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メディアグランプリ

コロナ世代とレモネード


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川村 紀子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ここ数年で一番はまったドラマは『This is US』
ピアソン家の夫婦と三つ子、そして、まわりの人たちの人生ドラマに引き込まれ、
ほぼ毎回、涙腺崩壊。
アメリカで3年連続視聴者第一位を獲得した、大人気のテレビドラマシリーズだ。
世界各国の賞も受賞している。
 
何よりの魅力は、登場人物たちの一人ひとりの中に「わたし」を見つけてしまうこと。
それぞれの悩みや葛藤、感情に共感する。
共に笑い、共に怒り、共に泣く。セリフが心に響く。
響く、というより、心をつかまれ、ぶんぶんと振られている感じに近い。
 
過去のエピソードと現在が交差して、リズミカルに進むため、目が離せない。
そして、必ず泣く。
だから、家族が寝静まった真夜中に一人でみると決めていた。
 
わしづかみにされたのは、第一話からだ。
心待ちにしていた三つ子のうち一人の死産がわかった父親ジャックに医師が語りかけた。
 
人生が差し出した酸っぱいレモンをレモネードに変えよう、と。
 
医師の言葉に励まされ、ジャックは大きな決断をする。
 
後で、これはデール・カーネギーが『道は開ける』で紹介している言葉だと知った。
 
レモン。
そう。人生は時に、酸っぱいレモンを差し出す。
大なり小なり誰にでも、そして、何度でも。
 
もう充分、と思っても、ある日、コロリと差し出される。
なんで、こんな経験をするんだろう?!
耐え難く、レモンから逃げ出した時もある。
見ないフリをしたこともある。
レモンを口の中に無理やりつっこまれたような気分になったこともある。
思い出しただけで、苦さ、酸っぱさが私の中に充満する。
 
ドラマの登場人物たちもレモンをくらう。
じたばたしたり、腹を立てたり、悩んだり、逃げ出したり、たすけられながら
徐々にレモンをレモネードに変えていく。
 
週末にオンラインセミナーに参加し、このレモネードの話を思い出した。
「学校再開。これまで。そして、これから」というテーマで、現役の小中学校・高校、大学の先生方と保護者や教育関係者が全国から70名以上集った。
長い休校があけ、始まった学校には、たくさんの「してはいけない」「できない」がある。
こどもたちは突然の休校以降、レモンをたくさん味わってきている。
 
「数え上げると中止となった行事は現時点で7つ」と小学校の先生が言った。
「こどもたちがもっと喪失感を感じるかと思ったら、意外なほどにあっけない反応だった」
先生は、あきらめがうまれている、と心配していた。
 
「こどもたちは、けなげだ」
「つっこんで聞くと泣いてしまう」
子どもを持つ親からわが子の様子がチャットに書き込まれた。
水道の蛇口をひねると、水ではなく、レモンの果汁が出てきそうなくらいに酸っぱさが日常だと麻痺させるしかないのかもしれない。
 
わが家の高校生の息子や中学生の娘も行事のほとんどが無くなった。
娘の学校から渡された無くなった行事のリストを見ると、
行事こそ子どもたちの学び合い、育ち合う場ではないかと悔しい思いがふつふつとする。
二人とも1年生なのでまだあと2回チャンスはあると思えるが、割り切れない気持ちがざらりと残る。
 
「ゆとり世代が揶揄されたように、この子どもたちは、『あきらめやすいコロナ世代』と揶揄されるんじゃないか」
そんな意見も出た。
 
暗い話題はいくらでもある中で、会全体はとても明るく進んだ。
画面にうつる8人の先生方の明るい表情とできることに注目する発想のおかげだった。
 
「やめるのは簡単。密にならないように、どうしたらできるか? という発想で知恵を出し合ってます」
先生は、ニコニコ笑いながら工夫を紹介した。
 
「1年生を迎える会は、6年生たちが工夫して、メッセージボードを作り、各クラスに配りました!」
 
「給食中はしゃべってはいけない。だから、校長先生や地域の読み聞かせボランティアにもお願いして、毎日放送で読み聞かせをしています!」
へー
 
保護者の関心が高まったのは、運動会のことだ。
「運動会は表現活動を中心にして、保護者は学年ごとに完全入れ替え制にします! 徒競走は折り返し方式。通常はスタートとゴールは離れているけれど、スタート地点にゴールする形で、みんなで最後まで応援します!」
それは盛り上がりそう!
 
「組体操はできないけれど、フォークダンスをやります! 手をつながないエア マイムマイムです!」
触れあわないフォークダンス。少しシュールで逆にドキドキが増しそう!
 
「応援団も従来の形はできないけれど、その代わり4年生以上は何人やってもいいということにして、席から応援します。下の学年に動画を配ったり、教える人を、密にならずに練習します!」
花形の応援団を体験できる人が増えるということだわ!
 
「コロナがあったからこそできるよね! こうしたら、今までにない新しいことができるよね! そうこどもたちには話しています!」
 
感激した。
これはみんな、レモンをレモネードに変える行動だ。
大人たちが「どうしたらできるか?」と試行錯誤して、前進している。これこそ、教育。
子どもたちは勇気をもらい、逆境で生き抜く力の鍛え方を実践で学んでいる。
制限のある中で、「できなかったこと」ではなく、「できたこと」をつみあげる。
 
そんな彼らを「レモネード世代」と呼びたくなる。
 
 
 
 
***

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2020-08-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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