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YOUはどうしてアメリカへ 


中川原さん Youはどうして

 

記事:中川原 竜一(ライティング・ラボ)

 

NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブの中野理事長が米国国務省人物交流プログラム 「インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム(IVLP)」のためアメリカに渡米中です。
NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブとは、炭鉱のまちの様々な地域資源を活かしたまちづくり活動を展開する事業を行い、地域の活性化へ寄与することで旧三池炭鉱を中心とする「炭鉱のまちの風景と心象」を次世代に継承するために2001年に結成されました。
そんなローカルな団体の代表がなぜアメリカに行く必要があるのか?
疑問を持つ人が居ても不思議ではありません。

アメリカと言えばハリウッドとディズニーに代表されるような近代文化を思いださずにはいられません。日本のひとびとはその影響を戦争の前から強く受けていました。服部良一(半沢直樹や古畑仁三郎などのサウンドトラックを手掛けた服部隆之さんの祖父)さんなどのミュージシャンは当時アメリカで流行していたジャズの影響を受けてかずかずの著作を生み出しました。
現代においても今年東京ドーム公演を行い10万人を動員したテイラー=スフィフトをはじめとする映画や音楽などのエンターテイメント、野球などのスポーツ分野などその影響は絶大なものです。

このようにアメリカといえば、近代文化のイメージが強いのですが、「民主主義」の歴史の上では古い国でありその分歴史的な記録には深い配慮がなされています。
その精神は合衆国憲法の起草者の一人であるアメリカ合衆国第4代大統領ジェームズ.マディソンの手紙の一節でもある「知識は、無知を永遠に支配する」などに象徴されていると言えるでしょう。
国内では秘密指定になっている出来事やこちらには記録が残っていない第二次大戦中の資料を探しに日本の研究者のひとびとが日々渡米して調査にあたっているのは近代日本を研究する人の間では知る人ぞ知ることです。

さて、世界遺産登録「明治日本の産業革命遺産」の決定が今年の七月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会においてなされたことは記憶に新しいでしょう。
登録勧告においては“推薦資産に関する説明(インタープリテーション)の計画を策定し、各構成資産がいかにOUV(顕著な普遍的価値:Outstanding Universal Value)に貢献し産業化の1又は2以上の段階を反映しているかを特に強調すること。また、各サイトの歴史全体についても理解できる計画とすること”ということが示されています。
この内容、学者風もしくは役所風でややこしいのですが、どんなに他にはない価値があるのか、軍艦島をはじめとする複数の場所に分かれて存在する明治日本の産業革命遺産の全体の関連を理解できるようにするように、だと理解しています。その産業革命遺産の中に三池炭鉱の4つの地点、三池港・宮原坑・三池鉄道鉄道敷・万田坑が含まれています。

アメリカ合衆国国務省教育文化局インターナショナル・ビジター室によって行われる人物交流プログラム 「インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム(IVLP)」とは、公式サイトによると”日本と米国の相互理解を政治・経済・教育・文化などあらゆる分野で促進し、人物交流を通じ広範な種々の課題について両国が共有することを目的とする”ものです。これまで村上春樹氏や海部俊樹元総理大臣はじめ数々の2500人以上の日本人が参加しています。公募ではなくアメリカ大使館などの在日アメリカの機関の推薦があり選考過程を経て米国国務省に おいて最終的に決定されているようです。
中野理事長によると「このたびのプログラムは学芸員、歴史家、市民活動家がどのようにして、歴史の中でセンシティブあるいは対立する事柄を表現してきたかを考察する」のだそうです。過去の前例からみて、ワシントンDCを拠点に全米各地の地域・施設を訪問し研修・交流を行うと思われます。通訳がマンツーマンでついていますので言葉の心配は基本的に不要です。
このカテゴリーの参加者は中野理事長と沖縄の平和祈念資料館の2名の学芸員、合計3名です。
歴史の中でセンシティブあるいは対立する事柄とは何なのか。
今年、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」において専門家機関の登録勧告以降韓国が猛烈にロビー活動を展開し阻止に動いたこと、沖縄の基地問題において官房長官がこの夏沖縄に複数回訪問していることを御存じなかたもいるでしょう。
中野理事長は8月29日にアメリカ入りし9月19日帰国の予定です。

どのような成果があるのか期待しています。

 

大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ理事
中川原 竜一

 

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