だからこそ、のエンディングノートです。
今の私も書くべきだと思いました。
皆さんにも書いてほしいのです。
残された周りの家族、友人たちのために、
声を残しておいてほしいのです。
 
祖父が突然逝ってしまって、
母曰くは「自決」ですが、私は半分怒っています。
祖母に何も言わずに逝ってしまったから。
 
銀行の暗証番号が必要とか、保険にどれぐらい入っているとか、
そういうことではありません。
 
思っていることも、文字や声にしないと相手には伝わりません。
祖父は昭和初期の生まれ、言わないことが美学だったでしょうが、
平成、令和を生きる私たちは、もうそういう時代ではないと思います。
 
人間だけが文字を得て、後世にまで意思を伝えられるようになりました。
SNS等で簡単につながることができたからこそ、
アナログな方法だと思われるかもしれませんが、
紙に残すことで筆跡から思いも熱意も伝わります。
 
専用のノートでなくても構いません。
ぜひこのステイホームの間に、書いて残す、ということを
してほしいと切に願います。
それが、残された家族からの願いです。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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